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第3章:歯車は動き出す
88話
しおりを挟む「龍司様ッ!!」
聞いた事がある声が龍司の耳に届いて、閉じていた目を開けた。
途端にリーダーの男の脳天が銃で撃ち抜かれ、龍司の目の前に倒れる。
「!!」
周りを囲むようにして龍司に銃を向けていた男達も、次々と血しぶきをあげて倒れていくその姿に、次第に目を見開く。
…これは…ッ
「龍司様、大丈夫ですか?」
「龍司様、お怪我は?」
「龍司様!!ご無事ですか!?」
龍司の目の前に現れたのは零、晃、琉夏の3人だった。
少年達は大柄の男達を一瞬にして仕留めると、龍司に駆け寄ってくる。
顔や服に返り血を浴びた少年達に、龍司は目を見開いたまま固まった。
なんで…
なんでこいつらがここにいる?
「お前ら…なんでここに…」
晃と琉夏が左右から支えるようにして龍司を立たせると、汚れた服をはたいてくれた。
零が片膝をついて跪くと、下から見上げるようにして口を開いた。
「芹名から、龍司様が危ないから助けに行け!と連絡が入り助けに参りました。ご無事で本当によかったですッ…!」
「芹名が…?なんでアイツはおれが狙われるのを知っていたんだ」
「…特殊な小型機器を付けさせていただいているからです」
「!!」
「勝手にこのような事をして申し訳ありません…。しかし龍司様、あなたに救ってもらったあの日から、おれ達はあなたの為に行生き、そして死ぬ覚悟を決めていました。おれ達は、自らの意思であなたのために生き抜く事を選んだのです。…地下を出た後、あなたが用意してくださった隠れ家で生活してきましたが、実際は龍司様に内緒でずっとあなたの事を護衛しておりました。」
「…護衛だと?」
――いつのまにそんな事を…。
地下室を爆発させた後、龍司は4人の住処を用意し与えた。
地下室のような暗い所で生活し、やりたくもない事を強要させられながら生きていくのではなく、普通の人間と同じように太陽の下で自由に暮らしてほしかったからだ。
それが彼らにとっての一番の幸せだと思った。
たまに連絡を取り合ったりはしていたが、地下室爆発後会ったのは数回程。
まさか護衛をしているなんて思ってもいなかった。
零は、「はい。」と言って静かに頷いた。
左右にいる晃と琉夏に視線を移せば、息があったように2人も頷く。
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