夏の花

只ノ人 -ただのひと-

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花びらの便り 2

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朝日にも熱を感じる8月半ば、少女は珍しく家を出た。真っ白な肌に汗を流し、ゆれるアスファルトを歩く。少し、ほんの少し足どり軽く。


 花屋に立ち寄り、老婆に声をかける。
老婆は少女の顔を見るなり  あぁ、と笑顔で頷き、これねと花を差し出す。

健気ねえ。  いえ。

そんな言葉を投げ合って別れる。2人の夏の恒例行事だ。


 少女はさらに歩く。学校に続く道を進み、病院の角で右に曲がり、また歩く。田んぼを抜けて丘を登って、少年のところまで歩いていく。
汚れを落として水を替えて、手を合わせる。そして、少年と日が暮れるまで話をする、もう4回目だ。
 
けれど

今年は違った。手を合わせ目を瞑り、再び開くとそこには手紙が置いてあった。
宛名はない。けれど少女は迷うことなく手紙を手に取った。君に読んで欲しい、そう言われた気がしたのだ。


 元気ですか、友達はいますか、   大切な人はいますか。そんなことが書かれた少年からの手紙だった。少女は一心不乱にそれを読み、もう1度読んでから、

泣いた。

涙が枯れるまで、枯れても、ひたすらに。

それは、手紙をくれ心配してくれた喜びの涙だった。と同時に、手も心も届かない悲しみの涙でもあった。少年にこんなに思われている。少女もこんなに想っているのに。


 落ちた涙も乾いた頃、少女はようやく口を開いた。この1年何があったとか、どこに行ったとか。他愛もない事を、少年に話して聞かせた。もし君がいたら、そう訴えるように。
少年は笑顔で聞いていた。熱心に、けれど想いは届かぬままに。


 日は落ちきってようやく少女は腰を上げる。また来るね。そう残し歩き出した。

刹那、

 ふと少女は足を止め振り返る。そして微笑み、再び家路についた。

少年の声が聞こえた気がした。いや、聞こえていた。はっきりと。

 触れぬ想いに交わす言葉は、青い2人を繋いでいた。
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