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冒険者編
6.詰問される冒険者
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受付の女性はカードを見たまま二分ほど動かなかった。
そして急に動いたと思ったら、凄い剣幕で叫んだ。
「ギルド長を呼んでくるので、絶対にここにいてください!!!!!!!!」
そう言うと近くにいた他の女性に「この人を応接室に!!!!!」と言い捨て、行ってしまった。
どうしたのだろう。
促されるまま、俺はギルドの奥へ歩いて行った。
そのまま待つこと数分····。
応接室の扉が開き、男性が入ってきた。
「いやいや、待たせてすまない。ギルド長のギージスと言う。」
「どうも、はじめまして。南 光と言います。」
ギルド長の第一印象は<優しそうなおじさん>だ。
「ところでなぜここに呼ばれたのでしょうか」
「まぁ、いくつか質問に答えてくれ。返答はそのあとにしよう」
仕方がないので質問に答えることにする。
「一つ目、今までにダンジョンに潜った事は?」
「あります」
「何処の?」
「分かりません」
「分からない?それまたどうして」
どうして、と聞かれても···なんと答えたもんかな?
<では、このような回答はどうでしょうか>
俺は提示された案をそのまま言った。
「実は森を歩いていたときに間違って入っちゃって」
「何?」
「出れなくなって仕方なく歩いていたらこの魔導書を拾って、なんとかダンジョンを突破しました」
話しているうちにギルド長は頭を抱えてうなり始めた。
「···なんつうことしてんだ、こいつ。人間じゃねぇ···」
何かぶつぶついい始めた。
「他に質問は?」
「山ほどあるが··まぁこの際おいておこう。」
おいといていいのか。
「先にお前の疑問に答えてやろう。一つ目はお前のレベルが30を越えていたから。二つ目は全てのステータスが測定不能だったから。三つ目は職業が<終焉の魔導師>だったからだ」
「一つ目、二つ目はともかく、三つ目は意味が分かりません」
「···<終焉の魔導師>と言うのは昔世界を救った英雄の職業だ。正確には分からんが、その英雄は龍を一撃で千体以上倒したとの逸話もある」
「何それ怖い」
「貴様は何者だ?」
俺は答えない。いや、答えられない。ギルド長の勢いに飲まれてしまっているせいだ。
「答えんか···仕方がない。では、これに署名をしてくれるか?」
ギルド長が差し出してきたものは、一枚の紙だった。
内容は、この国で好きなことをしてもらって構わないから「SSランク冒険者」の称号と有事の際は国を助けてくれというの内容だった。
「何か破格の条件なんですが···」
「それだけお前に価値があるって事だ」
まぁ、そういうことなら貰っておこう。
俺は紙にサインして、血印を押した。
「では、これで質問は終了だ。あ、そうだ、これだけ持っていってくれ」
「これは···?」
「連絡用魔導具だ。有事の際はこれに連絡するからすぐにここまで来てくれ。」
「はい、分かりました」
とにもかくにもこれでギルドを騒がせた事件は幕を閉じた。
そして急に動いたと思ったら、凄い剣幕で叫んだ。
「ギルド長を呼んでくるので、絶対にここにいてください!!!!!!!!」
そう言うと近くにいた他の女性に「この人を応接室に!!!!!」と言い捨て、行ってしまった。
どうしたのだろう。
促されるまま、俺はギルドの奥へ歩いて行った。
そのまま待つこと数分····。
応接室の扉が開き、男性が入ってきた。
「いやいや、待たせてすまない。ギルド長のギージスと言う。」
「どうも、はじめまして。南 光と言います。」
ギルド長の第一印象は<優しそうなおじさん>だ。
「ところでなぜここに呼ばれたのでしょうか」
「まぁ、いくつか質問に答えてくれ。返答はそのあとにしよう」
仕方がないので質問に答えることにする。
「一つ目、今までにダンジョンに潜った事は?」
「あります」
「何処の?」
「分かりません」
「分からない?それまたどうして」
どうして、と聞かれても···なんと答えたもんかな?
<では、このような回答はどうでしょうか>
俺は提示された案をそのまま言った。
「実は森を歩いていたときに間違って入っちゃって」
「何?」
「出れなくなって仕方なく歩いていたらこの魔導書を拾って、なんとかダンジョンを突破しました」
話しているうちにギルド長は頭を抱えてうなり始めた。
「···なんつうことしてんだ、こいつ。人間じゃねぇ···」
何かぶつぶついい始めた。
「他に質問は?」
「山ほどあるが··まぁこの際おいておこう。」
おいといていいのか。
「先にお前の疑問に答えてやろう。一つ目はお前のレベルが30を越えていたから。二つ目は全てのステータスが測定不能だったから。三つ目は職業が<終焉の魔導師>だったからだ」
「一つ目、二つ目はともかく、三つ目は意味が分かりません」
「···<終焉の魔導師>と言うのは昔世界を救った英雄の職業だ。正確には分からんが、その英雄は龍を一撃で千体以上倒したとの逸話もある」
「何それ怖い」
「貴様は何者だ?」
俺は答えない。いや、答えられない。ギルド長の勢いに飲まれてしまっているせいだ。
「答えんか···仕方がない。では、これに署名をしてくれるか?」
ギルド長が差し出してきたものは、一枚の紙だった。
内容は、この国で好きなことをしてもらって構わないから「SSランク冒険者」の称号と有事の際は国を助けてくれというの内容だった。
「何か破格の条件なんですが···」
「それだけお前に価値があるって事だ」
まぁ、そういうことなら貰っておこう。
俺は紙にサインして、血印を押した。
「では、これで質問は終了だ。あ、そうだ、これだけ持っていってくれ」
「これは···?」
「連絡用魔導具だ。有事の際はこれに連絡するからすぐにここまで来てくれ。」
「はい、分かりました」
とにもかくにもこれでギルドを騒がせた事件は幕を閉じた。
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