1 / 140
プロローグ:天罰
日の巫女
しおりを挟む
——クライヤマ
そう呼ばれる集落では、人々が平和に、かつ、穏やかに生活していた。
暴力など欠片も無く、富も貧も無い。所有という概念を持たず、採れたものはその全てが、クライヤマに住む全員の財産として共有された。
誰もかれもが、真に平等で同じ高さに立っていたのだ。
ただ、一人を除いて。
「巫女様、明日の天気は如何でしょうか?」
土で汚れた顔の、中年の男が問うた。彼は畑で作物を作るのが得意な男で、収穫の時期が迫っているために、天候を気にしていたのだ。
その問いに対し、「巫女」と呼ばれた少女が答えた。
「明日は、心地よい晴天となるでしょう。収穫にはうってつけですね」
物腰柔らかく、大いなる包容力を感じさせる優しい声色で、質問者の男に対して言葉を返した。
それと同時に巫女は、十六歳という年齢に見合った、可憐な微笑みを浮かべていた。
「ほう、晴天ですか。ありがとうございます。これで安心して収穫を迎えられます」
安堵の表情を浮かべた男は、再三、礼の言葉を発しながら一礼。軽やかな足取りで、巫女の座する社を去った。
「……」
男を見送った巫女は、身に着けた日長石の首飾りを手に取った。それを太陽光にかざし、美しい輝きを観察する。
「相変わらず綺麗。それに、あたたかい。まるで、クライヤマの皆の様」
石を握り、拳を胸に当てて目を閉じた。数秒の沈黙を破り、彼女は祈った。
「今日も、明日も、明後日も。願わくば永久に、太陽の加護がありますように」
住人が「巫女」と呼び慕う存在は、より正確には「日の巫女」である。
崇高なる太陽の恩恵をこの地にもたらし、維持する。代々、世襲制で受け継がれてきた一種の役職であった。
大昔、大きな厄災が起こった際、救済の祈りを込めて「日の巫女」をたてた。すると、見事に状況が改善したという。
その出来事があってから、巫女という役割は引き継がれ続けた。
そうしていくうちに多くの人が集まり、巫女を信仰する形でまとまっていき、今のクライヤマに至る。
住民は巫女を崇め、彼女自身もまた、その役割を誇りに感じている。
「……?」
日長石を首に戻しながら、巫女は自分に向けられた視線に気づいた。
「あ、ユウキ。また来てる」
ユウキと呼ばれた少年。存在に気付かれた彼は、社の隅にある植え込みから出でた。
「またバレた。気配に敏感だな、リオは」
薄汚れた顔で、少年は言った。日の巫女である彼女の本名を知る彼は、巫女とは幼少期からの友人である。
「またお母さんに怒られちゃうよ?」
幼き日を共にしたユウキとリオだったが、いつまでも共にいる事は許されなかった。
クライヤマの住民にとって、巫女は大切な存在だ。特定の個人に限らず、全ての人に対して等しく接する。
巫女に就任する際、リオに課されたその条件は、二人を割いたのであった。
「別にいいよ、叱られるくらい。そんなのを凌駕するくらい、でかい利点があんだから」
「……もう、そんな事ばっかり」
いけないことと分かっていても。発覚したら怒られると分かっていても。ユウキは、リオに会いに来るのをやめなかった。
何度つまみ出されようと、彼女のもとに通い詰めた。いつか、気持ちを伝えられる時が来ると信じて。
◇◇◇
それから二年ほど経過した年の事。平穏だったクライヤマは、一転して、危機に瀕していた。天候に恵まれず、作物が育たないといった問題が起きたのだ。
困り果てた人々は、こぞって日の巫女に救済を乞うた。彼女の言葉と力を信じるクライヤマの文化からすれば、当然のことだ。
「巫女様! どうか、どうか太陽のお恵みを!」
「今日は晴れますか? 明日は? 明後日は?」
「どうして救ってくださらないのですか? 巫女様!」
「我々はこんなにも、困っているのですよ⁈」
神聖な雰囲気の社に、まるで似つかわしくない喧騒が響く。不満の風下に立たされた十八歳の少女は、困惑した。どうしたら良いのか、まったく考えられなかった。
「巫女様! どうか、どうか救済を!」
「いつになれば、太陽は顔を出すのですか、巫女様!」
「えっと……えっと……」
慌てふためきながらも、巫女は必死に明日の天気を占う。が、導かれる回答は曇天か降雨のみ。直近で晴れる日は一向に見られなかった。
「し、しばらくは……悪天候が、続きます」
心を痛めながらも、リオは悲惨な結果をお告げとして発表した。
「どうしてですか⁈」
「うう……」
「どうして日は出ないのです⁈」
「……ら、ないよ」
なぜだ。
どうしてだ。
そんな問いの荒波に揉まれた巫女は、涙を流しながら叫んだ。
「分からないよ! そんな事を訊かれても、私にだって分かんないよ!」
そこには、信仰の対象である日の巫女の姿は無かった。ただ、リオという少女が立っているのみであった。
彼女の叫びを聞き、天から滴る水の音を除いて静まり返った。どれくらい黙り込んでいたのかは分からない。
やがて一人の住民が、呟いた。
「俺たちを……だましていたのか?」
「……え?」
突然の言葉に、巫女は疑問符を返す事しか出来ずにいた。巫女衣装が濡れようが、髪が崩れて顔に水が垂れようが。
「だまして……いたのか?」
住民は繰り返した。それを皮切りに、次々と詐称の有無を問う声が発せられた。
「巫女様、我々に嘘をついていたのですか?」
「本当は、太陽の加護など無い、という事なのですか?」
「答えてください、巫女様!」
「巫女様!」
「う、嘘じゃないよ! 太陽の加護は、本当に——」
弁明を試みる巫女だが、上がりきった住民の熱は冷めることを知らない様子であった。
「ならば何故、晴れないのですか!」
「そ、それは……っ!」
そしてついに、こう言い出す住民が現れた。
「う、裏切者!」
「……っ⁈」
「裏切者!」
「こ、これは巫女なんかじゃない! 俺たちを——クライヤマを滅ぼす邪神だ!」
「み、皆、落ちつい——」
「捕らえろ!」
——うおおおおおお!
「きゃあ! や、やめ——うぐっ⁈」
暴徒と化した住民は、つい先日まで神聖だとしてきた場所に土足で踏み入り、僅か十八歳の少女を捕縛した。
自制の効かなくなった彼らは、相手が少女だろうと容赦なく痛めつけた。
巫女衣装はボロボロになったうえ剥がされ、細身で綺麗な身体が露に。肌には、痛々しい傷がいくつも付いた。
おおよそ、年端も行かぬ少女に対する仕打ちとは思えぬ様相であった。
そう呼ばれる集落では、人々が平和に、かつ、穏やかに生活していた。
暴力など欠片も無く、富も貧も無い。所有という概念を持たず、採れたものはその全てが、クライヤマに住む全員の財産として共有された。
誰もかれもが、真に平等で同じ高さに立っていたのだ。
ただ、一人を除いて。
「巫女様、明日の天気は如何でしょうか?」
土で汚れた顔の、中年の男が問うた。彼は畑で作物を作るのが得意な男で、収穫の時期が迫っているために、天候を気にしていたのだ。
その問いに対し、「巫女」と呼ばれた少女が答えた。
「明日は、心地よい晴天となるでしょう。収穫にはうってつけですね」
物腰柔らかく、大いなる包容力を感じさせる優しい声色で、質問者の男に対して言葉を返した。
それと同時に巫女は、十六歳という年齢に見合った、可憐な微笑みを浮かべていた。
「ほう、晴天ですか。ありがとうございます。これで安心して収穫を迎えられます」
安堵の表情を浮かべた男は、再三、礼の言葉を発しながら一礼。軽やかな足取りで、巫女の座する社を去った。
「……」
男を見送った巫女は、身に着けた日長石の首飾りを手に取った。それを太陽光にかざし、美しい輝きを観察する。
「相変わらず綺麗。それに、あたたかい。まるで、クライヤマの皆の様」
石を握り、拳を胸に当てて目を閉じた。数秒の沈黙を破り、彼女は祈った。
「今日も、明日も、明後日も。願わくば永久に、太陽の加護がありますように」
住人が「巫女」と呼び慕う存在は、より正確には「日の巫女」である。
崇高なる太陽の恩恵をこの地にもたらし、維持する。代々、世襲制で受け継がれてきた一種の役職であった。
大昔、大きな厄災が起こった際、救済の祈りを込めて「日の巫女」をたてた。すると、見事に状況が改善したという。
その出来事があってから、巫女という役割は引き継がれ続けた。
そうしていくうちに多くの人が集まり、巫女を信仰する形でまとまっていき、今のクライヤマに至る。
住民は巫女を崇め、彼女自身もまた、その役割を誇りに感じている。
「……?」
日長石を首に戻しながら、巫女は自分に向けられた視線に気づいた。
「あ、ユウキ。また来てる」
ユウキと呼ばれた少年。存在に気付かれた彼は、社の隅にある植え込みから出でた。
「またバレた。気配に敏感だな、リオは」
薄汚れた顔で、少年は言った。日の巫女である彼女の本名を知る彼は、巫女とは幼少期からの友人である。
「またお母さんに怒られちゃうよ?」
幼き日を共にしたユウキとリオだったが、いつまでも共にいる事は許されなかった。
クライヤマの住民にとって、巫女は大切な存在だ。特定の個人に限らず、全ての人に対して等しく接する。
巫女に就任する際、リオに課されたその条件は、二人を割いたのであった。
「別にいいよ、叱られるくらい。そんなのを凌駕するくらい、でかい利点があんだから」
「……もう、そんな事ばっかり」
いけないことと分かっていても。発覚したら怒られると分かっていても。ユウキは、リオに会いに来るのをやめなかった。
何度つまみ出されようと、彼女のもとに通い詰めた。いつか、気持ちを伝えられる時が来ると信じて。
◇◇◇
それから二年ほど経過した年の事。平穏だったクライヤマは、一転して、危機に瀕していた。天候に恵まれず、作物が育たないといった問題が起きたのだ。
困り果てた人々は、こぞって日の巫女に救済を乞うた。彼女の言葉と力を信じるクライヤマの文化からすれば、当然のことだ。
「巫女様! どうか、どうか太陽のお恵みを!」
「今日は晴れますか? 明日は? 明後日は?」
「どうして救ってくださらないのですか? 巫女様!」
「我々はこんなにも、困っているのですよ⁈」
神聖な雰囲気の社に、まるで似つかわしくない喧騒が響く。不満の風下に立たされた十八歳の少女は、困惑した。どうしたら良いのか、まったく考えられなかった。
「巫女様! どうか、どうか救済を!」
「いつになれば、太陽は顔を出すのですか、巫女様!」
「えっと……えっと……」
慌てふためきながらも、巫女は必死に明日の天気を占う。が、導かれる回答は曇天か降雨のみ。直近で晴れる日は一向に見られなかった。
「し、しばらくは……悪天候が、続きます」
心を痛めながらも、リオは悲惨な結果をお告げとして発表した。
「どうしてですか⁈」
「うう……」
「どうして日は出ないのです⁈」
「……ら、ないよ」
なぜだ。
どうしてだ。
そんな問いの荒波に揉まれた巫女は、涙を流しながら叫んだ。
「分からないよ! そんな事を訊かれても、私にだって分かんないよ!」
そこには、信仰の対象である日の巫女の姿は無かった。ただ、リオという少女が立っているのみであった。
彼女の叫びを聞き、天から滴る水の音を除いて静まり返った。どれくらい黙り込んでいたのかは分からない。
やがて一人の住民が、呟いた。
「俺たちを……だましていたのか?」
「……え?」
突然の言葉に、巫女は疑問符を返す事しか出来ずにいた。巫女衣装が濡れようが、髪が崩れて顔に水が垂れようが。
「だまして……いたのか?」
住民は繰り返した。それを皮切りに、次々と詐称の有無を問う声が発せられた。
「巫女様、我々に嘘をついていたのですか?」
「本当は、太陽の加護など無い、という事なのですか?」
「答えてください、巫女様!」
「巫女様!」
「う、嘘じゃないよ! 太陽の加護は、本当に——」
弁明を試みる巫女だが、上がりきった住民の熱は冷めることを知らない様子であった。
「ならば何故、晴れないのですか!」
「そ、それは……っ!」
そしてついに、こう言い出す住民が現れた。
「う、裏切者!」
「……っ⁈」
「裏切者!」
「こ、これは巫女なんかじゃない! 俺たちを——クライヤマを滅ぼす邪神だ!」
「み、皆、落ちつい——」
「捕らえろ!」
——うおおおおおお!
「きゃあ! や、やめ——うぐっ⁈」
暴徒と化した住民は、つい先日まで神聖だとしてきた場所に土足で踏み入り、僅か十八歳の少女を捕縛した。
自制の効かなくなった彼らは、相手が少女だろうと容赦なく痛めつけた。
巫女衣装はボロボロになったうえ剥がされ、細身で綺麗な身体が露に。肌には、痛々しい傷がいくつも付いた。
おおよそ、年端も行かぬ少女に対する仕打ちとは思えぬ様相であった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる