星の神に愛された姫と呪われた王子

蓮香

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豊穣の姫と憎しみの王子《運命の子供達の誕生編》

星の神に愛された王妃の希望の雫《王妃の憂いと希望の雫》

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ムーンの陣痛が始まり、ベッドの上でリンの膝に頭を預け、リンの手を握り締め、苦しそうに呻いていた。

対星の巫女はキャスの指示の下、湯やシーツ等の準備に奔走し…

出産では役に立たない、男性のアスや聖獣達は衝立ついたての裏で闇霧の衣の結界の層を厚く厚く重ね掛けし…

キャスは産婆として「ムーン様…もう少しです!今です!思いっきり力を込めてくださいまし!」とムーンに指示を出している。

キャスの指示通りにムーンが呻きながら力を込めてた瞬間…

『ふぎぁぁぁあ』と元気な産声が部屋中に響き渡った。

キャスは歓喜のあまり涙目になりながら「ムーン様!王女殿下でございます」と叫び、ムーンに王女を手渡す…

ムーンの背中を支えていたリンの顔が青褪めていく。

ムーンは血色が引いた蒼白い顔に笑みを浮かべ『リン…仕方ないわ』とリンの頬を撫でる。

キャスもその事実に気が付き、青褪めていく。

ムーンの生命と魔力の源となる、守護聖石に亀裂が入り、ムーンの命の灯が消えかかっていたのだ…

ムーンはキャスに『みんなを呼んで』と微笑む。

アスと聖獣のファー、リチオ、グラがムーンの枕元に寄る。

ムーンは自分の行く末を察し…
『対星の巫女、急ぎ地下聖堂の準備をしてちょうだい』と指示を出すと対星の巫女は一礼だけして部屋を出る。

『ファーは私の聖石をもう少しだけ長らえさせて』とムーンが懇願の眼差しを向けると、ファーは頷き、自らの姿を変え聖石の中に吸い込まれた。

『キャスはこの子に神殿参拝用の産着の支度を…』とムーンが王女を預けると、キャスは小さな震える声で「かしこまりました」とクロークへ向かう。

『リン、アス…私の聖石に亀裂が入ってしまったの…私はもう長くは無いわ…この子は星の神から愛された最後の子…何としても生かさなければならない』とムーンは力強い目を2人に向ける。

リンは泣きながら「ムーン様!これ以上は障ります!お休み下さい!休めば必ず回復します…」と懇願のするが…
ムーンは微笑みながら首を横に振る。

『アス、ビスマス様にお逢いするわ。リンを連れて共に神殿参拝の正装の準備を…』と微笑む
アスは苦悶の表情で「御意」と呟くと「リン!行くぞ!」とリンの手を引く。
リンは泣きながら「嫌よ!」と手を振り解こうとするが…
「ムーン様の時間を無駄にするな!」と眼光睨みつけるその目も潤んでいる。
リチオに背を預けムーンは微笑み『リン、ここにはファーもリチオもグラもいるわ。着替えてらっしゃい』とグラを撫でながら2人を送り出した。
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