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豊穣の姫と憎しみの王子《運命の子供達の誕生編》

星の神に愛された王妃の希望の雫《星神皇と王妃の秘密〜後編〜》

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三代目星の神 ビスマス・アバロン皇帝は淡々と語り出した…

***
ベリルの母リビアン王妃がまだフロライトに嫁ぐ前…公爵令嬢、アズライトの母キンバーが伯爵令嬢だった頃の事だ。
グラファイト侯爵領のセプター湖で休暇を楽しんでた時に、樹海の森に近づいた事で見つかってしまったんだ…

この国の王家はサン女王が家督争いで国を乱さぬよう基本的に子が1人しか産まれぬようにのろいを施したのは知られているが…

真実は、婚約の儀を施すことで子を成せぬ様にし、守護聖石の種を授かり、守護聖石を媒介に子を成し、安定的に国を守る力を持った王を育み、継承すると言うまじないなのだ。

当時、アゼツ王とリビアン王妃の婚約が結ばれ、リビアン王妃の中にベリルの守護聖石の種が既に芽生えていてな…

ベリルの守護聖石の持つ元々の魔力量が多く、魅了の力から樹海の魔女…スコリアに気に入られてしまった。

スコリアの執着は凄まじかったが、ベリルの守護聖石クリソベリルキャッツアイ自身がスコリアの瘴気を孕んだ魔力を拒んだ事でスコリアの怒りを買い、ベリルの魔法を生み出す器官を破壊されてしまったのだ。

それを知った我が妻、ムーンライトがこの地を憂いた…
その時、ムーの中には我が娘をその身に宿していたのだが、ムーが地上に降嫁する為に守護聖石へと封じてベリルの元へ降ったのだ…

我もその時に莫大な力を使い果たし、永きの眠りについていた。
***

ビスマスはムーンを抱きしめ、深く溜息をついた…


「そんな事が…」
青褪めた顔のアスが口元を隠すように組んだ手に力を込める。

ファーがティーテーブルの上に降り立つと…
「ここからは私がお話しますわ」

ファーは大きなレモンイエローの目を節目がちに語り出した。

***
魔女スコリアのベリル陛下への執着は凄まじく、魔法を生み出す器官を潰して尚欲し…

キンバー様の守護聖石を呑み込み、体を奪ってロジウム様と婚姻し、アズライト様がお産まれになった。
ロジウム様とキンバー様は一白水星の正統な家柄、アズライト様のようなオッドアイが産まれたのは、ロジウム様と魔女スコリアの間に産まれたからですわ。
***

「でも…キンバー様は随分前に亡くなられたはず…」
リンが困惑した疑問を投げかけた。

「禁呪…スコリアの記憶と力をアズライト様が継承してたとしたら?」
ファーがリンの目をジッと見つめる。

その間、アスは口元で手を組み、ブツブツと呪文のように独り言を繰り返し、仮説を立て、思考をフル回転させている。

ファーはアスを見つめ…
「アス様の疑問にお答えしますわ」
アスの顔に自分の顔を近づける。

***
表向きにはブラッド帝国の皇帝陛下は代替わりしてますが、神帝皇陛下は建国から1300年1度も代わっていないんですの。

ブラッド帝国神帝皇陛下は天空神スピネル様の1番目の皇子メラナイト殿下…
樹海の魔女に魅了され闇堕ちした神ですわ…

スコリアがベリル陛下の魔力を欲しがったのはメラナイト殿下の命の源とする為…

アス様なら、なぜアズライト様がブラッド帝国と友好を結び、ローズ様を側妃に召し上げさせたかおわかりになりますわよね?
***

アスの顔からは血の気が引いて行く…

『アラバスター…想像の通りだ。伯父上…メラナイトの狙いはこの国の血統をエサにして生き永らえ、神界自体を闇堕ちさせる事にあるのだ…』
ビスマスは悲しげに呟いた。
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