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豊穣の姫と憎しみの王子《運命の子供達の誕生編》
星の神に愛された王妃の希望の雫《女神が捧げた愛〜後編〜》
しおりを挟む星神の神殿の玉座でムーンが守護神になるのを見届けたビスマスは…
『キャス。シトリンを連れて参れ』
ビスマスの命令で、キャスはシトリンを玉座の壇上まで連れて登り、ビスマスの腕の中へシトリンを抱かせる。
「シトリン様はムーン様に似て強くて穏やかで愛らしい…私は幸せ者ですわ神皇陛下」
キャスは寂しげだが穏やかな笑顔を残し、壇上から降りた。
ビスマスに抱かれたシトリンは安心しきっているのかスヤスヤと眠りについている。
『シトリン…寂しい思いをさせてすまない。側には居れないが父も母も其方を愛しておる…』
ビスマスの寂しげな笑みを浮かべ、ムーンから託されたムーンの1/4の守護聖石と自分の9つある内の守護聖石1つを左胸の王家の痣の中へと授けた。
顔を上げ、厳しい顔に戻り
『タンジェリン、アラバスター、キャスト』
名を呼ばれ3人は跪き、頭を垂れる。
『其方らは我に忠誠を誓うか?』
3人は声を揃えて
「「「もちろんでございます!」」」
『では、証に何を差し出す?』
リンは左耳にある自分の名を冠する石をあしらった組紐の耳飾りを…
アスは右目に着けている自分の名を冠する石をあしらったモノクルを…
キャスは自分の名を冠する金細工ベルを…
それぞれの能力の媒介となる大切な宝具を差し出した。
ビスマスが手を差し出すと、3人の宝具はビスマスの手の中へ吸い込まれた。
そして、シトリンの額に口付けをするとシトリンの体が光り、3人の宝具の加護がシトリンへ授けられた。
『其方らの忠誠しかと受け取った!褒美に我の守護を授けし宝具を与える!』
リンの左耳には、タンジェリンとビスマスの石をあしらった新たな組紐の耳飾りが…
アスの右目には、アラバスターとビスマスの石をあしらった新たなモノクルが…
キャスの手には、キャストとビスマスの石をあしらった新たな金細工のベルが…
それぞれに授けられた。
「神皇陛下コレは…」
アスは自分の左目のモノクルを見て驚く。
『其方らの名の石と我の名の石をあしらってある故シトリンの中の石と共鳴し合える。我が側に居れぬ分、シトリンを頼む…』
ビスマスは苦悶の表情で3人に頭を下げた。
「神皇陛下!」
頭を下げたビスマスにリンが叫ぶも、キャスが遮り
「神皇陛下、必ず命に代えてもお護り致します」
と言うと壇上に向かった。
ビスマスは壇上に登ったキャスにシトリンを託し
『これから、《星神の神殿》と《月華妃の城》を隠す。シトリンの成人まで頼むぞ』
「御意」
2人は小声でやりとりをし、キャスはシトリンを抱いて壇上から降りた。
ムーンの座る玉座の横でビスマスが左手をかざすと、そこを中心に何百あるかもわからない数の魔法陣広がり、《星神の神殿》と《月華妃の城》がキ-----ンと言う音と共に眩い七色の光の魔法陣に覆われて行く。
七色の光が収まり、ビスマスが口を開く
『これで《星神の神殿》と《月華妃の城》へ出入り出来るのは其方らと、其方らが加護を授けた者のみ。ムーンを媒介にした我の術だそう簡単には破られぬ!頼んだぞ!』
言い残すとビスマスの容は光に変わり拡散して消えていった。
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