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番外編 今日もアクアオッジ家は平和です⑯

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 絵が正位置に戻って、しばしの沈黙。

 

 やがてみんなが見つめる中、絵がほのかに光り出した。扉が光ったときと同じ光だ。


 絵がゆらりと揺らめいたかと思うと、絵の中のバニー姿の男が、キョロキョロと上下左右に首を回して、そして顔をにゅっと前に突き出した。
 コキコキと首を鳴らしながら、手を額縁の縁にかけタイツを履いた脚でガニマタ気味にうんせと額縁を跨ぎ、ゆっくりと絵の中から出てくる――


 みんなが隠れながら呆然としていると、バニーがくつくつと喉を鳴らした。どうやら笑っているらしい。
"隠れても無駄よぉ?出てらっしゃい"

 バレてーら。仕方ないのでみんなソファの陰から立ち上がると、男は嬉しそうにニタっと笑った。

"んまっ。何て綺麗なカワイ子ちゃんたちなぁ~んでしょ。……これは是非"

「その口調……無理矢理そんな変態な服を着せられてるのかと思ったら、自分の意思で着てたのかあ」
 
 メリルの言葉を見事に無視して、男がソルをまじまじと見ながら目を見開いた。
"……あら?この子……アタシが一度契約した子じゃない……なんで解除されてんのよ……"

 ぶわっとソルから怒りのオーラが立ち昇った。そうか、コイツが――
「気を付けて下さいメリルお嬢様。コイツは相手の意識が無くても一方的に従属契約出来るんです」

「従属契約……?お前が、ソルを!?」
 従属契約と聞いてメリルは真っ先にソルにかけられていた呪いを思い出した。
 無理矢理そんな呪いをかけられて、暗殺者として使われて、どんなに、どんなにソルが傷ついたと思っているの!?許せない……

 こうなったら誰もメリルを止められない。怒ったメリルは走り出したら止まらないのだ。男の声のするほうに向かって近づこうとする。

 だが、今回の相手はただの人間ではなかった。

"なによお。口やかましい女は引っ込んでなさいよ。アタシはそっちのオトコノコたちに用があるの!"

 ぶわっと魔力が巻き上がり、一気にメリルに向かって叩き付けられる。

「きゃあっ!」

 すかさず光魔法で防壁を作り上げたものの、攻撃の威力のほうが上回っていて、防壁は割れメリルは吹っ飛んで壁に打ち付けられてしまった。その様子を見て変態……いや男はニヤリとする。

「「「メリルっ!!」」」

 三人が一斉にソファの後ろから叫んだ。
 灯りを消したせいで暗すぎて訳が分からないがメリルの悲鳴だけは聞こえたからだ。

 ウィルフレッドはとっさに精霊たちを探したが、謎の男の気に当てられたのかいなくなってしまっていた。それだけでも目の前の男はただの変態ではないことが分かる。




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