20 / 75
番外
ある日の風景
しおりを挟む
●ある日の風景
「フィー、一緒に食事をしよう」
「今研究がいいところなんだ。また今度にしてくれ」
「そう言って3食は抜いた顔だ」
「……2食だ。まだ」
「じゃあ今度抜いたら3食だね。その前にご飯を食べよう」
「外に出るのが面倒なんだ」
「大丈夫、持ち帰りのものを買ってきた」
「……。用意がいいなお前は……」
●ある日の風景・2
「フィー。人間は食べないと死ぬんだよ」
「魔法でどうにかしてる」
「でも健康に悪いよ。ちゃんと食事を摂ろう」
「今研究が大詰めなんだ。余計なことはしたくない」
「人間の三大欲求を『余計なこと』扱いするフィーがとても心配だけど、それはそれとして、――気絶させて抱えて無理やり連れだしてもいいんだよ?」
「その前に魔法で昏倒させてやろうか」
「物騒だなぁ」
「物騒なのはどっちだ。か弱い魔法士に肉弾戦を仕掛けようとするな」
「肉弾戦なんてしかけないよ。ただちょっと首をトンってするだけで」
「……ああ、もう。このまま居座られるのも食事を摂るのも同じか。だったら後者を選ぶ。買ってきてあるんだろうな?」
「ちゃんと胃にやさしい食べやすいものをね。さあ、食事にしよう」
●ある日の風景・3
「フィー、フィー。お願いがあるんだ」
「改まってなんだ」
「居てくれるだけでいいんだ。騎士団の執務室に来てほしい」
「またか」
「フィーがいないとやる気が出ないんだ……」
「哀れっぽく言っても、それはダメ人間の発言だぞ」
「フィーがいないとダメな人間にならなってもいい……」
「本当に何言ってるんだお前は。……何だかやつれてるし、忙しかったのか」
「現在進行形で忙しい」
「そうか、それはお疲れ様だな。……まあ、行くくらいならいい。今は研究も一段落したところだしな」
「ありがとう……!」
「それだけでそんなに感極まられると居心地が悪いというか、お前の精神状態が心配になるんだが」
●ある日の風景・4
「フィー、フィー。うちの執務室に来てほしい」
「またか。何故」
「俺の癒しのため」
「……付き合ってられない」
「そう言わずに。実は差し入れで有名店の数量限定のケーキをもらったんだ」
「…………」
「ちょっと休憩する時間くらいはあるだろう? 食べていきなよ。フィーのためにとってあるんだ」
「でもそれは、騎士団への差し入れだろう」
「うちの団員も『クローチェ魔法士分は残しておかないと』って言ってたから、気兼ねしないでいいよ」
「お前の団はなんでそんなに私を気にかけてるんだ……?」
「俺がフィーを好きだからじゃないかなぁ」
「それだけで、だとしたら、お前はずいぶん慕われているんだな」
「フィーだって好かれてるよ。ジードとかにさ」
「ガレッディ副団長は誰にでもああいう感じじゃないか?」
「まあともかく、ちょっとした息抜きついでに来てくれると嬉しい。特に俺が」
「……わかった。少しだけだぞ」
「やった。ゆっくり食べていって」
「フィー、一緒に食事をしよう」
「今研究がいいところなんだ。また今度にしてくれ」
「そう言って3食は抜いた顔だ」
「……2食だ。まだ」
「じゃあ今度抜いたら3食だね。その前にご飯を食べよう」
「外に出るのが面倒なんだ」
「大丈夫、持ち帰りのものを買ってきた」
「……。用意がいいなお前は……」
●ある日の風景・2
「フィー。人間は食べないと死ぬんだよ」
「魔法でどうにかしてる」
「でも健康に悪いよ。ちゃんと食事を摂ろう」
「今研究が大詰めなんだ。余計なことはしたくない」
「人間の三大欲求を『余計なこと』扱いするフィーがとても心配だけど、それはそれとして、――気絶させて抱えて無理やり連れだしてもいいんだよ?」
「その前に魔法で昏倒させてやろうか」
「物騒だなぁ」
「物騒なのはどっちだ。か弱い魔法士に肉弾戦を仕掛けようとするな」
「肉弾戦なんてしかけないよ。ただちょっと首をトンってするだけで」
「……ああ、もう。このまま居座られるのも食事を摂るのも同じか。だったら後者を選ぶ。買ってきてあるんだろうな?」
「ちゃんと胃にやさしい食べやすいものをね。さあ、食事にしよう」
●ある日の風景・3
「フィー、フィー。お願いがあるんだ」
「改まってなんだ」
「居てくれるだけでいいんだ。騎士団の執務室に来てほしい」
「またか」
「フィーがいないとやる気が出ないんだ……」
「哀れっぽく言っても、それはダメ人間の発言だぞ」
「フィーがいないとダメな人間にならなってもいい……」
「本当に何言ってるんだお前は。……何だかやつれてるし、忙しかったのか」
「現在進行形で忙しい」
「そうか、それはお疲れ様だな。……まあ、行くくらいならいい。今は研究も一段落したところだしな」
「ありがとう……!」
「それだけでそんなに感極まられると居心地が悪いというか、お前の精神状態が心配になるんだが」
●ある日の風景・4
「フィー、フィー。うちの執務室に来てほしい」
「またか。何故」
「俺の癒しのため」
「……付き合ってられない」
「そう言わずに。実は差し入れで有名店の数量限定のケーキをもらったんだ」
「…………」
「ちょっと休憩する時間くらいはあるだろう? 食べていきなよ。フィーのためにとってあるんだ」
「でもそれは、騎士団への差し入れだろう」
「うちの団員も『クローチェ魔法士分は残しておかないと』って言ってたから、気兼ねしないでいいよ」
「お前の団はなんでそんなに私を気にかけてるんだ……?」
「俺がフィーを好きだからじゃないかなぁ」
「それだけで、だとしたら、お前はずいぶん慕われているんだな」
「フィーだって好かれてるよ。ジードとかにさ」
「ガレッディ副団長は誰にでもああいう感じじゃないか?」
「まあともかく、ちょっとした息抜きついでに来てくれると嬉しい。特に俺が」
「……わかった。少しだけだぞ」
「やった。ゆっくり食べていって」
応援ありがとうございます!
2
お気に入りに追加
804
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる