2 / 24
第0章 幼馴染みたちの電話相談
第2話 幼馴染みたちの電話相談②
しおりを挟むなんとか泣き止ませて電話を切った途端に着信を告げる携帯。
誰からかと思えば幼馴染みその2からだった。無視するわけにもいかないのでとりあえず通話を押す。
「……はい、もしもし?」
『――おや、なんだか声が疲れていませんか? 都合が悪ければかけ直しますけど……』
「いや、ちょっとさっきまで別の電話に出てたから。それでどうした? 珍しいじゃん、あんたが電話してくるとか」
この幼馴染みその2は、過去のとある出来事により、ちょっとだけ変な距離の取り方をしてくるので、理由がないと寄ってこないのだ。理由をつけないと私と接触してはいけないと思い込んでいるとも言う。
『実は、折り入って相談がありまして、……その、好きな人ができたんです』
「あんたもかよ!」
『え?』
「ああいや、こっちの話……っつーか私に恋愛相談とか、人選おかしいよ何考えてんの」
『人選はおかしくないですよ。私の周りに他に恋愛相談ができそうな異性がいますか?』
「まあ、そう言われればいないか……? とりあえず、聞くだけならしてやらないこともない。で?」
『アプローチの仕方に悩んでいまして。参考に、彼女と私に状況の似ている、女性人気が高い少女漫画を読んだのですが」
「……うん」
『やはり、バラの花束を跪いて贈るところからでしょうか?』
「…………う、ん……?」
『それとも、ヘリコプターで遊覧デートに誘ってみるべきでしょうか?』
いやどうしてそうなった。……こいつのスペック諸々を考えるとどちらも実現可能だし滑りはしないだろうが、なんか根本的に間違ってる。
「……着眼点は悪くない――ような気がせんでもないけど、何でそこを参考にするわけ。常識的に考えようよ、っつか自分の身に置き換えてみろよどん引きだろ⁉」
『? 好意の証に花束を贈るのはふつうでは?』
「ああ、いや、うん……そうだねあんたに常識を求めたこっちが馬鹿だったよね今のは」
そうだこいつ有名な音楽一家でどこそこでリサイタルなんぞしてるから、花束贈り贈られは日常だった。
『今、私のことを暗に常識がないって言いませんでした?』
「ああはいスミマセンデシタ口が滑りましたー。んで、まあ意見求められたわけですし正直なところ言いますけどー」
「はい」
「バラの花束贈っていいのは二次元の住人だけだからさ。ヘリコプターデートもしかりだから。……まあ恋人同士とかならまだアリかもだけど、アプローチしてる段階ならやめとけマジで。十中八九ひかれるから」
『そう……なんですか? 一般的に?』
なんとなく察してたけど、どうも『好きな人』、一般市民っぽいな。となると大事故が起こらないようにここで軌道修正しとかないとまずいな。
「一般人視点の意見を求めてるんだよな? それだとそうなる。どーしてもやりたきゃ花束だけにしとけ。でもバラはやめとけ。真っ赤なバラとか特にやめとけ」
『でも、愛を伝えるなら赤いバラが定番だと思うんですが……』
「だからその思考からぶっ飛んでるんだよ。いきなりそんな告白の仕方されたらふつうはひくから。受け取れないから。まずは受け取ってもらえる贈り物から考えろ」
『……大輪の赤いバラの花束は、初手の贈り物には向いてないってことですか。じゃあ、どんな花束なら……?』
「それくらい自分で考えろ――いややっぱ考えなくていい。あさっての方向にいきそうだし。そのまま目も当てられない惨事を引き起こしそうだし」
『どういう意味ですか?』
「言葉そのままの意味だっての。いい加減自覚しろよあんたの思考回路結構ぶっ飛んでんだよ。IQとか関係なく常識とかそういう面において」
『だったら、あなたが私の外付けの常識になってくれたら問題解決では?』
「……絶対イヤですお断りですふざけんなこの野郎。面倒ごとには関わらないのが信条なんであしからずっ!」
電話だけで疲れてんのにこれ以上巻き込まれてたまるか!
1
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。
ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・
強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私の、虐げられていた親友の幸せな結婚
オレンジ方解石
ファンタジー
女学院に通う、女学生のイリス。
彼女は、親友のシュゼットがいつも妹に持ち物や見せ場を奪われることに怒りつつも、何もできずに悔しい思いをしていた。
だがある日、シュゼットは名門公爵令息に見初められ、婚約する。
「もう、シュゼットが妹や両親に利用されることはない」
安堵したイリスだが、親友の言葉に違和感が残り…………。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる