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VS馬鹿ども 思惑渦巻く舞台袖編・2
それはまったく予想外の
しおりを挟む「……あれ、いない。レンリは?」
「……お久しぶりです。開口一番がそれですか」
「だって、レンリはきみといると思ったから。連絡してないんだ」
「レンリに用事なのに連絡しないのはおかしいでしょう」
「おかしいかな」
「どこからどう考えてもおかしいです」
「そう。それで、レンリは?」
「理解はしても次に活かす気がゼロですねその反応。レンリならいませんよ。今日はもう帰りました」
「ふうん、そうか。じゃあちょっとおしゃべりしよう」
「……レンリに用事なんじゃないんですか。わざわざ学校にまで来たんですし、急ぎとか」
「別にいいよ。帰りに寄るし」
「いやもうつっこみませんけど、次からは連絡入れるようにした方がいいと思いますよ。無駄足にならずに済みますし」
「うん、考えとく」
「……。――で、おしゃべりって何話すんですか」
「いちおう、きみに会うのも目的だったんだ。先を越されたって聞いたから」
「先を越された?」
「ほら、あの……ええと、確かいろいろ武道をやってる、人間離れした身体能力の人ばっかりの家」
「もしかしてもしかしなくてもそれユズの家のことですか」
「あ、そう。それ」
「それ、って。というか人間離れしたとか言われるほどじゃないはずですよあの家。あなたからしたらそう見えるかもしれないですけど」
「うん? それってつまり、ぼくが体力も運動能力も底辺だって言ってるの?」
「そこまで言ってないです」
「まあ、事実だしどうでもいいからおいといて」
「事実だって認めちゃうなら少しはどうにかしたほうがいいと思いますよ、その虚弱体質。せめてひとりでふらふらするのやめたほうがいいです。この間も行き倒れたって聞きましたけど」
「大丈夫だよ。ぼく、運だけはいいんだ」
「まったく大丈夫に思えませんけど」
「まあ、とにかくおいといて」
「……はぁ。で、ユズの家がなんなんですか」
「うん。ぼくもどこかのお家と同じで、親族代表で来たんだけどね」
「…………」
「きみの力になる準備はできてるよ、っていうことだけ。もちろん、ぼく個人の力でいいのならいつでも貸すよ」
「……。それは、心強いですね」
「でもきみは、嬉しくなさそうだ」
「ここで嬉しい顔するのも何か変じゃないですか? ――必要な場面になったら、なんでも使わせてもらいますよ。今必要でないというだけです」
「きみはきっと、頼ることに躊躇はしないだろうけど。ギリギリまで抱え込んでしまいそうだっていうのは、多分みんな思ってるんじゃないかな」
「そんなつもりはないんですが、まあ気をつけます」
「きみのそういった言葉は、けっこう信用ならないよね」
「何を根拠に。あなたとこういった会話をしたことってあんまりなかったですよね」
「ぼくの情報網を甘く見てもらったら困るよ?」
「つっこみたいけどなんか怖いのでスルーで」
「とりあえず情報源のひとつは今この学校で保健医してるわけだけど」
「……は?」
「うん、とりあえず伝えなきゃいけないことは伝えたし、きみの最上級に驚く顔も見れたことだし、帰るよ。レンリにも会わないといけないしね」
「いや、ちょっと、あの、」
「珍しく引き止めてもらえそうなのは嬉しいけど、また今度。詳しく知りたかったら電話かメールで」
「いやほんとそんなさらっと爆弾発言して去って行かないで下さいよこの天然のほほんに見せかけた食わせ者がっ……!」
「うん、それはぼくにとっては褒め言葉だ。それじゃあ、また」
「……。また、ってことは、こっちが連絡するって確信してるのか、近いうちにまた顔を合わせる予定でもあるのか――ああもう、これだからタチが悪いんだあの人は」
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