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彼女と彼の幕間
とある日、保健室で。
しおりを挟む「やほー。久しぶりだね妹ちゃん。今日も絶好調にご機嫌ナナメなご様子で?」
「……ちょっと協力してくださいって言っただけなのになんでナチュラルに職員として潜り込んでるんですかあなた」
「面白そうだったから?」
「ですよねそれ以外ありませんよねあなたのことですから」
「さすが妹ちゃん。俺のことよくわかってるねー。愛だね」
「それはないです」
「恥ずかしがっちゃってー。それよりどう? 似合う? 白衣」
「――ええ、腹が立つくらいに」
「そうまで言ってもらえるとあえて保健医選んだ甲斐があったなー。別に理数系の教師でもよかったんだけどさ。あ、深くんも似合うよね白衣。ラボに遊びに行ったとき見たんだけど」
「そうやってちょっかいかけるから深兄さんがあなたを毛嫌いするようになるんですよ」
「いやー、キミたち兄妹の害虫を見るような目ってなんか癖になるよね」
「相変わらず変態ですね。救いがたいくらいに」
「イイね、もっと容赦なく罵ってくれていいんだよ?」
「ご期待には沿えませんのでそれ以上変態発言しないでください」
「えー? ノリ悪いなー」
「むしろノッたことなんてないと思いますが」
「奏だったらノッてくれるのになー。ほら、俺キミに頼まれごとされた方なわけだし、ちょっとくらいサービスしてくれてもいいんじゃない?」
「あいにくと私は奏兄さんとは違いますから。あと取引は既に成立したはずでしょう。見返りについても話がついたはずですが?」
「そーだけどー。……ま、いいか。キミ今回は随分譲歩してくれたしね。それで本題だけどさ」
「どうですか、あなたの目から見て」
「なかなか面白いことになってるねー。ちょっと調べただけで怪しいのゴロゴロしてるし色々思惑も交差しすぎてて全体像ヤバいよ?」
「やっぱりですか」
「俺としては大歓迎だけどねー。まあ、まだ全部把握したわけじゃないから、引き続き探っとくけど」
「お願いします」
「お代は身体で払ってね?」
「ふざけんなこの変態。――失礼、何寝言ほざいてらっしゃるんですかあなた」
「やだなー、怒らないでよ。ちょっとしたジョークだからさ」
「悪趣味極まりないですね。知ってましたけど」
「いやー、理解ってイイね。愛?」
「ち・が・い・ま・す」
「そんな一音一音区切ってまで強く否定しなくても」
「それくらいしないとあなた斜めどころか奇ッ怪な感じに捻くれた解釈するじゃないですか」
「違う違う。あえて斜めに解釈してるだけだよ」
「余計タチ悪いじゃないですか。本当にあなた最悪ですね」
「お褒めに預かり光栄の極み?」
「褒めてませんよ」
「知ってるよもちろん」
「…………。もういいですつっこむの放棄します」
「妹ちゃんなら放置プレイも大歓迎だよ?」
「とりあえずもうちょっと健全な言葉選びを心掛けてもらえないですか。私の精神の健康のために」
「他ならぬ妹ちゃんの頼みなら喜んで~」
「とか言いつつどうせ口だけでしょう」
「本当、妹ちゃんは俺のことよくわかってるよねー。だからキミたち兄妹好きなんだけどさ」
「…………」
「イイねその心底迷惑そうな顔。ゾクゾクするよ」
「……変態って死んでも治らないんですかねやっぱり」
「少なくとも俺は治る気がしないかなー」
「そうですか。それは残念です。ええ本当に」
「そういうブラックな発言するところも好きだよ妹ちゃん」
「私はあなたのそういう発言をするところが嫌いですよ。奇遇ですね」
「うん、奇遇だねー。むしろ運命かもね?」
「もう本当そういう切り返し止めてくれませんかね切実に」
+ + + + + +
※作中に出てくる『保健医』は現実には存在しない職名ですが、語感優先で使用しています。この学園では『養護教諭=保健医』だということで。
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