11 / 21
一章
8話
しおりを挟む
Another View
個室から出ていくレギル・シュタットと名乗った彼の姿を見ながらホッと一息つく。
「お疲れさまでした」
セリナ君が声を掛けてくる。
「彼は君のことを受付嬢と思っているよ。いいのかな?」
「問題ありませんよ‘‘ギルドマスター殿‘‘」
「聞いていたのか……いい趣味だとは言えないよ‘‘副ギルドマスター殿‘‘」
「失礼致しました。ですが、たまにはカウンターに座ってみるものですね。あのような傑物に出会えるとは……」
「彼はまた別格だと思うがね……」
私は苦笑しながら言葉を返す。
そう、本当に別格だと思ったのだ。あの子供の姿をした傑物は
「ですが、面白い着眼点からマスターの演技を見抜きましたね」
「セリナ君のことを受付嬢だと思ってはいたようだけどね」
「ですが、受付嬢も副ギルドマスターも同じギルドマスターの部下ですよ」
「それはそうだがね……それはともかく、セリナ君は最初から彼の事を見抜いて私に引き合わせたのかな?」
「そうですね…正直に言いますと、私では持て余すと思ったからマスターをすぐにお呼びしました」
「それは、彼がシュタット子爵家の…貴族だからかい?」
「いいえ、それだけなら私の、副ギルドマスター権限の中でも‘‘対応は‘‘出来ました」
「‘‘対応は‘‘ね……」
「はい。もっとも正解か不正解かは分かりませんでしたが…」
「ふむ……セリナ君にしては慎重というか何というか」
「マスターも人のことを言えないではないですか。随分甘かったですよ?」
「何のことかな?」
私は少し愉快な気持ちになりながら惚ける。
「依頼を‘‘そのまま‘‘引き受けず、依頼の内容を変えるよう提案したことですよ」
「バレてたか」
苦笑しながら答える。そう、彼からの依頼をそのまま引き受けていても良かったのだが……
「それだけではありませんよ」
「まだあるのかい?」
「‘‘指名依頼‘‘ですよ。それもギルドマスター自らのです」
そう、ギルドマスターからの直々の指名依頼など普通に考えれば断ることなどできない。口さがないものは‘‘強制依頼‘‘などと言う。
とはいえ、ギルドマスター権限の指名依頼などは強制力が高いので、おいそれとは使えないのだ。
「そうだね。でもね、それでも彼との接点を作っておくことは決して無駄にはならないと思うよ。実際他の誰かが対応して呆れられ他の支部に行っていたらと思うと……」
そう、シュタット子爵家からの信用もそうだが、あれほどの傑物ならあと数年もすれば自然と頭角を現すだろう。その時に繋がりがあるのとないのとでは雲泥の差がある。
「そうですね…」
セリナ君も私と同じことを考えたようで一瞬だけ震えていた。
「まぁ、今はこの幸運を生かそう」
明るい声を出し雰囲気を変える。
「はい。ところで、誰にいえ、どのパーティーに指名依頼を出すのですか?」
「う~~ん。ここは奮発して彼女を、‘‘ルミア君‘‘を呼ぼうと思っているんだ」
「っっ!?正気ですか!?」
「失礼だね……でもね、きっと楽しいことになるよ」
個室から出ていくレギル・シュタットと名乗った彼の姿を見ながらホッと一息つく。
「お疲れさまでした」
セリナ君が声を掛けてくる。
「彼は君のことを受付嬢と思っているよ。いいのかな?」
「問題ありませんよ‘‘ギルドマスター殿‘‘」
「聞いていたのか……いい趣味だとは言えないよ‘‘副ギルドマスター殿‘‘」
「失礼致しました。ですが、たまにはカウンターに座ってみるものですね。あのような傑物に出会えるとは……」
「彼はまた別格だと思うがね……」
私は苦笑しながら言葉を返す。
そう、本当に別格だと思ったのだ。あの子供の姿をした傑物は
「ですが、面白い着眼点からマスターの演技を見抜きましたね」
「セリナ君のことを受付嬢だと思ってはいたようだけどね」
「ですが、受付嬢も副ギルドマスターも同じギルドマスターの部下ですよ」
「それはそうだがね……それはともかく、セリナ君は最初から彼の事を見抜いて私に引き合わせたのかな?」
「そうですね…正直に言いますと、私では持て余すと思ったからマスターをすぐにお呼びしました」
「それは、彼がシュタット子爵家の…貴族だからかい?」
「いいえ、それだけなら私の、副ギルドマスター権限の中でも‘‘対応は‘‘出来ました」
「‘‘対応は‘‘ね……」
「はい。もっとも正解か不正解かは分かりませんでしたが…」
「ふむ……セリナ君にしては慎重というか何というか」
「マスターも人のことを言えないではないですか。随分甘かったですよ?」
「何のことかな?」
私は少し愉快な気持ちになりながら惚ける。
「依頼を‘‘そのまま‘‘引き受けず、依頼の内容を変えるよう提案したことですよ」
「バレてたか」
苦笑しながら答える。そう、彼からの依頼をそのまま引き受けていても良かったのだが……
「それだけではありませんよ」
「まだあるのかい?」
「‘‘指名依頼‘‘ですよ。それもギルドマスター自らのです」
そう、ギルドマスターからの直々の指名依頼など普通に考えれば断ることなどできない。口さがないものは‘‘強制依頼‘‘などと言う。
とはいえ、ギルドマスター権限の指名依頼などは強制力が高いので、おいそれとは使えないのだ。
「そうだね。でもね、それでも彼との接点を作っておくことは決して無駄にはならないと思うよ。実際他の誰かが対応して呆れられ他の支部に行っていたらと思うと……」
そう、シュタット子爵家からの信用もそうだが、あれほどの傑物ならあと数年もすれば自然と頭角を現すだろう。その時に繋がりがあるのとないのとでは雲泥の差がある。
「そうですね…」
セリナ君も私と同じことを考えたようで一瞬だけ震えていた。
「まぁ、今はこの幸運を生かそう」
明るい声を出し雰囲気を変える。
「はい。ところで、誰にいえ、どのパーティーに指名依頼を出すのですか?」
「う~~ん。ここは奮発して彼女を、‘‘ルミア君‘‘を呼ぼうと思っているんだ」
「っっ!?正気ですか!?」
「失礼だね……でもね、きっと楽しいことになるよ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜
くまみ
ファンタジー
前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?
「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。
仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。
病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。
「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!
「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」
魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。
だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。
「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」
これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。
伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!
生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~
イチイ アキラ
ファンタジー
生まれ変わったら飛べない鳥――ペンギンでした。
ドラゴンとして生まれ変わったらしいのにどうみてもペンギンな、ドラゴン名ジュヌヴィエーヴ。
兄姉たちが巣立っても、自分はまだ巣に残っていた。
(だって飛べないから)
そんなある日、気がつけば巣の外にいた。
…人間に攫われました(?)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる