46 / 66
12度:初めてのクリスマス
46話
しおりを挟む
今夜は間違いなくするであろう。そのまま明日もずっと…。
慧くんが求めなくても、きっと私が求めてしまいそうだ。
それだけ慧くんとの触れ合いは甘美な時間で。時間を忘れるほど求めてしまう。
元々私はそこまで欲が強いタイプではなかった。経験がなかったため、好きな人と触れ合うことの良さを知らなかった。
でも慧くんによって変えられた。慧くんの人肌を知ってしまった私は、欲深い人間になっていた。
慧くんのことが好きだからもっと彼のことを欲しくなるのもあるが、慧くんがそういったテクニックに長けているため上手なのもある。
それなりに経験を積んできたのであろう。今更過去のことについてヤキモチを妬いたりはしないが、羨ましいとは思う。私より先に慧くんと出会い、慧くんの初めてをもらっていることが。
そんなことを考えてもキリがないので、あまり考えないようにしている。
だって今は私の彼氏であり、今こうして彼と触れ合っているのは私だから。
そんなことよりも、月曜日の自分の身体の方が心配だ。
「京香さん、お酒と食べ物をどうぞ」
慧くんが色々とクリスマスパーティーの準備をしてくれた。
何もしなくても食べ物や飲み物が出てくる。本当に贅沢な幸せだ。
「ありがとう。美味しそう…」
「今日みたいな日は贅沢したいなと思って、ちょっとお高いデリバリーを注文しておきました」
目の前に置かれた食べ物は見るからに高級そうに見える。一体、いくらしたのだろうか。
少しくらいお金を出したいが、こういった時、黙って奢られる方がいいのか。はたまた割り勘にした方がいいのか。未だに迷ってしまう。
「京香さん。お金のことは気にしないでください。俺がやりたくてやっていることなので」
いつもそう言われてしまうので、結局奢られることが多い。
慧くんがそれでいいなら、私はそれで構わない。彼の嬉しそうな顔を見るのが一番だから。
「そっか。それならお言葉に甘えちゃおうかな…」
「そうしてもらえると、俺としては嬉しいです。さぁ、せっかくの美味しい料理があるので、早速食べちゃいましょう」
せっかく美味しいものがあるのだから、何もせずにいる方が勿体ない。
それに美味しいものが大好きな私にとっては、食べたり飲んだりしないという選択はない。
だから思いっきり美味しい料理とお酒を堪能することにした。
「そうしよっか。それじゃ早速、頂いちゃおうかな」
「是非。まずは乾杯」
「乾杯…」
グラスに注がられたシャンパンをまずは頂く。
手に持ったグラスを口元まで運び、口の中に泡を流し込む。程良い泡とフルーティーな匂い。ほのかに甘い味が喉を伝う。
あまりの美味しさに、気がついたらどんどん飲んでしまった。
美味しいお酒とはこういうお酒のことを言うんだなと感心させられた。
「美味しい…。とても飲みやすい」
「京香さんに気に入ってもらえて嬉しいです。食べ物もどうぞ」
目の前には様々な料理が用意されている。これは一晩で食べられる量ではない。どうやら次の日のクリスマスの分も含めて用意してくれたみたいだ。
どれも美味しそうなので食べたいが、さすがに全部は食べられる量ではないので、この中から食べたいものを選んで食べるのが得策であろう。
それに明日には今日食べられなかったものが食べられる。そう思えば慌てる必要はない。
慎重に食べたいものを見極める。まず最初に食べたいと思ったものは…。
「えっと…、それじゃローストビーフが食べたいです」
すると、慧くんがお取り皿の上に装ってくれた。
ちなみに私が食べたいローストビーフは、サラダの上にローストビーフが乗っていたので、サラダも一緒に取り分けてもらった。
「はい、どうぞ」
慧くんは当たり前のように何でもしてくれる。まるで少女漫画の王子様みたいに…。
きっと彼は王子様になるためにこの世に生まれてきたのかもしれない。
…ってこれはさすがに美化し過ぎか。いくら彼氏が好き過ぎるからとはいえども自重しないと。
それぐらい初めてできた彼氏にしてはできすぎた男だ。慧くんを失ったら私はこの先の未来に希望は何もない。
そう断言できるくらいに私にとって彼は大切な存在で。失ってはダメな存在になっていた。
「ありがとう。いただきます…」
サラダと一緒にローストビーフを箸で取り、口元へと運んでいく。
「んー…美味しい」
口の中に入れた瞬間、あまりの柔らかさに感動した。
溶けてなくなってしまうとは、このことか!と実感した。
「俺もローストビーフを食べようかな」
自分の分を箸で掬って、お皿に装い、そしてそのままローストビーフを食べ始めた。
食べ始めた瞬間、一気に表情が美味しさのあまり幸福に満ち溢れている表情になった。
「美味しいですね。これは何度でも食べられる美味しさです」
慧くんの気持ちはよく分かる。大袈裟な表現に感じるかもしれないが、私も同じ気持ちだ。
ローストビーフは今夜でなくなってしまうことが確定した。今すぐにでもおかわりしたいくらいだ。
「分かる。私もおかわりしたい」
「それじゃ二人でおかわりしましょうか。俺がまた取ります」
よく合コンで女性が男性の食べたいものを積極的に取り分ける話を聞いたことがある。
私は合コンに行ったことがないので、実際どういうものなのか知らないが、今目の前でそれをされて嬉しいと思った。
嫌がる人もいるかもしれないが、人は自分に親切にされたら嬉しいものだ。
こんなふうに自然に気を遣える人がモテるんだなと実感した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。いただきます…」
またローストビーフが食べられる喜びが大きくて。取り分けてもらったお皿を受け取った瞬間、がっついてしまった。
「美味しそうに食べる京香さんが可愛いです」
微笑みながらこちらを見ている。その笑顔に胸を一気に鷲掴みにされた。
「嬉しいけど恥ずかしい…。あんまり見ないで」
「それは無理です。だって京香さんが可愛いすぎるから」
更に追い討ちをかけられた。もう食欲より色欲の方にスイッチが入りそうだ。
「か、可愛いすぎるって…。そんなことないと思うけど」
ちょっとだけ反論してみた。嬉しいけど恥ずかしい気持ちもあって。
それに客観的に見て、私はそんなに可愛い方ではない。容姿もそうだが、中身も。
素直に人の気持ちをまっすぐに受け止められないところがまさにそうだ。
「俺にとってはとても可愛いです。いつも俺がしたことを喜んでくれたり。そういう素直で純粋なところも可愛いですし、もちろん俺は京香さんの顔も好きです。めちゃくちゃタイプです。顔も性格も大好きなので、可愛いすぎて尊いです」
尊い…。まさかそこまで言われるとは思わなかった。
慧くんは相当物好きだと思う。私なんかより可愛くて若い人がたくさんいるのに、私を選んだ。
でも同時に私を見つけてくれたことが嬉しかった。誰かに愛される幸せを知ったから。
私にとって慧くんは理想そのものだ。だから彼と同じ気持ちで嬉しかった。
「ありがと…。ごめん。面倒くさいこと言って」
「面倒くさくないですよ。照れてる姿も可愛いです」
彼の目は節穴ではないだろうか。そう疑ってしまいたくなるほど、降り注がれる甘い言葉が耳をくすぐる。
彼の甘い言葉が私の心に安らぎを与えてくれる。そして前より自信が湧いてきて。自分をより好きになれる。
好きな人の存在は良くも悪くも影響力が大きい。良い恋人に出会えたなと心からそう思っている。
「俺としては今まで如月さんが京香さんに手を出してこなかったことに感謝しているくらいなんです。だから京香さんの一挙手一投足が可愛くて仕方がないんです。それはこれからも変わりません。ずっと可愛くて大好きな人です」
“ずっと可愛くて大好きな人”…。まっすぐに私の瞳を見て伝えてくれた。
それだけで彼の気持ちが本気であることが伝わってきた。それが嬉しかった。彼との将来があるということが分かったから。
以前にも私との将来について考えてくれていることを伝えてくれた。しかも彼は近い将来と言っていた。
ぶっちゃけ年齢的にも焦っている部分はある。結婚だけじゃなく出産も考えるとより…。
それが遠い未来じゃないと思えるだけで安心する。今からもっと楽しみな未来が待っているから。
「私も慧くんへの想いはこれからも変わらないよ。ずっと大好きで大切な人だよ」
ちゃんと自分の想いを伝えた。言葉にして伝えないと相手に伝わらないから。
それが大事なことだと彼と過ごしてきた日々の中で学んだ。これからも大事にしていきたい。
「京香さんにそう言ってもらえて嬉しいです。俺にとって最高のクリスマスプレゼントです」
慧くんにそう思ってもらえて嬉しい反面、ちゃんと用意したプレゼントがあるので、そちらを楽しみにしてほしい気持ちもある。
ちゃんと慧くんの欲しい物を選べていたら良いのだが…。それだけが心配だ。
今更心配してももう遅い。それに好きな人からもらえるプレゼントなら、高級ブランドよりも好きな人からの気持ちの方が最高のプレゼントになる。
私も慧くんの愛情を感じられる方が嬉しい。いつも愛情を感じることができて本当に幸せだ。
「ちゃんとクリスマスプレゼントは用意してるからね?楽しみにしてくれてると嬉しいな」
「もちろん楽しみにしてますよ。俺も用意してるので、京香さんも楽しみにしててください」
慧くんからのプレゼントというだけで嬉しい。それがクリスマスプレゼントいう付加価値が更に付く。
「もちろん楽しみにしてるよ。今から色々楽しみだな…」
「はい。俺も楽しみです。まだまだ今夜は長いですからね」
まだローストビーフしか食べていないから、他の料理も食べたい。
「次は何が食べたいですか?」
パッと目に入ったのは…。
「ピザが食べたいです」
「ピザですね。どうぞ」
ピザが乗っているお皿ごと取り、私の方に向けてくれた。
私は一切れのピザを手に取り、そのまま一口口つけた。
よくある三角形の形をしていて。一番端のチーズがたっぷりのところから食べた。
チーズが程良く溶けていて。齧った瞬間、チーズがよく伸びた。
ピザの味もチーズとソースと具材の相性がよくマッチしていて。何枚でも食べられそうだ。
「ピザも美味しい。もう一枚食べちゃおうかな」
「どうぞどうぞ。俺も食べようかな…」
それぞれ適当にピザを一枚ずつ取る。そして一斉に食べ始める。
「…美味しい。これは無限に食べれちゃいますね」
実際に無限に食べることは大食いではないのでできないが、このピザの美味しさを表現する例えとしてはぴったりだ。
「食べれるね。また今度食べたいね」
これからも二人で美味しいものを共有していきたい。どんどん二人で好きなものを増やしていけたらいいな。
「そうですね、また一緒に食べたいですね」
今まで過ごしてきたクリスマスとは違って、誰かと一緒に美味しいものを食べられる。
これがどんなに幸せなことか。やっとその幸せを味わうことができて感動した。
「美咲くん。チキンも食べてもいい?」
「良いですよ。はい、チキンです」
適当にチキンを一つもらい、食べた。
チキンを噛んだ瞬間、カリカリの衣と柔らかいお肉が美味しくて。これぞ安心安定のチキンの美味しさだなと思った。
「やっぱりクリスマスといえばチキンだよね」
「チキンですね。チキンはケーキと同様、クリスマスにおいては外せない定番メニューですね」
確かに外せない定番メニューだ。クリスマスの必需品といっても過言ではない。
「絶対に外せないね。なくてはならないものだね」
「そうですね。特にケーキはクリスマスにおいて主役ですからね」
間違いなく主役だ。ケーキがないクリスマスなんてクリスマスじゃない。
「主役だね。ケーキはなくてはならないもの」
「はい。なくてはならないですね」
クリスマスの定番はあった方が雰囲気も盛り上がる。そのために用意する。
せっかくのクリスマスなんだから、楽しくないとつまらない。
それにケーキはそんなに頻繁に食べるものではない。誕生日とか特別な時くらいで。
だからこそ、こういった特別な時に食べられることが嬉しいので、その分楽しみにしている。
慧くんが求めなくても、きっと私が求めてしまいそうだ。
それだけ慧くんとの触れ合いは甘美な時間で。時間を忘れるほど求めてしまう。
元々私はそこまで欲が強いタイプではなかった。経験がなかったため、好きな人と触れ合うことの良さを知らなかった。
でも慧くんによって変えられた。慧くんの人肌を知ってしまった私は、欲深い人間になっていた。
慧くんのことが好きだからもっと彼のことを欲しくなるのもあるが、慧くんがそういったテクニックに長けているため上手なのもある。
それなりに経験を積んできたのであろう。今更過去のことについてヤキモチを妬いたりはしないが、羨ましいとは思う。私より先に慧くんと出会い、慧くんの初めてをもらっていることが。
そんなことを考えてもキリがないので、あまり考えないようにしている。
だって今は私の彼氏であり、今こうして彼と触れ合っているのは私だから。
そんなことよりも、月曜日の自分の身体の方が心配だ。
「京香さん、お酒と食べ物をどうぞ」
慧くんが色々とクリスマスパーティーの準備をしてくれた。
何もしなくても食べ物や飲み物が出てくる。本当に贅沢な幸せだ。
「ありがとう。美味しそう…」
「今日みたいな日は贅沢したいなと思って、ちょっとお高いデリバリーを注文しておきました」
目の前に置かれた食べ物は見るからに高級そうに見える。一体、いくらしたのだろうか。
少しくらいお金を出したいが、こういった時、黙って奢られる方がいいのか。はたまた割り勘にした方がいいのか。未だに迷ってしまう。
「京香さん。お金のことは気にしないでください。俺がやりたくてやっていることなので」
いつもそう言われてしまうので、結局奢られることが多い。
慧くんがそれでいいなら、私はそれで構わない。彼の嬉しそうな顔を見るのが一番だから。
「そっか。それならお言葉に甘えちゃおうかな…」
「そうしてもらえると、俺としては嬉しいです。さぁ、せっかくの美味しい料理があるので、早速食べちゃいましょう」
せっかく美味しいものがあるのだから、何もせずにいる方が勿体ない。
それに美味しいものが大好きな私にとっては、食べたり飲んだりしないという選択はない。
だから思いっきり美味しい料理とお酒を堪能することにした。
「そうしよっか。それじゃ早速、頂いちゃおうかな」
「是非。まずは乾杯」
「乾杯…」
グラスに注がられたシャンパンをまずは頂く。
手に持ったグラスを口元まで運び、口の中に泡を流し込む。程良い泡とフルーティーな匂い。ほのかに甘い味が喉を伝う。
あまりの美味しさに、気がついたらどんどん飲んでしまった。
美味しいお酒とはこういうお酒のことを言うんだなと感心させられた。
「美味しい…。とても飲みやすい」
「京香さんに気に入ってもらえて嬉しいです。食べ物もどうぞ」
目の前には様々な料理が用意されている。これは一晩で食べられる量ではない。どうやら次の日のクリスマスの分も含めて用意してくれたみたいだ。
どれも美味しそうなので食べたいが、さすがに全部は食べられる量ではないので、この中から食べたいものを選んで食べるのが得策であろう。
それに明日には今日食べられなかったものが食べられる。そう思えば慌てる必要はない。
慎重に食べたいものを見極める。まず最初に食べたいと思ったものは…。
「えっと…、それじゃローストビーフが食べたいです」
すると、慧くんがお取り皿の上に装ってくれた。
ちなみに私が食べたいローストビーフは、サラダの上にローストビーフが乗っていたので、サラダも一緒に取り分けてもらった。
「はい、どうぞ」
慧くんは当たり前のように何でもしてくれる。まるで少女漫画の王子様みたいに…。
きっと彼は王子様になるためにこの世に生まれてきたのかもしれない。
…ってこれはさすがに美化し過ぎか。いくら彼氏が好き過ぎるからとはいえども自重しないと。
それぐらい初めてできた彼氏にしてはできすぎた男だ。慧くんを失ったら私はこの先の未来に希望は何もない。
そう断言できるくらいに私にとって彼は大切な存在で。失ってはダメな存在になっていた。
「ありがとう。いただきます…」
サラダと一緒にローストビーフを箸で取り、口元へと運んでいく。
「んー…美味しい」
口の中に入れた瞬間、あまりの柔らかさに感動した。
溶けてなくなってしまうとは、このことか!と実感した。
「俺もローストビーフを食べようかな」
自分の分を箸で掬って、お皿に装い、そしてそのままローストビーフを食べ始めた。
食べ始めた瞬間、一気に表情が美味しさのあまり幸福に満ち溢れている表情になった。
「美味しいですね。これは何度でも食べられる美味しさです」
慧くんの気持ちはよく分かる。大袈裟な表現に感じるかもしれないが、私も同じ気持ちだ。
ローストビーフは今夜でなくなってしまうことが確定した。今すぐにでもおかわりしたいくらいだ。
「分かる。私もおかわりしたい」
「それじゃ二人でおかわりしましょうか。俺がまた取ります」
よく合コンで女性が男性の食べたいものを積極的に取り分ける話を聞いたことがある。
私は合コンに行ったことがないので、実際どういうものなのか知らないが、今目の前でそれをされて嬉しいと思った。
嫌がる人もいるかもしれないが、人は自分に親切にされたら嬉しいものだ。
こんなふうに自然に気を遣える人がモテるんだなと実感した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。いただきます…」
またローストビーフが食べられる喜びが大きくて。取り分けてもらったお皿を受け取った瞬間、がっついてしまった。
「美味しそうに食べる京香さんが可愛いです」
微笑みながらこちらを見ている。その笑顔に胸を一気に鷲掴みにされた。
「嬉しいけど恥ずかしい…。あんまり見ないで」
「それは無理です。だって京香さんが可愛いすぎるから」
更に追い討ちをかけられた。もう食欲より色欲の方にスイッチが入りそうだ。
「か、可愛いすぎるって…。そんなことないと思うけど」
ちょっとだけ反論してみた。嬉しいけど恥ずかしい気持ちもあって。
それに客観的に見て、私はそんなに可愛い方ではない。容姿もそうだが、中身も。
素直に人の気持ちをまっすぐに受け止められないところがまさにそうだ。
「俺にとってはとても可愛いです。いつも俺がしたことを喜んでくれたり。そういう素直で純粋なところも可愛いですし、もちろん俺は京香さんの顔も好きです。めちゃくちゃタイプです。顔も性格も大好きなので、可愛いすぎて尊いです」
尊い…。まさかそこまで言われるとは思わなかった。
慧くんは相当物好きだと思う。私なんかより可愛くて若い人がたくさんいるのに、私を選んだ。
でも同時に私を見つけてくれたことが嬉しかった。誰かに愛される幸せを知ったから。
私にとって慧くんは理想そのものだ。だから彼と同じ気持ちで嬉しかった。
「ありがと…。ごめん。面倒くさいこと言って」
「面倒くさくないですよ。照れてる姿も可愛いです」
彼の目は節穴ではないだろうか。そう疑ってしまいたくなるほど、降り注がれる甘い言葉が耳をくすぐる。
彼の甘い言葉が私の心に安らぎを与えてくれる。そして前より自信が湧いてきて。自分をより好きになれる。
好きな人の存在は良くも悪くも影響力が大きい。良い恋人に出会えたなと心からそう思っている。
「俺としては今まで如月さんが京香さんに手を出してこなかったことに感謝しているくらいなんです。だから京香さんの一挙手一投足が可愛くて仕方がないんです。それはこれからも変わりません。ずっと可愛くて大好きな人です」
“ずっと可愛くて大好きな人”…。まっすぐに私の瞳を見て伝えてくれた。
それだけで彼の気持ちが本気であることが伝わってきた。それが嬉しかった。彼との将来があるということが分かったから。
以前にも私との将来について考えてくれていることを伝えてくれた。しかも彼は近い将来と言っていた。
ぶっちゃけ年齢的にも焦っている部分はある。結婚だけじゃなく出産も考えるとより…。
それが遠い未来じゃないと思えるだけで安心する。今からもっと楽しみな未来が待っているから。
「私も慧くんへの想いはこれからも変わらないよ。ずっと大好きで大切な人だよ」
ちゃんと自分の想いを伝えた。言葉にして伝えないと相手に伝わらないから。
それが大事なことだと彼と過ごしてきた日々の中で学んだ。これからも大事にしていきたい。
「京香さんにそう言ってもらえて嬉しいです。俺にとって最高のクリスマスプレゼントです」
慧くんにそう思ってもらえて嬉しい反面、ちゃんと用意したプレゼントがあるので、そちらを楽しみにしてほしい気持ちもある。
ちゃんと慧くんの欲しい物を選べていたら良いのだが…。それだけが心配だ。
今更心配してももう遅い。それに好きな人からもらえるプレゼントなら、高級ブランドよりも好きな人からの気持ちの方が最高のプレゼントになる。
私も慧くんの愛情を感じられる方が嬉しい。いつも愛情を感じることができて本当に幸せだ。
「ちゃんとクリスマスプレゼントは用意してるからね?楽しみにしてくれてると嬉しいな」
「もちろん楽しみにしてますよ。俺も用意してるので、京香さんも楽しみにしててください」
慧くんからのプレゼントというだけで嬉しい。それがクリスマスプレゼントいう付加価値が更に付く。
「もちろん楽しみにしてるよ。今から色々楽しみだな…」
「はい。俺も楽しみです。まだまだ今夜は長いですからね」
まだローストビーフしか食べていないから、他の料理も食べたい。
「次は何が食べたいですか?」
パッと目に入ったのは…。
「ピザが食べたいです」
「ピザですね。どうぞ」
ピザが乗っているお皿ごと取り、私の方に向けてくれた。
私は一切れのピザを手に取り、そのまま一口口つけた。
よくある三角形の形をしていて。一番端のチーズがたっぷりのところから食べた。
チーズが程良く溶けていて。齧った瞬間、チーズがよく伸びた。
ピザの味もチーズとソースと具材の相性がよくマッチしていて。何枚でも食べられそうだ。
「ピザも美味しい。もう一枚食べちゃおうかな」
「どうぞどうぞ。俺も食べようかな…」
それぞれ適当にピザを一枚ずつ取る。そして一斉に食べ始める。
「…美味しい。これは無限に食べれちゃいますね」
実際に無限に食べることは大食いではないのでできないが、このピザの美味しさを表現する例えとしてはぴったりだ。
「食べれるね。また今度食べたいね」
これからも二人で美味しいものを共有していきたい。どんどん二人で好きなものを増やしていけたらいいな。
「そうですね、また一緒に食べたいですね」
今まで過ごしてきたクリスマスとは違って、誰かと一緒に美味しいものを食べられる。
これがどんなに幸せなことか。やっとその幸せを味わうことができて感動した。
「美咲くん。チキンも食べてもいい?」
「良いですよ。はい、チキンです」
適当にチキンを一つもらい、食べた。
チキンを噛んだ瞬間、カリカリの衣と柔らかいお肉が美味しくて。これぞ安心安定のチキンの美味しさだなと思った。
「やっぱりクリスマスといえばチキンだよね」
「チキンですね。チキンはケーキと同様、クリスマスにおいては外せない定番メニューですね」
確かに外せない定番メニューだ。クリスマスの必需品といっても過言ではない。
「絶対に外せないね。なくてはならないものだね」
「そうですね。特にケーキはクリスマスにおいて主役ですからね」
間違いなく主役だ。ケーキがないクリスマスなんてクリスマスじゃない。
「主役だね。ケーキはなくてはならないもの」
「はい。なくてはならないですね」
クリスマスの定番はあった方が雰囲気も盛り上がる。そのために用意する。
せっかくのクリスマスなんだから、楽しくないとつまらない。
それにケーキはそんなに頻繁に食べるものではない。誕生日とか特別な時くらいで。
だからこそ、こういった特別な時に食べられることが嬉しいので、その分楽しみにしている。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
“熟年恋愛”物語
山田森湖
恋愛
妻を亡くし、独りで過ごす日々に慣れつつあった 圭介(56)。
子育てを終え、長く封じ込めていた“自分の時間”をようやく取り戻した 佳奈美(54)。
どちらも、恋を求めていたわけではない。
ただ——「誰かと話したい」「同じ時間を共有したい」、
そんな小さな願いが胸に生まれた夜。
ふたりは、50代以上限定の交流イベント“シングルナイト”で出会う。
最初の一言は、たった「こんばんは」。
それだけなのに、どこか懐かしいような安心感が、お互いの心に灯った。
週末の夜に交わした小さな会話は、
やがて食事の誘いへ、
そして“誰にも言えない本音”を語り合える関係へと変わっていく。
過去の傷、家族の距離、仕事を終えた後の空虚——
人生の後半戦だからこそ抱える孤独や不安を共有しながら、
ふたりはゆっくりと心の距離を縮めていく。
恋に臆病になった大人たちが、
無理をせず、飾らず、素のままの自分で惹かれ合う——
そんな“優しい恋”の物語。
もう恋なんてしないと思っていた。
でも、あの夜、確かに何かが始まった。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
氷の上司に、好きがバレたら終わりや
naomikoryo
恋愛
──地方から本社に異動してきた29歳独身OL・舞子。
お調子者で明るく、ちょっとおせっかいな彼女の前に現れたのは、
“氷のように冷たい”と社内で噂される40歳のイケメン上司・本庄誠。
最初は「怖い」としか思えなかったはずのその人が、
実は誰よりもまっすぐで、優しくて、不器用な人だと知ったとき――
舞子の中で、恋が芽生えはじめる。
でも、彼には誰も知らない過去があった。
そして舞子は、自分の恋心を隠しながら、ゆっくりとその心の氷を溶かしていく。
◆恋って、“バレたら終わり”なんやろか?
◆それとも、“言わな、始まらへん”んやろか?
そんな揺れる想いを抱えながら、仕事も恋も全力投球。
笑って、泣いて、つまずいて――それでも、前を向く彼女の姿に、きっとあなたも自分を重ねたくなる。
関西出身のヒロイン×無口な年上上司の、20話で完結するライト文芸ラブストーリー。
仕事に恋に揺れるすべてのOLさんたちへ。
「この恋、うちのことかも」と思わず呟きたくなる、等身大の恋を、ぜひ読んでみてください。
○と□~丸い課長と四角い私~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
佐々鳴海。
会社員。
職場の上司、蔵田課長とは犬猿の仲。
水と油。
まあ、そんな感じ。
けれどそんな私たちには秘密があるのです……。
******
6話完結。
毎日21時更新。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる