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12度:初めてのクリスマス
45話
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月日の流れはあっという間で。気がついたらもうすぐクリスマスだ。
慧くんとお付き合いを始めて、初めてのクリスマス。私にとっては恋人と過ごす初めてのクリスマス。
初めてのことがいっぱいで。今からもうドキドキしている…。
今年は運良くクリスマスがお休みだ。二十四日が金曜日で、二十五日が土曜日となっているので、慧くん家でお泊まりする予定だ。
ということはつまり何かあるかもしれない。寧ろ何もない方が悲しい。
そうなるとこっちも事前に念入りの準備が必要だ。主にムダ毛処理や可愛い下着などの準備が…。
慧くんはそんなこと気にしないと思うけど、私が気にする。できれば綺麗な私を見てほしい。
今からクリスマスまでの間に色々準備を開始した。もちろんクリスマスプレゼントもちゃんと用意する。プレゼントも喜んでくれたら嬉しいな。
期待に胸を膨らませながら、クリスマスが訪れるのを待った。
*
そしてクリスマス当日…。
二十四日の金曜日の本日は社内も街並みも浮かれモードだ。
きっと恋人と過ごす人が多いのであろう。もちろん家族や友達と楽しく過ごす人もいる。
これまでの私のクリスマスの過ごし方は、ケーキとお酒を買って、クリスマス特番を見ながら一人でお酒を飲みつつ、ケーキを食べる…というつまらないクリスマスを過ごしていた。
このままずっとこういったぼっちクリスマスを過ごすものだとばかり思っていた。
それがまさか社内一イケメンの年下彼氏ができるなんて思ってもみなかった。
人生何が起きるかなんて分からない。思いも寄らない幸運が待ち受けていた。
そんなことを考えていたら、仕事中にも関わらずニヤけてしまった。それを見逃さない人がいた。
「おい。クリスマスだからって浮かれるな。気持ちは分からなくもないけどな。まぁ俺もこの後…、いやなんでもない」
如月くんもどうやら恋人と一緒にクリスマスを過ごすみたいだ。
そんな浮かれた如月くんも悪くないなと思った。
「へぇー。そうなんだ。如月くん、彼女できたんだね」
わざと煽ってみた。少しだけ気になった。如月くんの新しい想い人がどんな人なのか…。
「彼女ではない。やることはやってるけど」
つまりそれって…。敢えて言葉にはしないが、如月くんも男なんだなと思った。
「そっか。その子と付き合わないの?」
「正直分かんねー。ずっと拗らせてた長い想いを抱えてたのがやっと終わったばかりで。新しい恋に踏み出したいけど、なかなか前へ進めないというか。でも男だからつい欲に負けちゃって。ぶっちゃけ向こうもどう想ってるのか分かんねー」
こんなに気弱な如月くんはレアだ。なんだか新鮮すぎて、不思議に感じた。
「二人の関係性をはっきり知っているわけじゃないけど、クリスマスを一緒に過ごしてくれる時点で答えははっきり見えてると思うよ。拗らせた想いの分も次の恋愛では発揮しなきゃ。ここで逃げたらまた後悔することにならない?」
きっと如月くんの中ではすぐに次の恋へ向かうということがハードルが高いのであろう。簡単にすぐ次へ向かうことが今までの恋愛を軽視しているみたいで嫌なんだと思う。
それだけ私のことを想ってくれていたということにもなるが。それだけ想ってくれている人に対して、一ミリもその好意に気づかなかった私、どうかしてるけど…。
でもそんな如月くんだからこそ、次の恋に向かってほしい。その恋が報われなくても。報われても。きっと前へ進むことに意味がある。
「葉月の言う通りだな。俺、今日その子に告白してみる。ありがと。葉月のお陰で前に進めそうだわ」
如月くが前を向けるようになって良かった。新しい恋が実ることを願った。
「いえいえ。お役に立ててなにより」
誰かの役に立てるのは素直に嬉しい。それが同僚なら尚更嬉しい。
「早く前へ進んでもらわないとこっちも困りますからね。いつまでも想い続ける男なんて重すぎて、ストーカーと一緒ですからね」
後ろから愛おしい人の声が聞こえた。相変わらず慧くんは如月くんのことが気になっているみたいだ。
「お前…。そろそろ俺をマークするのは止めろ。もう普通に同僚としてか見てないからな」
如月くんの気持ちはもうとっくに吹っ切れている。それが分かり、少しでも慧くんの心の負担が軽くなることを願った。
「こちらとしてはとても有難いんですが、まだ俺は完全にあなたのことを信用してませんので」
慧くんって顔に見合わず、嫉妬深いし独占欲が強い。ここまで想ってもらえて嬉しいが、時に怖くなるほどの愛情の深さだ。
「…はぁ。葉月、いい加減この彼氏の嫉妬深さ、どうにかしてくれ」
本当に如月くんは困った表情を浮かべていた。私にどうにかできたらいいのだが、どうにもできそうにない。
「あんな男なんてさておき、もう今日の終業時間ですので、京香さん一緒に帰りましょ」
まだ社内には多くの社員が残っている。それなのにも関わらず、堂々と私との仲を見せつけている。
「う、うん。そうだね。帰ろっか」
でもまだ手は繋がない。とはいっても会社の人にイチャイチャしているところを見られるのは恥ずかしい。
付き合っていることは隠しているが、社内でも話す頻度が高いので、仲が良いことはバレているような気がする。
バレていたとしても今のところ嫌がらせを受けたりはしていないので、まぁ大丈夫であろう。
きっと誰も付き合っているなんて思ってもいないはず。だから誰も咎めないのかもしれない。
それはそれでラッキーだったということで。何も気にしないのが一番だ。
とはいえどもわざと煽るようなことはしたくないので、抑えるところは抑えるようにしている。
「今日も忙しかったから疲れたね…」
年末ということもあり、休む暇もないくらい仕事量が多く、忙しかった。
でも心なしか皆休むべきところで休みたいからか、必死で仕事に取り組んでいた。
かく言う私も皆に同じく必死に仕事を頑張った。なんとか終業時間内に終わらせることができた。
「そうですね、めちゃくちゃ忙しかったです」
年末はどこも出かけずにお家でゆっくり過ごしたい。そう思ってしまうほど、あまりの忙しさに身体が疲弊している。
「今日は思いっきり楽しみましょうね。色々用意しておきましたので」
色々…。美味しいものをたくさん準備してくれたのかな?お酒もあるだろうから楽しみだな。
「え?そうなの?楽しみ」
「楽しみにしててください。ケーキだけは当日受け取りなので、帰り道に寄って受け取りに行きます」
今から一緒にケーキを買いに行ける。それだけで楽しみだ。
「なるほど。そうなんだね。今から取りに行くの楽しみだね」
どんなケーキを用意してくれたんだろう。それを想像するだけでより期待度が倍増する。
「そう言ってもらえて俺も楽しみです」
慧くんとただ一緒に帰り道を帰れるだけでも嬉しい。
「ちなみにどんなケーキにしたの?」
「それは家に帰ってからのお楽しみです」
こういう焦らされ方は大好きだ。ワクワク度が増すから。
「お?良い焦らし方してくれるね。期待してます」
「期待しててください。ケーキもそれ以外も自信があるので」
それ以外も…。勝手に想像してしまう。どれほどのものを用意したのだろう。
私が用意したプレゼントは大丈夫か、心配になってきた。
「分かった。期待しておくね」
今更プレゼントを新たに買いに行く時間はないため、プレゼントは諦めよう。
その分、身体でお返ししよう。可愛い下着も用意したし、ムダ毛処理だって完璧に処理したから大丈夫。
「京香さん。どうかしましたか?」
私が破廉恥なことを考えてぼーっとしていたら、慧くんに心配された。
慌てて何もなかったことを伝えた。
「どうもしないよ。ちょっとぼーっとしてただけ」
まさか破廉恥なことを考えていたなんて言えない。
でもきっと私がぼーっとしていると知り、バレているはずだ。破廉恥なことを考えていたと…。
「そうなんですね。そろそろ電車に乗って俺ん家の最寄り駅まで行きましょう」
敢えて触れないでくれた。そこが慧くんの優しさだ。
「うん。そうしよう」
会社の最寄駅から電車に乗って、慧くん家まで向かった。
今からクリスマスパーティーが始まるのかと思うとワクワクした。
*
帰りにケーキ屋さんに寄り、慧くん家に帰宅。
既に部屋の中がクリスマス用の装飾で飾られていた。
「すごい…。ありがとう、準備してくれて」
「いえいえ。でもこれだけじゃないんです」
慧くんが寝室へと向かった。そして手に何かを持って帰ってきた。
「せっかくクリスマスなので、お互いにサンタの格好でもしてみませんか?」
まさか服まで用意しているとは思わなかった。こういうのって本当に着る人がいるのか。フィクションの中だけだと思っていた。
本当は恥ずかしいけど、気分を盛り上げるために着てみるのも悪くないかもしれない。
「いいよ。着てみようかな…」
慧くんからもらい、服を脱衣所まで持っていき、着替えた。
サンタ服と聞いていたので、ってきりよくあるサンタの服かと思えばまさかの…。
「慧くん。これ丈が短くない?」
どうやら女性用の可愛いミニのサンタの服だったみたいだ。
これはもう恥ずかしいを通り越して、居た堪れない気持ちだ。
「俺にとってはちょうど良い長さですよ。京香さんの綺麗な足を拝むことができますので」
慧くんがそう言った瞬間、急に足に視線を感じた。
なんだか慧くんの視線がとてもいやらしい目に見えた。
「さーて、まずはお腹が空いたので、美味しい食べ物と飲み物を食べたり飲んだりしましょうか」
ってきりいきなりそういう展開になるのだとばかり思っていた。
でも違ったみたいで、恥ずかしくて顔が一気に真っ赤になった。
「そ、そうだね。そうしよっか」
「…あとで京香さんのこと、美味しくいただきますので。今日はたくさんしましょうね?明日は遅くなっても大丈夫ですし。俺的には明日もずっとしててもいいんですけどね」
それは私の体力が保ちそうにない。
でも今夜はたくさん求め合いたいとは思っている。
「明日のことはさておき、今夜は楽しい夜にしましょう」
明日はせっかく休日だし、クリスマスだ。
今日はあくまでクリスマスイブだ。なんなら明日が本番だ。
羽目を外さない程度に楽しむのが一番だと思うが、それは無理そうだ。既に変なスイッチが入ってしまったから。
「そうだね。とりあえず今夜、思いっきり楽しもう」
慧くんとお付き合いを始めて、初めてのクリスマス。私にとっては恋人と過ごす初めてのクリスマス。
初めてのことがいっぱいで。今からもうドキドキしている…。
今年は運良くクリスマスがお休みだ。二十四日が金曜日で、二十五日が土曜日となっているので、慧くん家でお泊まりする予定だ。
ということはつまり何かあるかもしれない。寧ろ何もない方が悲しい。
そうなるとこっちも事前に念入りの準備が必要だ。主にムダ毛処理や可愛い下着などの準備が…。
慧くんはそんなこと気にしないと思うけど、私が気にする。できれば綺麗な私を見てほしい。
今からクリスマスまでの間に色々準備を開始した。もちろんクリスマスプレゼントもちゃんと用意する。プレゼントも喜んでくれたら嬉しいな。
期待に胸を膨らませながら、クリスマスが訪れるのを待った。
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そしてクリスマス当日…。
二十四日の金曜日の本日は社内も街並みも浮かれモードだ。
きっと恋人と過ごす人が多いのであろう。もちろん家族や友達と楽しく過ごす人もいる。
これまでの私のクリスマスの過ごし方は、ケーキとお酒を買って、クリスマス特番を見ながら一人でお酒を飲みつつ、ケーキを食べる…というつまらないクリスマスを過ごしていた。
このままずっとこういったぼっちクリスマスを過ごすものだとばかり思っていた。
それがまさか社内一イケメンの年下彼氏ができるなんて思ってもみなかった。
人生何が起きるかなんて分からない。思いも寄らない幸運が待ち受けていた。
そんなことを考えていたら、仕事中にも関わらずニヤけてしまった。それを見逃さない人がいた。
「おい。クリスマスだからって浮かれるな。気持ちは分からなくもないけどな。まぁ俺もこの後…、いやなんでもない」
如月くんもどうやら恋人と一緒にクリスマスを過ごすみたいだ。
そんな浮かれた如月くんも悪くないなと思った。
「へぇー。そうなんだ。如月くん、彼女できたんだね」
わざと煽ってみた。少しだけ気になった。如月くんの新しい想い人がどんな人なのか…。
「彼女ではない。やることはやってるけど」
つまりそれって…。敢えて言葉にはしないが、如月くんも男なんだなと思った。
「そっか。その子と付き合わないの?」
「正直分かんねー。ずっと拗らせてた長い想いを抱えてたのがやっと終わったばかりで。新しい恋に踏み出したいけど、なかなか前へ進めないというか。でも男だからつい欲に負けちゃって。ぶっちゃけ向こうもどう想ってるのか分かんねー」
こんなに気弱な如月くんはレアだ。なんだか新鮮すぎて、不思議に感じた。
「二人の関係性をはっきり知っているわけじゃないけど、クリスマスを一緒に過ごしてくれる時点で答えははっきり見えてると思うよ。拗らせた想いの分も次の恋愛では発揮しなきゃ。ここで逃げたらまた後悔することにならない?」
きっと如月くんの中ではすぐに次の恋へ向かうということがハードルが高いのであろう。簡単にすぐ次へ向かうことが今までの恋愛を軽視しているみたいで嫌なんだと思う。
それだけ私のことを想ってくれていたということにもなるが。それだけ想ってくれている人に対して、一ミリもその好意に気づかなかった私、どうかしてるけど…。
でもそんな如月くんだからこそ、次の恋に向かってほしい。その恋が報われなくても。報われても。きっと前へ進むことに意味がある。
「葉月の言う通りだな。俺、今日その子に告白してみる。ありがと。葉月のお陰で前に進めそうだわ」
如月くが前を向けるようになって良かった。新しい恋が実ることを願った。
「いえいえ。お役に立ててなにより」
誰かの役に立てるのは素直に嬉しい。それが同僚なら尚更嬉しい。
「早く前へ進んでもらわないとこっちも困りますからね。いつまでも想い続ける男なんて重すぎて、ストーカーと一緒ですからね」
後ろから愛おしい人の声が聞こえた。相変わらず慧くんは如月くんのことが気になっているみたいだ。
「お前…。そろそろ俺をマークするのは止めろ。もう普通に同僚としてか見てないからな」
如月くんの気持ちはもうとっくに吹っ切れている。それが分かり、少しでも慧くんの心の負担が軽くなることを願った。
「こちらとしてはとても有難いんですが、まだ俺は完全にあなたのことを信用してませんので」
慧くんって顔に見合わず、嫉妬深いし独占欲が強い。ここまで想ってもらえて嬉しいが、時に怖くなるほどの愛情の深さだ。
「…はぁ。葉月、いい加減この彼氏の嫉妬深さ、どうにかしてくれ」
本当に如月くんは困った表情を浮かべていた。私にどうにかできたらいいのだが、どうにもできそうにない。
「あんな男なんてさておき、もう今日の終業時間ですので、京香さん一緒に帰りましょ」
まだ社内には多くの社員が残っている。それなのにも関わらず、堂々と私との仲を見せつけている。
「う、うん。そうだね。帰ろっか」
でもまだ手は繋がない。とはいっても会社の人にイチャイチャしているところを見られるのは恥ずかしい。
付き合っていることは隠しているが、社内でも話す頻度が高いので、仲が良いことはバレているような気がする。
バレていたとしても今のところ嫌がらせを受けたりはしていないので、まぁ大丈夫であろう。
きっと誰も付き合っているなんて思ってもいないはず。だから誰も咎めないのかもしれない。
それはそれでラッキーだったということで。何も気にしないのが一番だ。
とはいえどもわざと煽るようなことはしたくないので、抑えるところは抑えるようにしている。
「今日も忙しかったから疲れたね…」
年末ということもあり、休む暇もないくらい仕事量が多く、忙しかった。
でも心なしか皆休むべきところで休みたいからか、必死で仕事に取り組んでいた。
かく言う私も皆に同じく必死に仕事を頑張った。なんとか終業時間内に終わらせることができた。
「そうですね、めちゃくちゃ忙しかったです」
年末はどこも出かけずにお家でゆっくり過ごしたい。そう思ってしまうほど、あまりの忙しさに身体が疲弊している。
「今日は思いっきり楽しみましょうね。色々用意しておきましたので」
色々…。美味しいものをたくさん準備してくれたのかな?お酒もあるだろうから楽しみだな。
「え?そうなの?楽しみ」
「楽しみにしててください。ケーキだけは当日受け取りなので、帰り道に寄って受け取りに行きます」
今から一緒にケーキを買いに行ける。それだけで楽しみだ。
「なるほど。そうなんだね。今から取りに行くの楽しみだね」
どんなケーキを用意してくれたんだろう。それを想像するだけでより期待度が倍増する。
「そう言ってもらえて俺も楽しみです」
慧くんとただ一緒に帰り道を帰れるだけでも嬉しい。
「ちなみにどんなケーキにしたの?」
「それは家に帰ってからのお楽しみです」
こういう焦らされ方は大好きだ。ワクワク度が増すから。
「お?良い焦らし方してくれるね。期待してます」
「期待しててください。ケーキもそれ以外も自信があるので」
それ以外も…。勝手に想像してしまう。どれほどのものを用意したのだろう。
私が用意したプレゼントは大丈夫か、心配になってきた。
「分かった。期待しておくね」
今更プレゼントを新たに買いに行く時間はないため、プレゼントは諦めよう。
その分、身体でお返ししよう。可愛い下着も用意したし、ムダ毛処理だって完璧に処理したから大丈夫。
「京香さん。どうかしましたか?」
私が破廉恥なことを考えてぼーっとしていたら、慧くんに心配された。
慌てて何もなかったことを伝えた。
「どうもしないよ。ちょっとぼーっとしてただけ」
まさか破廉恥なことを考えていたなんて言えない。
でもきっと私がぼーっとしていると知り、バレているはずだ。破廉恥なことを考えていたと…。
「そうなんですね。そろそろ電車に乗って俺ん家の最寄り駅まで行きましょう」
敢えて触れないでくれた。そこが慧くんの優しさだ。
「うん。そうしよう」
会社の最寄駅から電車に乗って、慧くん家まで向かった。
今からクリスマスパーティーが始まるのかと思うとワクワクした。
*
帰りにケーキ屋さんに寄り、慧くん家に帰宅。
既に部屋の中がクリスマス用の装飾で飾られていた。
「すごい…。ありがとう、準備してくれて」
「いえいえ。でもこれだけじゃないんです」
慧くんが寝室へと向かった。そして手に何かを持って帰ってきた。
「せっかくクリスマスなので、お互いにサンタの格好でもしてみませんか?」
まさか服まで用意しているとは思わなかった。こういうのって本当に着る人がいるのか。フィクションの中だけだと思っていた。
本当は恥ずかしいけど、気分を盛り上げるために着てみるのも悪くないかもしれない。
「いいよ。着てみようかな…」
慧くんからもらい、服を脱衣所まで持っていき、着替えた。
サンタ服と聞いていたので、ってきりよくあるサンタの服かと思えばまさかの…。
「慧くん。これ丈が短くない?」
どうやら女性用の可愛いミニのサンタの服だったみたいだ。
これはもう恥ずかしいを通り越して、居た堪れない気持ちだ。
「俺にとってはちょうど良い長さですよ。京香さんの綺麗な足を拝むことができますので」
慧くんがそう言った瞬間、急に足に視線を感じた。
なんだか慧くんの視線がとてもいやらしい目に見えた。
「さーて、まずはお腹が空いたので、美味しい食べ物と飲み物を食べたり飲んだりしましょうか」
ってきりいきなりそういう展開になるのだとばかり思っていた。
でも違ったみたいで、恥ずかしくて顔が一気に真っ赤になった。
「そ、そうだね。そうしよっか」
「…あとで京香さんのこと、美味しくいただきますので。今日はたくさんしましょうね?明日は遅くなっても大丈夫ですし。俺的には明日もずっとしててもいいんですけどね」
それは私の体力が保ちそうにない。
でも今夜はたくさん求め合いたいとは思っている。
「明日のことはさておき、今夜は楽しい夜にしましょう」
明日はせっかく休日だし、クリスマスだ。
今日はあくまでクリスマスイブだ。なんなら明日が本番だ。
羽目を外さない程度に楽しむのが一番だと思うが、それは無理そうだ。既に変なスイッチが入ってしまったから。
「そうだね。とりあえず今夜、思いっきり楽しもう」
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