52 / 66
13度:初めての年越し
52話
しおりを挟む
クリスマスから一週間が経過した。
なんとか仕事を乗り切り、冬休みに突入し、今は家の中を大掃除している。
一年間の汚れが溜まりに溜まっており、掃除と片付けをしているだけで大晦日を迎えた。
一緒におせちを買いに行くと約束したので、なるべく早い方がいいと思い、午前中から慧くん家へと向かった。
玄関のインターフォンを鳴らし、慧くんに開錠してもらう。
「おはようございます、京香さん」
朝から爽やかな笑顔を向けて、嬉しそうに出迎えてくれた。
たったそれだけのことで、私は朝からとても気分が良かった。
「慧くん、おはよう。朝早くからお邪魔します…」
「どうぞ。中へ入ってください」
お家の中へ入っていいと言われたので、玄関で靴を脱いでから、家の中へ足を進めた。
まず寝室へと向かった。何日か泊まるので、荷物が多い。
そのため荷物を寝室に置き、そのままリビングへと向かった。
「慧くん、お待たせ」
「全然待ってませんよ。それじゃスーパーへ行きましょうか」
明日のおせちのために、スーパーへと向かう。
最近は一月一日もやっているお店もあるが、閉まっているお店もある。
なので年内に用意しておくことは大事だ。それに当日にないというのはそれはそれで寂しい。
こういうのは雰囲気を味わうのが大事だ。少しでもいいからそのために必要な物を準備しておきたい。
「そうだね。行こっか」
手を繋いで一緒にスーパーへと向かった。
慧くん家から徒歩で約十分といったところだ。
「結構大きいスーパーだね」
駐車場も完備されており、車でも来ることができるみたいだ。
私達は車で来るような距離でもないし、歩いて帰れるだけの荷物の量を買う予定なので、そこは問題ない。
「そうなんですよ。だからつい、色々買ってしまいます」
慧くんがあまり無駄遣いをしているイメージはなかった。
そんな彼の姿を想像し、愛おしいと感じた。
「そっか。これだけ広かったらつい、気になって色々買っちゃうかもね」
「そうですね。今日はできるだけ荷物を増やしたくないので、なるべく目移りしないように頑張ろうと思います」
慧くんが目移りしなくても、私の方が目移りしてしまいそうだ。
人は初めて訪れたお店は、いつも足を運ぶお店の二倍魅力が増す。
更に恋人がいつも目移りしてしまうということは、そんなの私ならもっと目移りしてしまうに決まっていた。
「私も気をつけようと思う。私の方が誘惑に負けることが多いから」
「京香さんもいつも目移りしちゃうんですか?」
そんなことばかりだ。食いしん坊な自分が憎い。
「美味しそうなものを見ちゃうとつい…」
「分かります。甘いものとか見ちゃうと、自然に手が伸びてます」
その気持ちはよく分かる。私も気がついたら甘いものに手を伸ばしていることが多い。
きっと仕事の疲れを甘いもので癒そうとしているのかもしれない。
「慧くんもなんだ…。皆そんな感じなんだね」
「そうみたいですね。せっかく長いお休みなので、甘いものも買いましょう」
「いいね。そうしよう」
ダラダラした寝正月を想像してしまった。ずっと食べたり飲んだりしてそうだ。
裏を返せばお正月くらいしかダラダラすることができないので、それもそれでアリだ。
「でもまずその前におせちを買わないとですね」
今日の目的はお節料理を買うことであり、それ以外に特に目的はない。
「そうだね。おせちコーナーに行こう」
今日は年内最後の日ということもあり、店内にはたくさん人がいる。
これはおせちコーナーまで行くのが大変だ。
何とか人混みをかき分けて、おせちコーナーへと向かう。
おせちコーナーに向かったのはいいものの、先程よりも人がたくさん集まっていて。
これじゃ商品をチェックすることすらできない。
「やっぱり人が多いね。おせちを手に入れるだけでも大変だ…」
普段、食料品を買いに行くだけなら、ここまでスーパーが混んでいることはない。
でもたまたま年の瀬ということもあり、年内中に買い物をしておきたい人が多いのであった。
「また頑張って人をかき分けて、なんとかおせちを手に入れましょう」
慧くんにそう言われたので、私達はなんとか頑張って人混みをかき分けて、おせち料理のコーナーに近づいた。
手を伸ばし、目的の商品をカゴの中へ入れていく。買いたい商品を全て手にれることができたので、おせち料理のコーナーをすぐに抜けた。
「無事に手に入りましたね…」
「だね。残ってて良かった」
甘くみていたわけではないが、こんなにも激戦区とは知らなかった。
来年からは早めにおせちを注文しておこうと思う。
「さて、次はお酒コーナーへ行きますか」
大人のお正月といえばお酒が大事だ。
特にこの時期は日本酒。日本酒を飲むためにお正月を楽しみにしている。
「行こう。お酒は絶対に大事。絶対に買う」
食いしん坊なだけではなく、飲兵衛でもある私…。こういうところが色気がないなと落胆する。
「大事ですね。酔った京香さんは京香さんで可愛いです」
落胆していた自分が、大好きな彼の一言ですぐに浮上する。
本当に現金だなと思う。そんなことを言われてしまえば、たくさんお酒を進んで飲んでしまいそうだ。
「もう…。恥ずかしいな。たくさん飲んじゃうからね?」
ちょっと私も困らせてみたいなと思い、自分なりに慧くんを困らせることを考えてみた。
考えてみた結果、人様の家でたくさんお酒を飲む女は嫌なはず。これならさすがに慧くんも困ってしまうであろう。
「いいですよ。たくさん飲んでください」
全然困らせるどころか、彼氏の器が大きかった。
「分かった。それじゃ遠慮なく飲ませてもらうね」
きっと慧くんは私に遠慮されるよりも、素直に彼のご厚意に甘えた方が喜ぶ。
まさか本当は慧くんを困らせようと思っていたなんて、彼は思いもしないだろう。
このことは私の心の中だけに留めておくことにした。
「是非、そうしてください。俺もたくさん飲む予定ですので」
その言葉が聞けて安心した。彼はどこか自分のことは後回しにして、人のことを優先してしまうところがある。
せっかくのお泊まりデートなのに、私だけがたくさん飲むのは申し訳ないし、味気ない。
飲めない人ならまだしも、飲めるのであれば二人で楽しみたい。その方が絶対に楽しい。
「やったー。二人で一緒にたくさん飲めるね」
そうなったらどのお酒を飲もうか、頭の中でたくさん浮かんでしまう。
飲みたいお酒が多すぎて、自分では選べない。
「俺も一緒に飲めて嬉しいです。こういう連休中だからこそ、たくさん飲めますね」
常習的にたくさん飲んでいたら身体にも悪いし、仕事にも支障をきたす。
それは人として宜しいことではない。だからこそ、節度を持って楽しめる時に楽しむのが一番だ。
「そうだね。こういう時だからこそ、日頃の疲れを癒すために、自分なりに合ったやり方で自分のことを労ってあげたいよね」
「そうですね。そのためにも楽しいお正月休みにしましょう」
慧くんとならそんなの簡単だ。楽しい時間になるのは間違いない。
そのためにも自分達が楽しい時間を少しでもより楽しめるように、欲しいものをできるだけ買って帰ろうと思う。
「うん。思いっきり楽しもう」
色々大量に買った。歩きで来たのでそんなに買うつもりじゃなかったのに、気がついたらたくさんカゴの中に入っていた。
でも後悔はしていない。二人で一緒に持って帰れば、それだけで楽しい時間に様変わりだ。
「京香さんに重いものは持たせないつもりだったんですけどね。すみません、持ってもらっちゃって…」
「全然気にしないで。それ以上持つと慧くんの負担が大きくなっちゃうし、それに二人で一緒に荷物を持った方がいいし」
気にするほどのことでもない。私だって普段、食料品の買い物の帰り道は、重い荷物を持って家まで帰っている。
でも慧くんはそんな自分を許せないのであろう。私はその気持ちだけで充分だ。
「そう言ってくださり、幸いです。家に着いたら早速、一杯飲みましょうね」
一仕事したのだから、その権利はある。それに休みなのだから、昼間から飲んでも問題ない。
「そうしよう。そのためにも頑張って帰るぞ」
荷物が重かったこともあり、行きに比べて帰りは時間がかかった。
それすら本当に楽しい時間に様変わりしたので、寧ろ得した気分だ。
「さて、まずは買ってきたものを冷蔵庫に入れますか」
生物はできるだけ早く冷蔵庫の中に入れたほうがいい。冬なので夏に比べれば大丈夫かもしれないが、忘れて放置してしまったらせっかく買ったのに、美味しい食べ物が食べられなくなってしまう。
それに面倒なことは先に終わらせておいた方が後々楽だ。お酒を飲んでゆっくりしたいので、ササッとやってしまおう。
「ねぇ、慧くん。私も一緒にやりたいんだけど、何をすればいい?」
彼氏とはいえども人の家の冷蔵庫なので、勝手に冷蔵庫の中を見たり、中のものを触ったりするのは気が引ける。
それに人それぞれ冷蔵庫の中の物の配置は違う。大体は同じだと思うが、慧くんには慧くんのルールがあると思うので、できればそれに従いたい。
「そうですね、それじゃ京香さんは野菜や冷凍食品などをお願いします」
ついでに必要なものも購入したので、お正月とは関係ないものもある。
「了解!任せて」
言われた通りの物をあるべき場所に入れる。分からないものはちゃんと慧くんに聞いた。
二人で手分けしてやったため、すぐに終わった。
「京香さん、手伝って下さりありがとうございます。助かりました。早速お礼にお酒を飲んでください」
日本酒は明日が本番なので、今日はまだ早い。
慧くんもそう思ったのか、ビールを渡してくれた。
「ありがとう。それじゃいただきます…」
缶の蓋を開け、一気に喉にビールを流し込む。
一仕事を終えた身体にはビールの泡が染みた。
「…んー、美味しい」
昼間から飲むという背徳感がより美味しさを増す。
「それじゃ俺も。いただきます」
慧くんもビールの缶の蓋を開け、飲み始めた。
二人で昼間から飲むビールは最高の時間だ。
なんとか仕事を乗り切り、冬休みに突入し、今は家の中を大掃除している。
一年間の汚れが溜まりに溜まっており、掃除と片付けをしているだけで大晦日を迎えた。
一緒におせちを買いに行くと約束したので、なるべく早い方がいいと思い、午前中から慧くん家へと向かった。
玄関のインターフォンを鳴らし、慧くんに開錠してもらう。
「おはようございます、京香さん」
朝から爽やかな笑顔を向けて、嬉しそうに出迎えてくれた。
たったそれだけのことで、私は朝からとても気分が良かった。
「慧くん、おはよう。朝早くからお邪魔します…」
「どうぞ。中へ入ってください」
お家の中へ入っていいと言われたので、玄関で靴を脱いでから、家の中へ足を進めた。
まず寝室へと向かった。何日か泊まるので、荷物が多い。
そのため荷物を寝室に置き、そのままリビングへと向かった。
「慧くん、お待たせ」
「全然待ってませんよ。それじゃスーパーへ行きましょうか」
明日のおせちのために、スーパーへと向かう。
最近は一月一日もやっているお店もあるが、閉まっているお店もある。
なので年内に用意しておくことは大事だ。それに当日にないというのはそれはそれで寂しい。
こういうのは雰囲気を味わうのが大事だ。少しでもいいからそのために必要な物を準備しておきたい。
「そうだね。行こっか」
手を繋いで一緒にスーパーへと向かった。
慧くん家から徒歩で約十分といったところだ。
「結構大きいスーパーだね」
駐車場も完備されており、車でも来ることができるみたいだ。
私達は車で来るような距離でもないし、歩いて帰れるだけの荷物の量を買う予定なので、そこは問題ない。
「そうなんですよ。だからつい、色々買ってしまいます」
慧くんがあまり無駄遣いをしているイメージはなかった。
そんな彼の姿を想像し、愛おしいと感じた。
「そっか。これだけ広かったらつい、気になって色々買っちゃうかもね」
「そうですね。今日はできるだけ荷物を増やしたくないので、なるべく目移りしないように頑張ろうと思います」
慧くんが目移りしなくても、私の方が目移りしてしまいそうだ。
人は初めて訪れたお店は、いつも足を運ぶお店の二倍魅力が増す。
更に恋人がいつも目移りしてしまうということは、そんなの私ならもっと目移りしてしまうに決まっていた。
「私も気をつけようと思う。私の方が誘惑に負けることが多いから」
「京香さんもいつも目移りしちゃうんですか?」
そんなことばかりだ。食いしん坊な自分が憎い。
「美味しそうなものを見ちゃうとつい…」
「分かります。甘いものとか見ちゃうと、自然に手が伸びてます」
その気持ちはよく分かる。私も気がついたら甘いものに手を伸ばしていることが多い。
きっと仕事の疲れを甘いもので癒そうとしているのかもしれない。
「慧くんもなんだ…。皆そんな感じなんだね」
「そうみたいですね。せっかく長いお休みなので、甘いものも買いましょう」
「いいね。そうしよう」
ダラダラした寝正月を想像してしまった。ずっと食べたり飲んだりしてそうだ。
裏を返せばお正月くらいしかダラダラすることができないので、それもそれでアリだ。
「でもまずその前におせちを買わないとですね」
今日の目的はお節料理を買うことであり、それ以外に特に目的はない。
「そうだね。おせちコーナーに行こう」
今日は年内最後の日ということもあり、店内にはたくさん人がいる。
これはおせちコーナーまで行くのが大変だ。
何とか人混みをかき分けて、おせちコーナーへと向かう。
おせちコーナーに向かったのはいいものの、先程よりも人がたくさん集まっていて。
これじゃ商品をチェックすることすらできない。
「やっぱり人が多いね。おせちを手に入れるだけでも大変だ…」
普段、食料品を買いに行くだけなら、ここまでスーパーが混んでいることはない。
でもたまたま年の瀬ということもあり、年内中に買い物をしておきたい人が多いのであった。
「また頑張って人をかき分けて、なんとかおせちを手に入れましょう」
慧くんにそう言われたので、私達はなんとか頑張って人混みをかき分けて、おせち料理のコーナーに近づいた。
手を伸ばし、目的の商品をカゴの中へ入れていく。買いたい商品を全て手にれることができたので、おせち料理のコーナーをすぐに抜けた。
「無事に手に入りましたね…」
「だね。残ってて良かった」
甘くみていたわけではないが、こんなにも激戦区とは知らなかった。
来年からは早めにおせちを注文しておこうと思う。
「さて、次はお酒コーナーへ行きますか」
大人のお正月といえばお酒が大事だ。
特にこの時期は日本酒。日本酒を飲むためにお正月を楽しみにしている。
「行こう。お酒は絶対に大事。絶対に買う」
食いしん坊なだけではなく、飲兵衛でもある私…。こういうところが色気がないなと落胆する。
「大事ですね。酔った京香さんは京香さんで可愛いです」
落胆していた自分が、大好きな彼の一言ですぐに浮上する。
本当に現金だなと思う。そんなことを言われてしまえば、たくさんお酒を進んで飲んでしまいそうだ。
「もう…。恥ずかしいな。たくさん飲んじゃうからね?」
ちょっと私も困らせてみたいなと思い、自分なりに慧くんを困らせることを考えてみた。
考えてみた結果、人様の家でたくさんお酒を飲む女は嫌なはず。これならさすがに慧くんも困ってしまうであろう。
「いいですよ。たくさん飲んでください」
全然困らせるどころか、彼氏の器が大きかった。
「分かった。それじゃ遠慮なく飲ませてもらうね」
きっと慧くんは私に遠慮されるよりも、素直に彼のご厚意に甘えた方が喜ぶ。
まさか本当は慧くんを困らせようと思っていたなんて、彼は思いもしないだろう。
このことは私の心の中だけに留めておくことにした。
「是非、そうしてください。俺もたくさん飲む予定ですので」
その言葉が聞けて安心した。彼はどこか自分のことは後回しにして、人のことを優先してしまうところがある。
せっかくのお泊まりデートなのに、私だけがたくさん飲むのは申し訳ないし、味気ない。
飲めない人ならまだしも、飲めるのであれば二人で楽しみたい。その方が絶対に楽しい。
「やったー。二人で一緒にたくさん飲めるね」
そうなったらどのお酒を飲もうか、頭の中でたくさん浮かんでしまう。
飲みたいお酒が多すぎて、自分では選べない。
「俺も一緒に飲めて嬉しいです。こういう連休中だからこそ、たくさん飲めますね」
常習的にたくさん飲んでいたら身体にも悪いし、仕事にも支障をきたす。
それは人として宜しいことではない。だからこそ、節度を持って楽しめる時に楽しむのが一番だ。
「そうだね。こういう時だからこそ、日頃の疲れを癒すために、自分なりに合ったやり方で自分のことを労ってあげたいよね」
「そうですね。そのためにも楽しいお正月休みにしましょう」
慧くんとならそんなの簡単だ。楽しい時間になるのは間違いない。
そのためにも自分達が楽しい時間を少しでもより楽しめるように、欲しいものをできるだけ買って帰ろうと思う。
「うん。思いっきり楽しもう」
色々大量に買った。歩きで来たのでそんなに買うつもりじゃなかったのに、気がついたらたくさんカゴの中に入っていた。
でも後悔はしていない。二人で一緒に持って帰れば、それだけで楽しい時間に様変わりだ。
「京香さんに重いものは持たせないつもりだったんですけどね。すみません、持ってもらっちゃって…」
「全然気にしないで。それ以上持つと慧くんの負担が大きくなっちゃうし、それに二人で一緒に荷物を持った方がいいし」
気にするほどのことでもない。私だって普段、食料品の買い物の帰り道は、重い荷物を持って家まで帰っている。
でも慧くんはそんな自分を許せないのであろう。私はその気持ちだけで充分だ。
「そう言ってくださり、幸いです。家に着いたら早速、一杯飲みましょうね」
一仕事したのだから、その権利はある。それに休みなのだから、昼間から飲んでも問題ない。
「そうしよう。そのためにも頑張って帰るぞ」
荷物が重かったこともあり、行きに比べて帰りは時間がかかった。
それすら本当に楽しい時間に様変わりしたので、寧ろ得した気分だ。
「さて、まずは買ってきたものを冷蔵庫に入れますか」
生物はできるだけ早く冷蔵庫の中に入れたほうがいい。冬なので夏に比べれば大丈夫かもしれないが、忘れて放置してしまったらせっかく買ったのに、美味しい食べ物が食べられなくなってしまう。
それに面倒なことは先に終わらせておいた方が後々楽だ。お酒を飲んでゆっくりしたいので、ササッとやってしまおう。
「ねぇ、慧くん。私も一緒にやりたいんだけど、何をすればいい?」
彼氏とはいえども人の家の冷蔵庫なので、勝手に冷蔵庫の中を見たり、中のものを触ったりするのは気が引ける。
それに人それぞれ冷蔵庫の中の物の配置は違う。大体は同じだと思うが、慧くんには慧くんのルールがあると思うので、できればそれに従いたい。
「そうですね、それじゃ京香さんは野菜や冷凍食品などをお願いします」
ついでに必要なものも購入したので、お正月とは関係ないものもある。
「了解!任せて」
言われた通りの物をあるべき場所に入れる。分からないものはちゃんと慧くんに聞いた。
二人で手分けしてやったため、すぐに終わった。
「京香さん、手伝って下さりありがとうございます。助かりました。早速お礼にお酒を飲んでください」
日本酒は明日が本番なので、今日はまだ早い。
慧くんもそう思ったのか、ビールを渡してくれた。
「ありがとう。それじゃいただきます…」
缶の蓋を開け、一気に喉にビールを流し込む。
一仕事を終えた身体にはビールの泡が染みた。
「…んー、美味しい」
昼間から飲むという背徳感がより美味しさを増す。
「それじゃ俺も。いただきます」
慧くんもビールの缶の蓋を開け、飲み始めた。
二人で昼間から飲むビールは最高の時間だ。
0
あなたにおすすめの小説
数合わせから始まる俺様の独占欲
日矩 凛太郎
恋愛
アラサーで仕事一筋、恋愛経験ほぼゼロの浅見結(あさみゆい)。
見た目は地味で控えめ、社内では「婚期遅れのお局」と陰口を叩かれながらも、仕事だけは誰にも負けないと自負していた。
そんな彼女が、ある日突然「合コンに来てよ!」と同僚の女性たちに誘われる。
正直乗り気ではなかったが、数合わせのためと割り切って参加することに。
しかし、その場で出会ったのは、俺様気質で圧倒的な存在感を放つイケメン男性。
彼は浅見をただの数合わせとしてではなく、特別な存在として猛烈にアプローチしてくる。
仕事と恋愛、どちらも慣れていない彼女が、戸惑いながらも少しずつ心を開いていく様子を描いた、アラサー女子のリアルな恋愛模様と成長の物語。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
独占欲全開の肉食ドクターに溺愛されて極甘懐妊しました
せいとも
恋愛
旧題:ドクターと救急救命士は天敵⁈~最悪の出会いは最高の出逢い~
救急救命士として働く雫石月は、勤務明けに乗っていたバスで事故に遭う。
どうやら、バスの運転手が体調不良になったようだ。
乗客にAEDを探してきてもらうように頼み、救助活動をしているとボサボサ頭のマスク姿の男がAEDを持ってバスに乗り込んできた。
受け取ろうとすると邪魔だと言われる。
そして、月のことを『チビ団子』と呼んだのだ。
医療従事者と思われるボサボサマスク男は運転手の処置をして、月が文句を言う間もなく、救急車に同乗して去ってしまった。
最悪の出会いをし、二度と会いたくない相手の正体は⁇
作品はフィクションです。
本来の仕事内容とは異なる描写があると思います。
隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません
如月 そら
恋愛
旧題:隠れドS上司はTL作家を所望する!
【書籍化】
2023/5/17 『隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません』としてエタニティブックス様より書籍化❤️
たくさんの応援のお陰です❣️✨感謝です(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
🍀WEB小説作家の小島陽菜乃はいわゆるTL作家だ。
けれど、最近はある理由から評価が低迷していた。それは未経験ゆえのリアリティのなさ。
さまざまな資料を駆使し執筆してきたものの、評価が辛いのは否定できない。
そんな時、陽菜乃は会社の倉庫で上司が同僚といたしているのを見てしまう。
「隠れて覗き見なんてしてたら、興奮しないか?」
真面目そうな上司だと思っていたのに︎!!
……でもちょっと待って。 こんなに慣れているのなら教えてもらえばいいんじゃないの!?
けれど上司の森野英は慣れているなんてもんじゃなくて……!?
※普段より、ややえちえち多めです。苦手な方は避けてくださいね。(えちえち多めなんですけど、可愛くてきゅんなえちを目指しました✨)
※くれぐれも!くれぐれもフィクションです‼️( •̀ω•́ )✧
※感想欄がネタバレありとなっておりますので注意⚠️です。感想は大歓迎です❣️ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)💕
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる