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第13話 言霊
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私は今、蒼君の胸に顔を埋めています
何で埋めてるんだって?
理由は簡単です、恥ずかしいから
考えてみてください、もし、自分が、電車の停止により、バランスを崩れたら
――恥ずかしいでしょう
しかも、倒れて、支えてくれた人が好きな人兼夫
やっぱり、好きな人には、恥ずかしい姿は見せたくないのが普通でしょう
後1駅
それまでの辛抱です、澪
「ねぇ、あの子」
「ふふ、可愛いわね」
付近の人達が、私の姿を見て何か言っているのが、完璧ではありませんが、なんとなくの予想でわかります
「澪、大丈夫?」
私の背中にはゴツゴツとした、たくさんバスケットボールの練習をしたんだと伝わるような左手が添えられました
「大丈夫、です…」
「後1駅だから、我慢して」
「はい…」
大丈夫、蒼君がついてます、何も問題は起こらないはず
「可愛いな」
「それな、どこ高だろう」
「聞いてこいよ」
「無理に決まってるだろ」
私が、蒼君を買い物に誘った理由の1つ、こんな風に、全く知らない男性が、近づいてくるから
私は無意識に、蒼君の腕をいつも以上に強く握った
蒼君は、一瞬、困惑した顔を浮かべていたけど、すぐに意図を汲み取ってくれました
私は、蒼君の胸で安心していました。
もし、知らない男性が近づいて来ても、蒼君は私を守ってくれるはず
しかし、安心しきった心はとても脆かった
たった一言で安心しきった心を壊したんだから
「あいつ…どこかで見たような」
その声が、頭の中で何かがはじけたかのように響いた。
突然、胸がざわつき、過去の記憶がフラッシュバックのように蘇る。転校する前の苦い思い出、人にじろじろ見られたあの嫌な経験。ひとりになりたくて、それでも誰かの目から逃れられなくて、息が詰まるような日々。あの頃の感覚が、再び襲いかかってくる。
「澪、大丈夫か?」
隣の蒼君が心配そうに声をかけてくれているのは分かっているのに、言葉が出てこない。体が強ばって動けない。視界がぼやけて、息が少しだけ浅くなる。電車の騒音が耳に響いて、まるでここではない場所に連れていかれそうな感覚。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
蒼君の心配そうな顔が視界に入ると、胸の奥がキュッと締め付けられるようだった。
大丈夫、大丈夫、大丈夫
必死に落ち着こうとしたけれど、視界がぼやけて、体がすっかり言うことを聞かなくなっていた。
そのとき、隣で蒼君の声がふと耳に入った。
「澪、大丈夫、おれが守るから」
その言葉に安心したものの、状況をうまく飲み込めず、ただ蒼君の顔を見つめることしかできなかった。でも、彼は私の頭をそっと撫でてくれて、私が動くよう促してくれた。私は蒼君に従うまま、なんとか立ち上がり、蒼君の導きに従って目的の駅ではない駅で電車を降りた。
ホームに降りると、冷たい風が吹き込んできて、それが少しだけぼんやりとした意識を覚醒させてくれた。深呼吸しても、まだ胸がざわざわとしていたけれど、蒼君がそばにいてくれると思うと少しだけ気持ちが楽になった。
「…ここで少し休もうか」
蒼君がそう言って、私をベンチへと案内してくれた。座ると、さっきから動揺が止まらない自分が悔しくて、でも何もできない無力さが悲しくて、顔を伏せたまま彼に頼ってしまっている自分が恥ずかしかった。
「…ごめんなさい」
それだけがやっと口から出た言葉だった。彼をこんなふうに巻き込むつもりじゃなかったし、ただ楽しい買い物にしたかっただけなのに。どうして私は、こんなに弱くて、こんなふうに彼の前で崩れてしまうのだろう。
だけど蒼君は、私がどんなに情けない姿を見せても、ずっと、守ってくれた
「大丈夫だよ、何があっても俺は澪のそばにいるから」
その優しい言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。その瞬間、私が一人じゃないんだと改めて思えて、少しだけ気持ちが落ち着いた。
蒼君に何も言えないけれど、彼がそばにいてくれることがどれだけ心強いか。こんなにも彼の存在が自分を支えてくれてたなんて……蒼君がいないと、まともな生活を送れてなかったかもしれない
蒼君が私を支えてくれていることを、今まで以上に強く感じた。
私はこの気持ちに応えられるように、いつか彼に心の奥にあるものを素直に伝えられる日が来ればいいと、そっと心に願った。
そして私は蒼君の胸に寄りかかった
「次の電車まで、このままにさせてくれませんか?」
蒼君はこんなにも弱い私を受け入れてくれた
「うん、いいよ」
蒼君は私の背中に腕を回し、優しく、抱きついてくれた
◆◆◆
さぁ、考察タイムと行こうか
澪があんな風になった原因は、多分
『あいつ…どこかで見たような』
これで、澪は気分が悪くなり、過呼吸にもなった
そして、顔も青ざめてた
1番妥当な考えは、虐めとかなんだろう
虐めだったら、あのおれの体で隠していた火傷の後も直ぐに理解できる
過呼吸になったのも、トラウマで解決できる
しかし、おれはこの考えを否定したい、でも、それ以外の仮説が立てれない
転校してきたのも、虐めで解決できちゃうし、セーラー服の裾が長いのもを、皆んなに見られないようにしたい、見られて、今まで気軽に話してた関係が壊れるのを防ぎたいから
……いや、考えるのやめよう
今日は買い物を楽しんで、いつか、精神科に連れて行くか
おれは、無意識に、澪を強く抱きしめた
まだ7月だって言うのに、何故か風が肌寒く感じる
何で埋めてるんだって?
理由は簡単です、恥ずかしいから
考えてみてください、もし、自分が、電車の停止により、バランスを崩れたら
――恥ずかしいでしょう
しかも、倒れて、支えてくれた人が好きな人兼夫
やっぱり、好きな人には、恥ずかしい姿は見せたくないのが普通でしょう
後1駅
それまでの辛抱です、澪
「ねぇ、あの子」
「ふふ、可愛いわね」
付近の人達が、私の姿を見て何か言っているのが、完璧ではありませんが、なんとなくの予想でわかります
「澪、大丈夫?」
私の背中にはゴツゴツとした、たくさんバスケットボールの練習をしたんだと伝わるような左手が添えられました
「大丈夫、です…」
「後1駅だから、我慢して」
「はい…」
大丈夫、蒼君がついてます、何も問題は起こらないはず
「可愛いな」
「それな、どこ高だろう」
「聞いてこいよ」
「無理に決まってるだろ」
私が、蒼君を買い物に誘った理由の1つ、こんな風に、全く知らない男性が、近づいてくるから
私は無意識に、蒼君の腕をいつも以上に強く握った
蒼君は、一瞬、困惑した顔を浮かべていたけど、すぐに意図を汲み取ってくれました
私は、蒼君の胸で安心していました。
もし、知らない男性が近づいて来ても、蒼君は私を守ってくれるはず
しかし、安心しきった心はとても脆かった
たった一言で安心しきった心を壊したんだから
「あいつ…どこかで見たような」
その声が、頭の中で何かがはじけたかのように響いた。
突然、胸がざわつき、過去の記憶がフラッシュバックのように蘇る。転校する前の苦い思い出、人にじろじろ見られたあの嫌な経験。ひとりになりたくて、それでも誰かの目から逃れられなくて、息が詰まるような日々。あの頃の感覚が、再び襲いかかってくる。
「澪、大丈夫か?」
隣の蒼君が心配そうに声をかけてくれているのは分かっているのに、言葉が出てこない。体が強ばって動けない。視界がぼやけて、息が少しだけ浅くなる。電車の騒音が耳に響いて、まるでここではない場所に連れていかれそうな感覚。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
蒼君の心配そうな顔が視界に入ると、胸の奥がキュッと締め付けられるようだった。
大丈夫、大丈夫、大丈夫
必死に落ち着こうとしたけれど、視界がぼやけて、体がすっかり言うことを聞かなくなっていた。
そのとき、隣で蒼君の声がふと耳に入った。
「澪、大丈夫、おれが守るから」
その言葉に安心したものの、状況をうまく飲み込めず、ただ蒼君の顔を見つめることしかできなかった。でも、彼は私の頭をそっと撫でてくれて、私が動くよう促してくれた。私は蒼君に従うまま、なんとか立ち上がり、蒼君の導きに従って目的の駅ではない駅で電車を降りた。
ホームに降りると、冷たい風が吹き込んできて、それが少しだけぼんやりとした意識を覚醒させてくれた。深呼吸しても、まだ胸がざわざわとしていたけれど、蒼君がそばにいてくれると思うと少しだけ気持ちが楽になった。
「…ここで少し休もうか」
蒼君がそう言って、私をベンチへと案内してくれた。座ると、さっきから動揺が止まらない自分が悔しくて、でも何もできない無力さが悲しくて、顔を伏せたまま彼に頼ってしまっている自分が恥ずかしかった。
「…ごめんなさい」
それだけがやっと口から出た言葉だった。彼をこんなふうに巻き込むつもりじゃなかったし、ただ楽しい買い物にしたかっただけなのに。どうして私は、こんなに弱くて、こんなふうに彼の前で崩れてしまうのだろう。
だけど蒼君は、私がどんなに情けない姿を見せても、ずっと、守ってくれた
「大丈夫だよ、何があっても俺は澪のそばにいるから」
その優しい言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。その瞬間、私が一人じゃないんだと改めて思えて、少しだけ気持ちが落ち着いた。
蒼君に何も言えないけれど、彼がそばにいてくれることがどれだけ心強いか。こんなにも彼の存在が自分を支えてくれてたなんて……蒼君がいないと、まともな生活を送れてなかったかもしれない
蒼君が私を支えてくれていることを、今まで以上に強く感じた。
私はこの気持ちに応えられるように、いつか彼に心の奥にあるものを素直に伝えられる日が来ればいいと、そっと心に願った。
そして私は蒼君の胸に寄りかかった
「次の電車まで、このままにさせてくれませんか?」
蒼君はこんなにも弱い私を受け入れてくれた
「うん、いいよ」
蒼君は私の背中に腕を回し、優しく、抱きついてくれた
◆◆◆
さぁ、考察タイムと行こうか
澪があんな風になった原因は、多分
『あいつ…どこかで見たような』
これで、澪は気分が悪くなり、過呼吸にもなった
そして、顔も青ざめてた
1番妥当な考えは、虐めとかなんだろう
虐めだったら、あのおれの体で隠していた火傷の後も直ぐに理解できる
過呼吸になったのも、トラウマで解決できる
しかし、おれはこの考えを否定したい、でも、それ以外の仮説が立てれない
転校してきたのも、虐めで解決できちゃうし、セーラー服の裾が長いのもを、皆んなに見られないようにしたい、見られて、今まで気軽に話してた関係が壊れるのを防ぎたいから
……いや、考えるのやめよう
今日は買い物を楽しんで、いつか、精神科に連れて行くか
おれは、無意識に、澪を強く抱きしめた
まだ7月だって言うのに、何故か風が肌寒く感じる
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