元・狂戦士のオッサン案内人。〜俺の指す先を斬るだけで最強。最短の矢印に従う異世界女騎士とメイドが、特級ダンジョンを蹂躙する〜

くるまAB

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第1章:再起の矢印と霧晴れる迷宮

2. 落とし物と窓口の騒動

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 悠馬はダンジョン脱出用のポータルを起動させ、光の中に踏み込んだ。
 肩には意識のない女騎士を担ぎ、脇にはメイドを抱えている。
 地上へ転送されると、その足のままダンジョン管理局へと向かう。
 
「……よお、望海(のぞみ)。今日の分だ」
 ドサリ、とオーガの角が入った素材袋を窓口に置いた。 続けて、その横の空きスペースに2人をそっと横たえる。
 受付嬢の高梨 望海(たかなし のぞみ)は、端末を叩きながら顔を上げた。

「あ、悠馬お帰りー。お疲れさま。……って、えっ!? ちょっと待って、何それ!?」
 望海は身を乗り出して、装備を2度見した。
 それはこの世界の金属とは明らかに違う、眩いほどに磨き上げられた純白色の甲冑――プラチナプレートだった。

「見て分からんか。落とし物だ。10層の主の部屋に転がってた」
「落とし物って……人じゃない! ちょっと悠馬、これどういうこと!? 迷い込んだ探索者? それとも――」
「さあな。年に1度はあるんだろ、こういうのが」
「まあ、そうだけど……。でも最近の発生率はちょっと異常だよ。昨日も別の支部に騎士が降ってきたらしいし」
 望海は慌てて救急キットをカウンターの下から取り出した。

「でも、こっちからすれば貴重な即戦力なんだよね。異世界の人って基礎能力高いから、そのまま探索者登録するケースが多いし。……で、どうするのよこれ。人は落とし物センターじゃ預かれないよ?」
「……チッ。管理局の保護施設は?」
「今、転移者でいっぱいで半年待ちらしいよ」
 悠馬はボリボリと面倒そうに頭を掻いた。

 その時、悠馬の視界で【青い矢印】が強く明滅した。
  矢印は意識のない2人を指し、そこから悠馬の自宅がある方角へと力強く伸びる。

「……『矢印』が連れて帰れって言ってるな。……これ、絶対面倒なことになるやつだろ」
 悠馬はぽつりとつぶやく――その時、純白色の甲冑がカチャリと音を立てた。

「……ぅん、ここは……」
 女騎士が、苦痛に眉を寄せながら意識を取り戻した。 その隣でメイドも身を震わせ、瞬時に主の前に這い寄る。

 「アリスお嬢様! ……貴方達、何者です。ここは牢獄……?いや、違いますね……ただ、先ほどまでの場所とは違うようですが」
 鋭い眼光が悠馬達を射抜く。
 望海は「ひぇっ」と声を上げて震えた。

「俺か? 通りすがりの案内人だ。……望海、悪いがこいつらの身元が割れるまで俺が預かる。手続き、適当に回しとけ」
「えぇ!? 悠馬、勝手すぎ――」

 背後の叫びを無視して、悠馬は半ば強引に2人を促し、ロビーを後にした。

―――

ご覧いただきありがとうございます!
拾った「落とし物」は、まさかの異世界からの転移者。
管理局もパンク状態ということで、結局悠馬が面倒を見る羽目に……。

「……これ、絶対面倒なことになるやつだろ」

悠馬の予感通り、ここから賑やか(?)な共同生活が幕を開けます。
現代日本の知識ゼロな彼女たちに、悠馬はどう向き合うのか。

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