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7 騎士団
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三日後ディフェウスは宝石店を訪れていた。
「ニクス、この前の提案について考えてくれただろうか」
ニクスは考えた末に騎士団で働くことを承諾した。
翌日、カイルさんにお礼を言って騎士団ディフェウスさんと一緒に行くことになった。
騎士団へは歩いて行ったのでニクスは初めて町の中を歩くことになった。
馬車を出して目立ってしまうわけにもいかないので、ニクスは頭がすっぽりと隠れるくらいの外套を羽織っていた。
明るい色の外壁の家が立ち並び、人の声でとても賑やかであった。初めて出たこの国の外は何とも言えない幸福で満ち溢れていた。
きょろきょろと周りを見ているとそれに気づいたディフェウスさんはあの暖かな笑顔を顔にうかべていた。
「町へ出るのは初めてか?」
「はい……。とても賑やかですね」
「この国の町は一年中こんな感じだ。豊穣祭のときはもっとすごいぞ。」
豊穣祭とは何だろうかと首をかしげたところディフェウスさんが教えてくれた。
「豊穣祭というのは一年に一回作物の豊穣を願って行われる祭りなんだ。今年はこの季節を終えたころに行われるだろう。」
「そうなんですね。とても楽しそうですね。」
「その時は連れて行ってやろう。」
そんな会話を進めながら歩いていたらあっという間に王宮へと到着した。
そこから少し歩いたところに騎士団は置かれていた。
「騎士団に入るには身分証を提示する必要があるんだが、ニクスのはまだ完成していないんだ。だから外に出るとなったら必ず私に伝えてくれ。」
そのことを聞いてニクスは迷惑はかけられないと外に出ないことを決め、首を縦にふった。
長い廊下を歩いている間騎士団の仕事について説明してくれた。
騎士団には第一騎士団から第五騎士団まで存在し、それぞれ違った役職を担っているとのことだった。今回ニクスが働くのは主に治療を担っている第五部隊であった。
第五部隊はけがの治療に特化しておりその手伝いをするということだった。ほかの団よりも力仕事は少なく性格の温厚な人が多いので働きやすいだろうという。
そんなことまで配慮してくれていたとは知らず、真面目に働こうとニクスは考えていた。そして今はその第五部隊の団長のところへ向かっているところだという。
「団長の名前はフール・トワイトという。貴族だが研究馬鹿で少し変わったところはあるんだが根はいいやつなんだ。」
ニクスはどんな人なのかと不安を感じながらついていった。
長い廊下を進んだ先にあった扉をたたく
「ディフェウスだ。」
すると勢いよく扉が開いて背の高い髪を一つにくくった男の人が出てきた。
「やぁディフェウス!待っていたよ」
そういうとその人はすぐに隣にいるニクスに目を向けた。
「初めまして。第五騎士団の団長を務めているフール・トワイトだ。君の話は聞いているよ」
と軽く自己紹介をされた後、ほんとにラウスだね、髪触ってもいいか、など質問攻めにあいニクスは少しだけ怖いと思ってしまった。
「その辺にしといてやれ。ニクスは他人との交流にまだ慣れていない。」
そういうとディフェウスさんは僕の肩を抱いて守るように自分のほうへとよせた。
「ほう、ずいぶんと気に入っているようじゃないか」
「うるさい。」
「いやぁ、悪いね。本物のラウスを見ることができるとなって興奮してしまった。」
というと部屋の中へ案内してくれた。
そこには大量の本が並んでおり、まるで小さな図書館のようであった。
「改めまして、よく来たね。君がここへきた経緯はディフェウスから聞かせてもらっているよ。私のことはフールと呼んでくれ。皆は騎士だから団長と呼ぶが君は違うのだから気にしなくていいよ。」
と先ほどとは違った落ち着いた口調だった。
「こいつはこんなだが腕は本物だ。」
「こんなだがとは失礼な。私はただ研究が好きなだけだ。」
「こいつとは小さいころからの付き合いなんだ。」
二人は本当は仲がとてもよいのだろうとニクスは思った。
「では、私は戻らないといけないからこの辺で失礼するよ。フール、ニクスを頼んだぞ。」
「えっ…。」
無意識にニクスはつぶやいてしまった。自分が思っている以上にディフェウスさんを頼りにしていたのだろう。その様子に気付いたのかディフェウスはニクスの頭を優しくなでてくれた。
「そんな不安そうな顔をするな。また昼食の時間になったらここに来るから一緒に食べよう。」
顔には出にくい感情もなぜか読まれてしまう。まったく嫌ではない。むしろうれしいと感じていた。
ニクスがうなずくとディフェウスは出ていった。
「では、この団での仕事を説明しよう。」
「はい。よろしくお願いします。」
「緊張しなくていいよ。難しいことではないからね。」
といって説明してくれた仕事内容はこうだ。
主な仕事としては治療中のお手伝い。打撲や捻挫などの治療は簡単なのでお願いしたいとのことだ。そのほかは掃除、書類整理など細かい作業がたくさんあった。
「まあ、こんなところだ。わからないことは何でも聞いてくれていいし、もう一人手伝いがいるからあの子と一緒にやったらいいよ。」
その話をしていたらちょうどそのお手伝いの人が帰ってきた。
「ただいま戻りました。」
「おかえり、ビー。ちょうどいいところに帰ってきた。」
「あ、その子が今度来るっていってた子ですか。」
とニクスに近づき自己紹介をしてくれた。
「初めまして。僕はビークス。ビーって呼んでくれていいよ。」
その男性はニクスよりは背は高いが団長よりは小さい黒髪、黒目の顔の整った青年だった。
三日後ディフェウスは宝石店を訪れていた。
「ニクス、この前の提案について考えてくれただろうか」
ニクスは考えた末に騎士団で働くことを承諾した。
翌日、カイルさんにお礼を言って騎士団ディフェウスさんと一緒に行くことになった。
騎士団へは歩いて行ったのでニクスは初めて町の中を歩くことになった。
馬車を出して目立ってしまうわけにもいかないので、ニクスは頭がすっぽりと隠れるくらいの外套を羽織っていた。
明るい色の外壁の家が立ち並び、人の声でとても賑やかであった。初めて出たこの国の外は何とも言えない幸福で満ち溢れていた。
きょろきょろと周りを見ているとそれに気づいたディフェウスさんはあの暖かな笑顔を顔にうかべていた。
「町へ出るのは初めてか?」
「はい……。とても賑やかですね」
「この国の町は一年中こんな感じだ。豊穣祭のときはもっとすごいぞ。」
豊穣祭とは何だろうかと首をかしげたところディフェウスさんが教えてくれた。
「豊穣祭というのは一年に一回作物の豊穣を願って行われる祭りなんだ。今年はこの季節を終えたころに行われるだろう。」
「そうなんですね。とても楽しそうですね。」
「その時は連れて行ってやろう。」
そんな会話を進めながら歩いていたらあっという間に王宮へと到着した。
そこから少し歩いたところに騎士団は置かれていた。
「騎士団に入るには身分証を提示する必要があるんだが、ニクスのはまだ完成していないんだ。だから外に出るとなったら必ず私に伝えてくれ。」
そのことを聞いてニクスは迷惑はかけられないと外に出ないことを決め、首を縦にふった。
長い廊下を歩いている間騎士団の仕事について説明してくれた。
騎士団には第一騎士団から第五騎士団まで存在し、それぞれ違った役職を担っているとのことだった。今回ニクスが働くのは主に治療を担っている第五部隊であった。
第五部隊はけがの治療に特化しておりその手伝いをするということだった。ほかの団よりも力仕事は少なく性格の温厚な人が多いので働きやすいだろうという。
そんなことまで配慮してくれていたとは知らず、真面目に働こうとニクスは考えていた。そして今はその第五部隊の団長のところへ向かっているところだという。
「団長の名前はフール・トワイトという。貴族だが研究馬鹿で少し変わったところはあるんだが根はいいやつなんだ。」
ニクスはどんな人なのかと不安を感じながらついていった。
長い廊下を進んだ先にあった扉をたたく
「ディフェウスだ。」
すると勢いよく扉が開いて背の高い髪を一つにくくった男の人が出てきた。
「やぁディフェウス!待っていたよ」
そういうとその人はすぐに隣にいるニクスに目を向けた。
「初めまして。第五騎士団の団長を務めているフール・トワイトだ。君の話は聞いているよ」
と軽く自己紹介をされた後、ほんとにラウスだね、髪触ってもいいか、など質問攻めにあいニクスは少しだけ怖いと思ってしまった。
「その辺にしといてやれ。ニクスは他人との交流にまだ慣れていない。」
そういうとディフェウスさんは僕の肩を抱いて守るように自分のほうへとよせた。
「ほう、ずいぶんと気に入っているようじゃないか」
「うるさい。」
「いやぁ、悪いね。本物のラウスを見ることができるとなって興奮してしまった。」
というと部屋の中へ案内してくれた。
そこには大量の本が並んでおり、まるで小さな図書館のようであった。
「改めまして、よく来たね。君がここへきた経緯はディフェウスから聞かせてもらっているよ。私のことはフールと呼んでくれ。皆は騎士だから団長と呼ぶが君は違うのだから気にしなくていいよ。」
と先ほどとは違った落ち着いた口調だった。
「こいつはこんなだが腕は本物だ。」
「こんなだがとは失礼な。私はただ研究が好きなだけだ。」
「こいつとは小さいころからの付き合いなんだ。」
二人は本当は仲がとてもよいのだろうとニクスは思った。
「では、私は戻らないといけないからこの辺で失礼するよ。フール、ニクスを頼んだぞ。」
「えっ…。」
無意識にニクスはつぶやいてしまった。自分が思っている以上にディフェウスさんを頼りにしていたのだろう。その様子に気付いたのかディフェウスはニクスの頭を優しくなでてくれた。
「そんな不安そうな顔をするな。また昼食の時間になったらここに来るから一緒に食べよう。」
顔には出にくい感情もなぜか読まれてしまう。まったく嫌ではない。むしろうれしいと感じていた。
ニクスがうなずくとディフェウスは出ていった。
「では、この団での仕事を説明しよう。」
「はい。よろしくお願いします。」
「緊張しなくていいよ。難しいことではないからね。」
といって説明してくれた仕事内容はこうだ。
主な仕事としては治療中のお手伝い。打撲や捻挫などの治療は簡単なのでお願いしたいとのことだ。そのほかは掃除、書類整理など細かい作業がたくさんあった。
「まあ、こんなところだ。わからないことは何でも聞いてくれていいし、もう一人手伝いがいるからあの子と一緒にやったらいいよ。」
その話をしていたらちょうどそのお手伝いの人が帰ってきた。
「ただいま戻りました。」
「おかえり、ビー。ちょうどいいところに帰ってきた。」
「あ、その子が今度来るっていってた子ですか。」
とニクスに近づき自己紹介をしてくれた。
「初めまして。僕はビークス。ビーって呼んでくれていいよ。」
その男性はニクスよりは背は高いが団長よりは小さい黒髪、黒目の顔の整った青年だった。
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