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第一章

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俺はかなり冷めている子供でαだ。

αの特性状、βやΩよりも肉体的にも精神的にも成熟が早い。それは少しでも早く番を守れる状態になろうとするから、と言われている。
上位種になればなるほどこの傾向は強い。貴重なメスをさっさと番にするためだ
上位αは執着が強く、番を失うと自殺したり殺戮者になってしまったりと、壊れる、と言われているが、はっきり言って想像がつかない。
日々の生活において、俺がそこまで執着するほどのものなど見当たらない。

自分はかなりの上位種なのだろうな、と思う。同級生や両親を見ても自分より下位だということはわかる。αってのは兎に角動物的で、相対しているとどちらが上なのか本能的に察知できる。で、俺は、まだ自分より上位の者に会ったことがまだない。

でも、マウンティングするほど愚かでもない。この狭い地域でトップなだけで世界を見れば自分より上の者は星の数ほどいるだろう。
だから、周囲には丁寧な対応を心掛ける。
小学校で帝王してて中学で単なる大臣なんてプライドが許さない。
だったら、王子辺りが無難だ
俺は上位αだけあって、頭脳も体力もかなりいい。
特にこだわるものもないから、皆に平等に優しくできる。
親しみやすいけれど利用されることもない、ある程度の尊敬を集める位がちょうど良い。

両親はそんな俺を持て余し気味だ。
小1でそんなことを考えている息子よりも、普通のαである弟の方を両親は可愛がった。
まあ、αならばそんなものだろう。自分への脅威となるものなど本能的に避けてしまうものだ。
それに対して特になんの感慨もない。
感情が薄いのだろう。

とはいえ、息子が上位種である事は彼らのプライドを擽るものがあるようだ。
俺の家は唐澤家の分家も分家で、親戚一同で集まる時など、両親はかなり下に見られている。
ただ当主は実力主義者で、次代は息子と拘ることなく分家などに優秀な者がいれば、養子にして事業を継がせると公言している。この為下剋上が狙える程の由希を産んだことを誇りにおもっているようだ。

実際、次代で俺よりαとして上位なものはいない。
トラブルの元になるから、そんな事をわざわざ言ったりはしないが。大体、唐澤家なんて継ぎたくないし。

「これで、小一とは。だが、お前の欠点はその欲のなさだな……」
当代が言う。

当代がαとして俺より上位なのかは分からない。近しいことだけはわかる。このへんは亀の甲より年の功というやつだろう。海千山千、ビジネスで渡り歩くうちに曖昧にする技術が身につくのだ。
まぁ、威圧でマウントをお互い取りまくれば判明はするんだろうけど、そんな意味はないし。

めんどくさい事は御免だ……。





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