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5-陸に給餌された!
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「調査しましたが、青島の婚約者の詳細は不明なままです。現在判明しているのはコンチャンという名前のオメガというところでしょうか。意外にも青島は用心深い。」
猪瀬が報告する。
……それだけコンちゃんというものを大切に思っているということだろうか?
陸と出会って一月がたった。夢のような時間だ。京極で借り上げているA1の部屋に行けば、番がいる。
そこで仕事の雑事を片付けていると、狙ったかのようなタイミングで番が私をいたわってくれるのだ
『お疲れ様。俺たちの将来基盤の為にいつもありがとう』
そんな風に、私を休憩へといざなうのだ。
番の淹れてくれた美味しいお茶と番お勧めの菓子が、心身をリフレッシュしてくれて私の仕事の効率をあげてくれる。
『…まぁ、日当を出してますからね。一日4万円、時給換算すると、一時間一万円。現在の家庭教師のバイトよりも良いでしょうし』
…五月蠅い、猪瀬。
陸は家庭教師のバイトもしていた。
帝都大生ならば、それもまた時給はいいだろう。けれど他の男と密室に二人っきりなど許せるわけもない。
寧ろ私が…!
『おやめください。青島程度が貴方に何を教えられる言うのですか。青島は仕事の補佐として雇いますから、貴嗣様はできる限り、仕事をA1でなさるようにしてください。それがあなた方の未来の為です』
……猪瀬もさっさと番に出会えばいい。まったく…
だが、猪瀬の言うことも尤もだ
陸が安全に暮らせる巣を作るためには潤沢な資金が必要だ。私には敵も多い。高度なセキュリティには相応のランニングコストがかかる。陸と二人っきりで過ごしたいが、陸に巣を捧げられる甲斐性がなくてはならないのだ。
そのために、二人っきりを諦めA1に来てもらっている。
ふぅっとため息をつくと、陸が、休憩に誘ってくれた。
アッサムティーを淹れるなんて珍しい。尋ねるとにこっと笑いながら言う
「はい。高橋が疲れていたみたいで。」
「そう…………」
私の番は優しいから。だから…
「きょ京極様、私は……」
高橋が青ざめながら言い訳する。五月蠅い。
「黙れ」
…………威圧が漏れ出しているのが分かる。押さえなければと思う一方で、仕方がない事だとも思う。番が自分より他のαを優先したともなれば皆不快にはなるものだ。
寧ろ、同じαなのに陸は何故理解してくれないのか
「…陸は優しいね、これは疲れている高橋の為のお茶なんだね」
口調がじっとりとしてしまうのは許してほしい
「??高橋の好きなお茶にはしましたけど?」
陸がきょとんとする。
そんな顔も可愛いけれど、許すことはできない
「さらに、高橋と陸はいちごジャム、残りはブルーベリー」
二人がお揃いなんて言語道断だ、そう思いながら言うと、陸が声を立てて笑った。
「…………陸が笑っている」
なんて破壊力だ。今まで曖昧な笑い方はしていたけれど、こんな風に楽しそうに笑うことはなかった。
陸が、目じりに滲んだ涙を拭いた
そして自分のスコーンにいちごジャムをつけて私の口へと運ぶ
え???
ぇえ?????
陸が私に給餌してくれた。αにとっては特別な行為
『貴方を愛しています』そう伝えているようなものだ
幸せだ、本当に幸せだ
まぁ、当然、私より優先された高橋は地方に飛ばすが
最近、陸との距離感がおかしくなっている者もいるから丁度よい見せしめになるだろう。
実際、皆の様子が変わった。
陸に怪しまれない程度に距離を取る。
そして、陸が私より誰かを優先することも無くなった。
『俺らは京極様の部下だ。上司を優先しろ。京極様を俺らと同じに扱うな』
とでも、誰かが陸に言ったのだろう。
それからは、陸は私だけの為にお茶を用意してくれる。
陸も一緒にと誘ったが、給仕係としている以上、皆さんの分も済ませますと言われてしまった。
でも、それでもいい。
そろそろ……と思ったタイミングで陸が私をソファへと誘う。私の事を見続けてなければ無理だ。そして、給仕を終えると私の横に座ってくれる。
陸と出会ってから、私は疲れ知らずだ…
~~~~~~~~~~~~
陸の中で京極様は
『こんなに怒るなんてよっぽどいちごジャムが好きだったんだな…………』。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
猪瀬が報告する。
……それだけコンちゃんというものを大切に思っているということだろうか?
陸と出会って一月がたった。夢のような時間だ。京極で借り上げているA1の部屋に行けば、番がいる。
そこで仕事の雑事を片付けていると、狙ったかのようなタイミングで番が私をいたわってくれるのだ
『お疲れ様。俺たちの将来基盤の為にいつもありがとう』
そんな風に、私を休憩へといざなうのだ。
番の淹れてくれた美味しいお茶と番お勧めの菓子が、心身をリフレッシュしてくれて私の仕事の効率をあげてくれる。
『…まぁ、日当を出してますからね。一日4万円、時給換算すると、一時間一万円。現在の家庭教師のバイトよりも良いでしょうし』
…五月蠅い、猪瀬。
陸は家庭教師のバイトもしていた。
帝都大生ならば、それもまた時給はいいだろう。けれど他の男と密室に二人っきりなど許せるわけもない。
寧ろ私が…!
『おやめください。青島程度が貴方に何を教えられる言うのですか。青島は仕事の補佐として雇いますから、貴嗣様はできる限り、仕事をA1でなさるようにしてください。それがあなた方の未来の為です』
……猪瀬もさっさと番に出会えばいい。まったく…
だが、猪瀬の言うことも尤もだ
陸が安全に暮らせる巣を作るためには潤沢な資金が必要だ。私には敵も多い。高度なセキュリティには相応のランニングコストがかかる。陸と二人っきりで過ごしたいが、陸に巣を捧げられる甲斐性がなくてはならないのだ。
そのために、二人っきりを諦めA1に来てもらっている。
ふぅっとため息をつくと、陸が、休憩に誘ってくれた。
アッサムティーを淹れるなんて珍しい。尋ねるとにこっと笑いながら言う
「はい。高橋が疲れていたみたいで。」
「そう…………」
私の番は優しいから。だから…
「きょ京極様、私は……」
高橋が青ざめながら言い訳する。五月蠅い。
「黙れ」
…………威圧が漏れ出しているのが分かる。押さえなければと思う一方で、仕方がない事だとも思う。番が自分より他のαを優先したともなれば皆不快にはなるものだ。
寧ろ、同じαなのに陸は何故理解してくれないのか
「…陸は優しいね、これは疲れている高橋の為のお茶なんだね」
口調がじっとりとしてしまうのは許してほしい
「??高橋の好きなお茶にはしましたけど?」
陸がきょとんとする。
そんな顔も可愛いけれど、許すことはできない
「さらに、高橋と陸はいちごジャム、残りはブルーベリー」
二人がお揃いなんて言語道断だ、そう思いながら言うと、陸が声を立てて笑った。
「…………陸が笑っている」
なんて破壊力だ。今まで曖昧な笑い方はしていたけれど、こんな風に楽しそうに笑うことはなかった。
陸が、目じりに滲んだ涙を拭いた
そして自分のスコーンにいちごジャムをつけて私の口へと運ぶ
え???
ぇえ?????
陸が私に給餌してくれた。αにとっては特別な行為
『貴方を愛しています』そう伝えているようなものだ
幸せだ、本当に幸せだ
まぁ、当然、私より優先された高橋は地方に飛ばすが
最近、陸との距離感がおかしくなっている者もいるから丁度よい見せしめになるだろう。
実際、皆の様子が変わった。
陸に怪しまれない程度に距離を取る。
そして、陸が私より誰かを優先することも無くなった。
『俺らは京極様の部下だ。上司を優先しろ。京極様を俺らと同じに扱うな』
とでも、誰かが陸に言ったのだろう。
それからは、陸は私だけの為にお茶を用意してくれる。
陸も一緒にと誘ったが、給仕係としている以上、皆さんの分も済ませますと言われてしまった。
でも、それでもいい。
そろそろ……と思ったタイミングで陸が私をソファへと誘う。私の事を見続けてなければ無理だ。そして、給仕を終えると私の横に座ってくれる。
陸と出会ってから、私は疲れ知らずだ…
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陸の中で京極様は
『こんなに怒るなんてよっぽどいちごジャムが好きだったんだな…………』。
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