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1章 この世界を生き抜くためには

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着かない……


壁は見えてるのに。


「街、遠いよー…でも行かないと野宿なんて出来ないし…」


街に近づくにつれ、歩いてる人も増えてきた。
人の流れに乗って門の所に続いてる列に並ぶ。


「はぁ…やっと着いた……」


列に並んでる間に街に入ってからやらないといけないことを整理する。


「まずは冒険者登録かな。それから泊まるとこ探して、あとなんだっけ…あ、奴隷か。それは明日でも良いかな…」


小さくブツブツ言ってると私の番になった。


「次!」


「あの、冒険者になるためにこの街に来ました。身分証はありません…。入れますか?」


「あんた1人で来たのか!?」


「はい、ダメでしょうか?」


「いや、ダメじゃないが…よく無事だったな。とりあえずこの水晶に触ってくれ。」


「これは?」


「犯罪歴が無いかの確認のための水晶だ。その他はわからん。」


「わかりました。」 


手のひらサイズの水晶にそっと触れる。
すると水晶が青く光った。


「よし、大丈夫だな。身分証がないから街に入るのに銀貨2枚かかる。あるか?」


「はい!」

ローブのポケットから巾着を出し銀貨を2枚渡す。


「はい、確かに。冒険者に登録できたら街に入るのはタダになるから今日中に登録すると良い。冒険者ギルドは大通りを真っ直ぐ進むとあるぞ。剣と盾の看板が目印だ」


「ご丁寧にありがとうございます。さっそく行ってみます!」


門番の騎士にお礼を言い門を潜る。


「うわぁぁ……すごい……」


日本とは全く違う街並みに驚く。
煉瓦造りが基本なのか可愛らしい建物が多く、歩いている人たちの顔も明るい。
たまに動物の耳やしっぽをもつ人達もいて、本当に異世界なんだなと実感する。


端の方に寄りしばらくは人の流れを観察していたが、いつまでもここにいるわけにもいかないと思い冒険者ギルドを目指して歩きはじめた。


大通りをまっすぐ歩いてると直ぐに剣と盾の看板を発見することができた。


「よしっ……」


気合いを入れてドアをくぐる。


そっと中に入ると予想より人がたくさんいた。
キョロキョロと見渡して空いているカウンターに向かう。
うさ耳のお姉さんが座っている窓口を選んだ。


「あ、あの、すみません!冒険者登録をしたいのですが、ここで大丈夫ですか?」


「はい、こちらで登録できますよ。この用紙に必要事項を書いてください。文字が書けないようなら代筆しますよ」


「えっと、じゃあ、代筆をお願いします」


「はい、承りました」


うさ耳のお姉さんに口頭で名前や年齢などを伝えて書いてもらう。


「はい、では最後にこちらに血を1滴垂らしてください」


はいっと針が渡される。
思い切って指先を刺し、何とか血を垂らすけどめちゃくちゃ痛かった。


「こちらがユズキ様のギルドカードになります。
冒険者ギルドについての説明は必要ですか?」


「はい、お願いします」


「まずはギルドカードについて、こちらのカードがユズキ様の身分証になります。再発行にはお金がかかりますから無くさないようにしてくださいね。
冒険者ランクはFから始まり、EDCBAと上がっていきます。Aの上にはSランクがあり現在5人の冒険者がSランクとして活動してます。
ユズキ様はFランクですので頑張ってランクアップしてください。
冒険者ランクは依頼を受けることでポイントを貯めて上がって行きます。
依頼は後方の掲示板に張り出されているので、受注したい依頼を剥がして受付まで持ってきてください。
またCランクに上がる時からポイントの他にランクアップ試験があり、合格しないとCランクにはなれません。
ここまで大丈夫ですか?」


「はい、なんとか…」


「あとは不要な素材があれば奥の買取カウンターまで持っていってください。だいたいの物は買取ります。依頼品の場合は受付カウンターまでお願いしますね。
依頼の報酬等はギルドカードの口座に入金もできますので活用してください。
日々の活動中に疑問が出てきたら聞きにきてください。」


「ありがとうございます。分からないことがあったら聞きに来ますね。あ、あとおすすめの宿屋を教えてください」


宿屋だけは確保しないと。


「少し高くても大丈夫なので、ある程度綺麗で安全な宿をお願いします」


「それでしたら妖精の宿り木亭が良いかと。女性に人気の宿屋ですよ。大通りを奥に進むと噴水のある広場があります。そこから右側の通りに入ってすぐの所です」


「ありがとうございます!」


お姉さんにお礼を言ってギルドを出る。
お姉さんに聞いた通りに進むと妖精とベッドの看板のかかった建物を見つけ入る。

入るとカウンターにふくよかな女性が立っていた。

「いらっしゃい」


「すみません。宿泊をお願いしたいのですが、部屋は空いてますか?」


「空いてるよ。1泊朝食つきで銀貨3枚、お湯がいるなら追加で銅貨20枚だよ。夕食を食べるなら1食銅貨50枚だ」


「それならとりあえず5泊分お願いします。それとお湯と今夜の夕食も。あ、あの明日奴隷を連れてこようと思ってるんですけど、部屋を広いとこにしてもらうのは可能ですか?」


「ああ、奴隷を連れてくるのかい。ベッドは必要かい?」


「使わせても大丈夫ならお願いしたいです」


「それなら今だとベッドが3台ある部屋が1番広いね」


「じゃあ、そこをお願いします。いくらになりますか?」


「今はお嬢ちゃん1人だから金貨1枚、銀貨5枚と銅貨70枚で良いよ。連れてきたら追加を払っとくれ」


「ありがとうございます。」


「はいよ。お湯はすぐにいるかい?」


「いえ、食事の後にお願いします」


「はいよっと、これが部屋の鍵だよ。外出する時はここに返しとくれ。部屋は3階の1番奥だよ。夕食は16時~20時だからね。この木札を持って向こうの食堂に来とくれよ」



鍵と木札を受け取り部屋に向かう。

部屋に入り鍵をかけ、荷物を置いてベッドにダイブするとそのまま眠り世界に入ってしまった。












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