雨の匂い

きみどり

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雨の匂い

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「やっべー、ビショビショじゃん」
 あーくそ、耳ん中入った。
 新設の図書館。しずやかな館内に程々の大きさの声が響く。
 新設なだけあって、大きく、ゆとりある作業スペースで講義の課題とにらめっこしている自分の耳にも入ってくるくらいの声。
 返す声はなく、そのまま静かになる。
 ふと、雨の匂いがした気がした。ちらと見ると、ビショ濡れの人物が自分の後ろを折りよく通るところだった。
 よくよく見ると大事そうに、タオルにくるんだであろう本を抱えている。
 その人物の風体からでは、意外だという感想を覚えた。
 そこでPCに視線を戻して、思考の絡まりに、ため息をつく。
 ここは蓋付きなら飲み物も大丈夫だ。持参の蓋付きタンブラーに口を付けて、ひと息付いた。
 雨はまだ、振り始めたばかりだ。
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