21 / 26
比翼連理
しおりを挟む
明星を背にした青年がメルクリウスに覆い被さるように体を抱き寄せて唇を重ねた。
その瞬間、メルクリウスは彼が運命の番だと確信した。
「君の、名前は? 俺……私はアリスター。アリと呼んでほしい」
彼の名前を耳にしただけで心が震える。
名前を聞かれて喜びが満ちる。
「親がつけた名前はマークだ。アリ」
彼には本当の名前を知って欲しくて、メルクリウスはオメガらしくないからと変えられる前の名前を告げた。
「マーク」
彼の名前を呼んで心が蕩け、掠れた低音で本当の名を呼ばれて囚われる。
「アリ……アリスター」
息を乱しながら甘えるように名を呼ぶと、どこか遠慮がちに唇が眦に落ちて、頬に触れる。
「そこじゃ、ないだろ。アリ」
唇を半開きにして上目遣いで彼を見ると、喉仏が上下するのが分かった。
「俺から……する? して、欲しいんだけど」
箍がはずれたかのように頤を両の手で抑えられてアリスターの舌が歯列を割り込んだ。
「ん……おいし……」
口腔を犯す熱く柔らかな舌を自らのそれで絡めて唾液を啜る。
もっともっと欲しくて、メルクリウスもアリスターの頬に手を添えてお互いに口蓋を舐めしゃぶり、歯列を舌でなぞる。
一滴もこぼしたくないのに、あふれた甘露を啜りきれず、密着した唇の端からこぼれて顎から喉につたい落ちていく。
貪りあった唇をそっと離すと、未練が二人の間に細く甘美な糸をかけた。
それは不思議な感覚だった。
言葉にするなら、二つにわかたれたものを戻したい。狂おしいほどに彼を欲しているが、発情期の飢えとは明らかに違う。
「アリ。挿れて……」
メルクリウスはそうねだると靴を投げ捨てて立ち上がり、ズボンと下着を脱ぎ捨てる。
「ひとつに、なりたい」
アリスターの手を取って太ももの間から尻たぶを開かせた。
解していないのに柔らかく緩んだ蕾から、とろりとアリスターを受け入れるための愛液が流れて内腿をつたい落ちるのを感じる。
刹那、抱きすくめられて鉄柵に柔らかく押し付けられ、片脚を持ち上げられて屹立を突き入れられる。
浅い挿入なのに、その途端に躰が歓喜に震え、恍惚が全身を走り抜ける。
お互いに言葉を出せなかった。ただ荒い息を交わしながら鉄柵を支えに抱きしめあって、交歓の悦びに躰を蕩けあわさせた。
あの地獄の片隅で見た景色と同じような事を、よりにもよって屋外でやっているのに不思議なことに嫌悪感はまるでなかった。
法悦に身を委ねたメルクリウスの雄は触れることなく白濁を吐き出し、潤んだ肉壁はアリスターの雄を強く食い締めた。
その瞬間、メルクリウスは彼が運命の番だと確信した。
「君の、名前は? 俺……私はアリスター。アリと呼んでほしい」
彼の名前を耳にしただけで心が震える。
名前を聞かれて喜びが満ちる。
「親がつけた名前はマークだ。アリ」
彼には本当の名前を知って欲しくて、メルクリウスはオメガらしくないからと変えられる前の名前を告げた。
「マーク」
彼の名前を呼んで心が蕩け、掠れた低音で本当の名を呼ばれて囚われる。
「アリ……アリスター」
息を乱しながら甘えるように名を呼ぶと、どこか遠慮がちに唇が眦に落ちて、頬に触れる。
「そこじゃ、ないだろ。アリ」
唇を半開きにして上目遣いで彼を見ると、喉仏が上下するのが分かった。
「俺から……する? して、欲しいんだけど」
箍がはずれたかのように頤を両の手で抑えられてアリスターの舌が歯列を割り込んだ。
「ん……おいし……」
口腔を犯す熱く柔らかな舌を自らのそれで絡めて唾液を啜る。
もっともっと欲しくて、メルクリウスもアリスターの頬に手を添えてお互いに口蓋を舐めしゃぶり、歯列を舌でなぞる。
一滴もこぼしたくないのに、あふれた甘露を啜りきれず、密着した唇の端からこぼれて顎から喉につたい落ちていく。
貪りあった唇をそっと離すと、未練が二人の間に細く甘美な糸をかけた。
それは不思議な感覚だった。
言葉にするなら、二つにわかたれたものを戻したい。狂おしいほどに彼を欲しているが、発情期の飢えとは明らかに違う。
「アリ。挿れて……」
メルクリウスはそうねだると靴を投げ捨てて立ち上がり、ズボンと下着を脱ぎ捨てる。
「ひとつに、なりたい」
アリスターの手を取って太ももの間から尻たぶを開かせた。
解していないのに柔らかく緩んだ蕾から、とろりとアリスターを受け入れるための愛液が流れて内腿をつたい落ちるのを感じる。
刹那、抱きすくめられて鉄柵に柔らかく押し付けられ、片脚を持ち上げられて屹立を突き入れられる。
浅い挿入なのに、その途端に躰が歓喜に震え、恍惚が全身を走り抜ける。
お互いに言葉を出せなかった。ただ荒い息を交わしながら鉄柵を支えに抱きしめあって、交歓の悦びに躰を蕩けあわさせた。
あの地獄の片隅で見た景色と同じような事を、よりにもよって屋外でやっているのに不思議なことに嫌悪感はまるでなかった。
法悦に身を委ねたメルクリウスの雄は触れることなく白濁を吐き出し、潤んだ肉壁はアリスターの雄を強く食い締めた。
20
あなたにおすすめの小説
終焉の晩餐会:追放される悪役令息は、狂欲の執事と飢えた庭師を飼い慣らす
河野彰
BL
かつて、ローゼンベルグ家の庭には白薔薇が咲き誇っていた。嫡男リュシアンは、そのバラのように繊細で、風が吹けば折れてしまいそうなほど心優しい青年だった。しかし、名門という名の虚飾は、代々の放蕩が積み上げた「負の遺産」によって、音を立てて崩れようとしていた。
悪役になり切れぬリュシアンと彼を執拗にいたぶる執事のフェラム、純粋な愛情を注ぐ?庭師のルタムの狂気の三重奏。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺
スノウマン(ユッキー)
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。
大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?
「行くな」と言って、縋って泣いて。貴方はきっと僕のすべてを忘れるから
水城
BL
番になれないβだから、忘れられることを選んだ。
誰も教えてはくれなかった。αの発情が最も激しくなる瞬間を――忘却と救済のオメガバース
鳴海奏(なるみかなで)は、交通事故で死んだ。享年二十五。
スーパーアルファを輩出する名門、九条家の執事として、また秘書として、当主である九条柾臣(くじょうまさおみ)に一生をかけ仕えるはずだった奏の魂は、ふと気づくと自分の葬儀会場にいた。
現世に残してきたアルファの柾臣を見守る奏。奏はベータ。すでに婚約者のいる柾臣とは番にも恋人にもなれるはずもない身。
しかし、唯一の理解者であり支えであった奏を失い、柾臣は次第に壊れていく――
アルファとオメガの理の外側で「忘れられる」ことを選んだベータ。
それははたして救いだったのか。
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる