無自覚チート令嬢は婚約破棄に歓喜する

もにゃむ

文字の大きさ
12 / 13
SIDE ジェシカ(ローズ)

クレアとジェシカ 3

しおりを挟む
「ふふっ。そうですわね。クレア様とは長いお付き合いになると思いますので、私の秘密をお教えしてもいいのですけれど・・絶対に誰にも言わないと約束してくださいますか?」

「もちろんですわ。王子妃にされてしまったら自害しようと思っていたこの命を救ってくださった恩人様のおっしゃることですもの。命をかけて、誰にも言わないと誓いますわ」

・・・そこまで・・・

「では、私の本当の姿をお見せいたしますわ」

私の言っていることが理解できなかったのか、クレア様が首を傾げました。

私は自分にかけ続けている幻影を解きました。
と言っても、ようにしただけです。

「私も希少な属性魔法の使い手で幻影魔法が使えますの。高級娼館の娼婦でお客様にはひと時の夢を見ていただいていますが、まだ男を知りませんのよ?」

クレア様は貴族令嬢にあるまじきお顔になっていらっしゃいます。

私はすぐに幻影魔法を自分にかけ直します。
本当の姿は、まだ、他の誰にも見せるつもりはございません。

「クレア様、提案がございます。クレア様がこの国から難なく出るために、私の幻影魔法でお助けいたします。この国では女性の出国は認められないので戸籍はなくなりますが、他の国で身分証を手に入れる手段はいくらでもございます。それよりもクレア様、生きていくためにはお金が必要なことは理解していらっしゃいますか?」

「そこまで世間知らずではありませんわ」

「ある程度のお金のご用意はある、ということですの?」

「手持ちのドレスや宝石を売ろうと思っています」

「駄目ですわ。販路をお持ちですの?貴女のようなお嬢様が売りに行っても、足元を見られた挙句、貴女が売られてしまうかもしれませんわ。世の中を舐めすぎです」

「え?え?売られる?私が?」

この国は珍しく女性の方が男性よりも人口が多いですが、女性の方が人口の少ない国の方が多いのです。
高いお金を払ってでも、女性を買いたいという国もあるのですよ。
この国のどこへ行っても、クレア様のことは知られているでしょう。
そんな貴族のご令嬢がドレスや宝石を売りに行ったら、攫われてしまうのが目に見えています。

「旅をするには信頼できる護衛を雇うか、男の恰好をして結界魔法で身を守り続けるか・・・外には魔物も多くいますわ。・・・そうですわねぇ、時間は何倍もかかるかもしれませんが、男の恰好をして、しっかりした護衛の付いた、人数の多い乗合馬車でミューラーン国を目指すのが一番安全かもしれませんわね。ミューラーン国には先に手紙で貴女が行くことを知らせて、準備をしてもらっておきますわ」

「乗合馬車って、お金は」

私はコンコンと自分の胸元を叩きます。

「これ、商品化しましょう。私が商業ギルドに商品登録いたしますわ。そして売り上げの何割かを、貴女の口座に入金します。万が一追手がかかった時のために、口座は国外に出てから商業ギルドで新しい名前で作ってください。商業ギルドの口座のお金の入出金は、すべての国でできますわ。今、クレア様の新しい名前を決めてしまいましょう」

クレア様は、ずっと考えていたという名前を教えてくださいました。

「そうですわね…3日後にここに来ていただけますか。それまでに距離があっても通信可能な魔道具を準備いたします。その後は魔道具で連絡を取り合うようにして接触を避けましょう。出発の準備が出来ましたら、ご連絡くださいませ。私の幻影魔法で、男としてスムーズに出国させて差し上げます。その時までにこの商品の登録契約料と売り上げ見込みの何割かを現金でお渡しいたします。貴女の結界魔法があれば、お金はいくらあっても管理可能でございますわね?」

クレア様が頷かれました。

「それでは、付与術式とこの布について、詳しく教えてくださいませ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

邪魔者な私なもので

あんど もあ
ファンタジー
婚約者のウィレル様が、私の妹を食事に誘ったと報告をしてきました。なんて親切な方なのでしょう。でも、シェフが家にいるのになぜレストランに行くのですか?  天然な人の良いお嬢さまが、意図せずざまぁをする話。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

私、実は若返り王妃ですの。シミュレーション能力で第二の人生を切り開いておりますので、邪魔はしないでくださいませ

もぐすけ
ファンタジー
 シーファは王妃だが、王が新しい妃に夢中になり始めてからは、王宮内でぞんざいに扱われるようになり、遂には廃屋で暮らすよう言い渡される。  あまりの扱いにシーファは侍女のテレサと王宮を抜け出すことを決意するが、王の寵愛をかさに横暴を極めるユリカ姫は、シーファを見張っており、逃亡の準備をしていたテレサを手討ちにしてしまう。  テレサを娘のように思っていたシーファは絶望するが、テレサは天に召される前に、シーファに二つのギフトを手渡した。

あなたは何も知らなくていい

Megumi
恋愛
「あ、じゃあ私がもらいます」 婚約破棄された夜、死のうとしていた俺を、公爵令嬢が拾った。 「あなたの才能は、素晴らしい」 生まれて初めて、俺のすべてを肯定してくれた人。 だから—— 元婚約者の陰謀も、妬む貴族たちの悪意も、俺が処理する。 証拠は燃やし、敵は消し、彼女の耳に届く前に終わらせる。 「あなたは何も知らなくていい」 彼女は知らない。 俺がすべてを終わらせていることを。 こちらは『女尊男卑の世界で婚約破棄された地味男、実は顔面SSRでした。私が本気で育てたら元婚約者が返せと言ってきます』のヒーロー視点のスピンオフです。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/82721233/538031475 本編を読んでいなくても、単体でお楽しみいただけます。

お前を愛することはないと言われたので、姑をハニトラに引っ掛けて婚家を内側から崩壊させます

碧井 汐桜香
ファンタジー
「お前を愛することはない」 そんな夫と 「そうよ! あなたなんか息子にふさわしくない!」 そんな義母のいる伯爵家に嫁いだケリナ。 嫁を大切にしない?ならば、内部から崩壊させて見せましょう

彼女が微笑むそのときには

橋本彩里(Ayari)
ファンタジー
ミラは物語のヒロインの聖女となるはずだったのだが、なぜか魔の森に捨てられ隣国では物語通り聖女が誕生していた。 十五歳の時にそのことを思い出したが、転生前はベッドの上の住人であったこともあり、無事生き延びているからいいじゃないと、健康体と自由であることを何よりも喜んだ。 それから一年後の十六歳になった満月の夜。 魔力のために冬の湖に一人で浸かっていたところ、死ぬなとルーカスに勘違いされ叱られる。 だが、ルーカスの目的はがめつい魔女と噂のあるミラを魔の森からギルドに連れ出すことだった。 謂れのない誤解を解き、ルーカス自身の傷や、彼の衰弱していた同伴者を自慢のポーションで治癒するのだが…… 四大元素の魔法と本来あるはずだった聖魔法を使えない、のちに最弱で最強と言われるミラの物語がここから始まる。 長編候補作品

処理中です...