陣借り狙撃やくざ無情譚(時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)

牛馬走

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 同時に、これから先こんなことが起こるかもしれない、という事実に思い至る。仲間の手の届かないところにいる相手を敵か味方か判別し始末する、そんな事態が出来するかもしれない。
 その後、栄助が鉄砲で牽制している間に仲間が相手に近づき持ち物を検めて本当に猟師であることを確かめた。
「助かったぜ、栄助」
 猪助親分に礼を言われ、栄助は言葉にできない充実感をおぼえた。
 村で生きていた頃には味わえかった感触だ。命をかけて生きているからこそ、こんな気分になるのだろうと思えた。ろくでもない立場にいるのに、悪くない心持ちだった。

● ● ●

 最初、その話を聞いたとき「仲間に迷惑はかけたくない」と思った。
 発端は街道の途中、茶屋で声をかけられたときのことだ。
 みなで休息をとっていると、
「友之助様、ひさしゅうござる」
 とひとりの武士が声をかけてきた。
 友之助の生まれた大名家で横目付を若い頃からしている男だった。
「なんの用だ?」
 とたずねて友之助は後悔した。碌な話のはずがないからだ。
「今日は陣借り無宿の友之助様に依頼があって参ってござる」
「そいつあ、話を聞かない訳にはいかねえな」
 友之助の隣に座っていた猪助が厳しい面差しで応じる。
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