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午(うま)の刻(昼十二時)、三蔵一行は海賊の屋敷の広間で海賊衆とともに昼餉(ひるげ)にありついていた。箱膳の上に並ぶ什器(じゅうき)の上には、姫飯(現在のように炊いた飯)、鯛の刺身、煮物に味噌汁という料理が並んでいる。
「おい、味噌汁って美味(うめ)ーな」
「ああ、なんかわんかねーけど美味(うめ)ー」
やや知恵の足りない金角と銀角が無邪気に日の本の料理を喜んでいた。
「美味(うま)、美味(うま)美味(うま)ぁ!」
食べ盛りの紅孩児も、米粒をほっぺたにつけたまま猛烈な勢いで料理をたいらげていく。
「紅孩児、食べ物は逃げないからもっと落ち着いて食べなさい」
平民の出であることが嘘のように優雅に食事に臨んでいる悟浄が彼を注意した。
「うるせぇ、子供扱いすんな!」
紅孩児は米粒を飛ばして憎まれ口を叩く。
飛んできた湿った米粒を、悟浄は辟易した様子で着物から取り除いた。
「大体、落ち着いて食べてねぇっていうなら、八戒にも云(い)えよ!」
紅孩児が指さした先、仲間内の端に座った彼はそれこそ餌に群がる家畜のような勢いで食べ物を胃袋に収めている。
海賊衆は航海の間に見慣れてしまったが、この光景を初めて目の当たりにする屋敷の下女が眼を丸くしてぽかんと口を開けていた。
「あいつについては、もう諦めた」
悟浄が苦虫を噛み潰したような顔をする。が、次の瞬間、悪巧みを思いついた表情を浮かべた――
午(うま)の刻(昼十二時)、三蔵一行は海賊の屋敷の広間で海賊衆とともに昼餉(ひるげ)にありついていた。箱膳の上に並ぶ什器(じゅうき)の上には、姫飯(現在のように炊いた飯)、鯛の刺身、煮物に味噌汁という料理が並んでいる。
「おい、味噌汁って美味(うめ)ーな」
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