直刀の誓い――戦国唐人軍記(小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で)

牛馬走

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 案内役の海賊の手下のひとりと先頭をいく紅孩児は両の太腿に全長一尺七寸(約五一・五センチ)の包丁状の刃を持った短兵器(たんへいき)双刀(そうとう)を鞘に収めて装着していた。包丁との違いは切っ先が刀に似た形状であることと、刃部の背と柄の接合部分から鉤が派出していること、それに拳の保護のための護拳があることだ。ちなみに、中国では武器のことを『兵器』や『器械』といい、刀剣のことを短兵器という。
 紅孩児につづく悟空は鈍兵器(どんへいき)、鉄製の四尺(約百二十一センチ)の棍(こん)(棒)を、その後ろの悟浄は月牙鏟(げつがさん)――一方に三日月型の刃、反対側に槍の穂をそなえた全長五尺(約一五〇センチ)の長兵器(ちょうへいき)(長柄武器)を担いで歩いている。
 四番手の三蔵は一見、なにも武器を帯びていないように見えるが、無数の飛び道具を――いわゆる暗器の類を着物の下に隠している。
 彼の後ろの八戒は鉄耙(てっぱ)、山の字に似た刃先――というより穂先をそなえた長兵器だ。先端から石突きまでの長さは六尺(約一八〇センチ)といったところ。
 最後尾の金角と銀角はそれぞれ長兵器を担いでいる。前者は反りのない刀の刀身に近い計上の刃に柄をつけた斬馬刀(ざんばとう)、後者は双戟(そうげき)――首を薙ぐ横に突き出た刃『弋(か)』と、胴を突く『矛(ほこ)』がひとつに組み合わさった得物を手にしている。双子の兵器はともに、柄と刃部を合わせた長さが五尺(約一五〇センチ)だ。
 物々しく武装しているが、みな一様に物見遊山の気楽さが表情にのぞいている。
 ――が、紅孩児と並んで歩いている案内(あない)役の顔つきは緊張にややこわばっていた。彼は「右も左もわからねぇ連中をほっぽり出すわけにもいかねぇな。お前、案内してやれ」と頭領に命じれられ、役割を忠実にこなしているのだ。
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