直刀の誓い――戦国唐人軍記(小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で)

牛馬走

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 俯瞰してみれば圧倒的勝利であり、三蔵の試合に関してものちに聞いた話では大部は龍造寺隆信の陪臣(ばいしん)のなかでも随一の遣い手というから、けっして恥じるものではなかった。賢兼もおおいに満足し、家臣たちも渋々ではあるが三蔵たちが家来に加わることを認めた。
 だが、だからといって負けた悔しさが減じるわけではない。
「糞ッ――!」
 その日の夜、三蔵は悔しさで眠れなかった……

   第三章

   一

 御前試合の結果は、三蔵の屈辱をのぞけば状況を大きく好転させた――

「御屋形様が、おことたちの兵法の業(わざ)をご覧になりたいと申しておる」
 上段の間にどっかりとあぐらをかいた賢兼が上機嫌な顔で告げる。
 ――御前試合から数日後、賢兼が呼んでいるというので登城した三蔵たちを待ち受けていたのが、彼のこの言葉だった。
「御屋形(おやかた)様が、でございますか?」
 三蔵はやや眼を見開く。仕官して間もない陪臣が君主に拝謁できるなどとは思っていなかった。
「うむ、城の使いの者におぬしらのことを話したところ、御屋形様は大層興味をお持ちになったらしくてな」
 賢兼が我がことのように喜んで大きくうなずく。

 ――それからさらに数日後、三蔵たちの姿は佐嘉城の広間にあった。
 平伏する彼らの前、上段の間には『五州二島の太守』、その勇猛さから『肥前の熊』と恐れられた龍造寺隆信(りゅうぞうじたかのぶ)の姿がある。容貌雄偉、眼光炯々たるその姿は、なるほど異名に違わぬ迫力がそなわっていた。
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