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「三蔵、無事でよかった」
ふっ、と表情をやわらげ悟浄がこちらに視線を向けた。
それで、三蔵は自分の状態を確認してみる気になる。あお向けの姿勢で、自分の身体を見下ろした――掛け具代わりにかけられた陣羽織から、脇の部分が破れた筒袖がのぞいている。
筒袖の穴からは、強く巻きつけられたさらしが露出していた……
その事実に、三蔵は血の気が引く。
(手当てされている――?)
「……残念だが、お前が女であることは露見してしまった」
彼の――いや、彼女の動揺に気づき、悟浄が気まずそうに告げた。
三蔵は無言でくちびるを噛む。
女が戦場に立つことは、いくら戦乱の世とはいえそうそう認められるものではない――が、彼女がさらしを胸に巻いて締め付け男の装(なり)をしていたのは、なにもそれだけが理由ではない。
……かつて、故郷で暮らしていたとき、初潮を迎えた頃にいくばくかの金で集落の男に売られそうになったことがあった。
――売ったのは母だ。そのときは、悟空が偶然そのことに気づいて騒ぎたててくれたことで間一髪のところを助けられた。
だが、男への恐怖――女である自分の弱さへの忌避感は、三蔵の心に深く刻みつけられている。
だから、彼女は日の本に渡るにあたり、男として生きることにしたのだ。
ふっ、と表情をやわらげ悟浄がこちらに視線を向けた。
それで、三蔵は自分の状態を確認してみる気になる。あお向けの姿勢で、自分の身体を見下ろした――掛け具代わりにかけられた陣羽織から、脇の部分が破れた筒袖がのぞいている。
筒袖の穴からは、強く巻きつけられたさらしが露出していた……
その事実に、三蔵は血の気が引く。
(手当てされている――?)
「……残念だが、お前が女であることは露見してしまった」
彼の――いや、彼女の動揺に気づき、悟浄が気まずそうに告げた。
三蔵は無言でくちびるを噛む。
女が戦場に立つことは、いくら戦乱の世とはいえそうそう認められるものではない――が、彼女がさらしを胸に巻いて締め付け男の装(なり)をしていたのは、なにもそれだけが理由ではない。
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