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それからいくつかの宿場を通り過ぎた。見知らぬ土地は、何の平凡もない宿場町でも目新しく映るものだ。ただ、物遊山の旅ではない。周太に対して我が儘をいっていた源太郎丸だが、破落戸との一件が効いたのか後ろ髪を引かれるようすを見せながらおとなしく賑やかな場所を通過した。
このまま、今日の宿泊地である猿橋につくかと思われたがそうはいかない。山裾に限りなく近い場所、人影が絶えたところで剣呑な気配が木立のあいだから躍り出てきたのだ。
前方だけでない、後方にも動きがあったのをかすかな物音で平太、又一郎は察知する。
「おめえは後ろを頼む」「へい」と鋭く声を交わし、それぞれ源太郎丸をはさんで前後に別れた。前に四人、後ろに三人というのが相手の頭数だ。いずれも旅支度の渡世人たちだった。
「てめえら、何者(なにもん)だ。なにか遺恨があったのことかい?」
平太は背中に又一郎がたずねる声を聞く。
「おうよ、そこの若造への意趣返しが眼目でい」「こいつへの?」
相手の声に又一郎が怪訝そうに聞き返した。若造、となれば自分だろう、と思いながらも平太も眉をひそめる。
「そいつがこのあいだ、親分の倅、門左衛門を殺した仇討ちだ」
いわれて、なるほどと平太は内心唸った。又一郎の懸念が、別の形ではあるが実現した形だ。確かに殺人は遺恨を生む、と顔をしかめて認めざるをえない。
「お互い、まかされた用を果たす上での立ち合い、しかもおめえさん方(がた)は頭数が多かった上に女子を質に脅したとまで聞いてるが」
「うるせえ、親分の腹の虫が収まらねえんだよ」
又一郎の指摘に、知ったことかとばかりに怒鳴り声が返ってくる。
このまま、今日の宿泊地である猿橋につくかと思われたがそうはいかない。山裾に限りなく近い場所、人影が絶えたところで剣呑な気配が木立のあいだから躍り出てきたのだ。
前方だけでない、後方にも動きがあったのをかすかな物音で平太、又一郎は察知する。
「おめえは後ろを頼む」「へい」と鋭く声を交わし、それぞれ源太郎丸をはさんで前後に別れた。前に四人、後ろに三人というのが相手の頭数だ。いずれも旅支度の渡世人たちだった。
「てめえら、何者(なにもん)だ。なにか遺恨があったのことかい?」
平太は背中に又一郎がたずねる声を聞く。
「おうよ、そこの若造への意趣返しが眼目でい」「こいつへの?」
相手の声に又一郎が怪訝そうに聞き返した。若造、となれば自分だろう、と思いながらも平太も眉をひそめる。
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「お互い、まかされた用を果たす上での立ち合い、しかもおめえさん方(がた)は頭数が多かった上に女子を質に脅したとまで聞いてるが」
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