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刹那、犬の鳴き声がそこに割って入った。光脩の狭まっていた視界が一気に広くなる。気づけば傍らに犬家康の姿があった。
「ちっ、白けちまった」
犬に吠えられたことに若い番人は鼻白んだようすを見せた。
他方、光脩はというと、犬家康が裾を口でくわえて引っ張るためその場を離れていた。犬家康のおかげで面倒を起こさずに済んだ。犬家康の頼みで動いているとはいえ、
助けられたな――という思いを抱いたのも事実だった。だが、『おまえは阿呆か』と犬家康に呆れ混じりの声をかけられその気持ちは雲散霧消する。
「誰が阿呆だ」光脩は傍らの相手を睨みつけた。
『おまえに決まってるだろうが。あの番人は見たところ人に難癖つけて喧嘩を吹っかける性質(たち)の悪い人間だ』
「それが分かってるなら」
止めるなよ、と光脩は眉根を寄せた。腹のうちで怒りと不満が渦巻く。
『おまえに非がなくとも番人相手に喧嘩をすればどうなるか分からんだろうが』
悔しいが犬家康の言い分は間違っていなかった。
『それ、油を売ってる暇があったら次行くぞ、次』
犬家康にうながされ、光脩は仕方なく視界に入っている他の辻番目がけて歩き出す。それから彼は二十ほどの辻番で奇異の目を向けられることになった。だが、芳しい情報は得られなかった。
「ちっ、白けちまった」
犬に吠えられたことに若い番人は鼻白んだようすを見せた。
他方、光脩はというと、犬家康が裾を口でくわえて引っ張るためその場を離れていた。犬家康のおかげで面倒を起こさずに済んだ。犬家康の頼みで動いているとはいえ、
助けられたな――という思いを抱いたのも事実だった。だが、『おまえは阿呆か』と犬家康に呆れ混じりの声をかけられその気持ちは雲散霧消する。
「誰が阿呆だ」光脩は傍らの相手を睨みつけた。
『おまえに決まってるだろうが。あの番人は見たところ人に難癖つけて喧嘩を吹っかける性質(たち)の悪い人間だ』
「それが分かってるなら」
止めるなよ、と光脩は眉根を寄せた。腹のうちで怒りと不満が渦巻く。
『おまえに非がなくとも番人相手に喧嘩をすればどうなるか分からんだろうが』
悔しいが犬家康の言い分は間違っていなかった。
『それ、油を売ってる暇があったら次行くぞ、次』
犬家康にうながされ、光脩は仕方なく視界に入っている他の辻番目がけて歩き出す。それから彼は二十ほどの辻番で奇異の目を向けられることになった。だが、芳しい情報は得られなかった。
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