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2歳になりまして。
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私が転生してから、2年が経ちました。
今日は、私の誕生日だそうです。
普通なら、盛大にお祝いパーティーをするらしい。
けれど我が家は貴族といえど、それほど裕福ではない上に、お母様が現在臨月を迎えた大事な時期。
最初は両親とも、親しい方たちを招いてパーティーを!と張り切っていたのだが、私が断った。
だって前世ボッチだった私は、今も激しく人見知りなのだ。
裕福じゃないとかお母様が出産間近とかを抜きにしても、知らない人たちに囲まれながらの食事と会話なんて、私にとってはハードルが棒高跳び世界記録のバー並に高すぎるのだ。
絶対に無理だ。できるわけがない。
というわけで。
主役特権をこれでもかと駆使して我侭の限りを尽くし、身内だけのこぢんまりとしたお食事会にしてもらった次第です。
「アイル、誕生日おめでとう」
「アイルちゃん、お誕生日おめでとう」
「おとうしゃま、おかあしゃま、あいがとーごじゃいましゅ」
「お嬢様、お誕生日おめでとうございます」
「使用人一同、心よりお祝い申し上げます」
「「「おめでとうございます、お嬢様」」」
「みんにゃも、あいがとー」
いつもより豪華な夕食を立食形式で囲み、ちょっとおめかしした私たち家族だけではなく、使用人のみんなにも参加してもらっての誕生日会。
お母様と私には席が用意されているが、お父様は私の後ろに立ち、肩に手を置いている。
我が家の使用人は、全部で10人。
執事3人とメイド4人とコック2人、庭師1人。
普段ならそれぞれの仕事があるので同じ部屋に揃うことはないが、今日は私の我侭を叶えるために、みんなが揃ってお祝いの席についてくれている。
こんなに嬉しいことはない。
「みんにゃいしょがしーのに、わがままいっちぇごめーしゃい」
「アイル、こんなことは全く我侭なんかじゃないよ」
「そうよアイルちゃん。みんなも喜んでくれたんだから!」
「お嬢様。直接お祝いを申し上げることができるだけでなく、このようにお食事を共にする許可までいただけて、我々は非常に嬉しく思っております。我侭などとおっしゃらないでください」
両親と、執事長であるカインの言葉に、みんながうんうんと激しく頷き同意を示す。
最初は、主人一家と使用人が同じ席で食事をとることなどありえない!と渋っていたのが嘘のようだ。
でもみんな、私にとっては一緒に暮らす家族だ。
年に1度くらい、家族そろって一緒にお食事したい。
誕生日プレゼントなんていらないから。
お祝いに欲しいものを買ってあげよう、と言ったお父様にそう言ったときは、驚かれた。
でもすぐに、欲のない子だ、と困ったように笑いながら抱き上げられ、何とかしようと約束してくれた。
そして、お父様は約束を守ってくれた。
「それじゃあ、改めて乾杯しましょう!」
「皆様、お飲み物は行き渡っておりますか~?」
「こちらにグラスを2つ、お願いします」
「今夜は無礼講だ。片付けも全て明日でいい。飲める者はワインを飲むといいよ」
「お気遣いありがとうございます、旦那様」
「では私は遠慮なくワインをいただきますぞ」
わいわいと、楽しそうに飲み物を手に取る様子を見ていると、とても満たされた気分になる。
私が前世でほしかったのは、豪華な食事でもプレゼントでもない。
こうして私が産まれたことを喜んで、お祝いしてくれる誰かだった。
だから私にとっては、この温かい誕生日会が何よりのプレゼントなのだ。
「おかあしゃま、あいがと」
「アイルちゃん?」
「きょーはわたしがうまりぇたひだけど、おかあしゃまが、がんばってくりぇたひだから、あいがと」
「あ…アイルちゃーーーん!!!」
「なんていい子なんだアイルっ!!!やはり天使なのかっ!!私たちの娘に生まれてくれて本当にありがとうっ!!」
「ぐえっ」
「旦那様、奥様っ!!お気持ちは痛いほどわかりますが、お嬢様が!!」
「お嬢様ー!」
すぐにいつもより多くの手に助け出された私。
一瞬で髪も服もよれっとしてしまったけど、
ああ、幸せだなぁ。
ここにはいない天帝さん。
あなたにもらったプレゼントは、こんなに私を幸せにしてくれています。
会えたら、嬉しかったお話し、いっぱい聞いてね。
今日は、私の誕生日だそうです。
普通なら、盛大にお祝いパーティーをするらしい。
けれど我が家は貴族といえど、それほど裕福ではない上に、お母様が現在臨月を迎えた大事な時期。
最初は両親とも、親しい方たちを招いてパーティーを!と張り切っていたのだが、私が断った。
だって前世ボッチだった私は、今も激しく人見知りなのだ。
裕福じゃないとかお母様が出産間近とかを抜きにしても、知らない人たちに囲まれながらの食事と会話なんて、私にとってはハードルが棒高跳び世界記録のバー並に高すぎるのだ。
絶対に無理だ。できるわけがない。
というわけで。
主役特権をこれでもかと駆使して我侭の限りを尽くし、身内だけのこぢんまりとしたお食事会にしてもらった次第です。
「アイル、誕生日おめでとう」
「アイルちゃん、お誕生日おめでとう」
「おとうしゃま、おかあしゃま、あいがとーごじゃいましゅ」
「お嬢様、お誕生日おめでとうございます」
「使用人一同、心よりお祝い申し上げます」
「「「おめでとうございます、お嬢様」」」
「みんにゃも、あいがとー」
いつもより豪華な夕食を立食形式で囲み、ちょっとおめかしした私たち家族だけではなく、使用人のみんなにも参加してもらっての誕生日会。
お母様と私には席が用意されているが、お父様は私の後ろに立ち、肩に手を置いている。
我が家の使用人は、全部で10人。
執事3人とメイド4人とコック2人、庭師1人。
普段ならそれぞれの仕事があるので同じ部屋に揃うことはないが、今日は私の我侭を叶えるために、みんなが揃ってお祝いの席についてくれている。
こんなに嬉しいことはない。
「みんにゃいしょがしーのに、わがままいっちぇごめーしゃい」
「アイル、こんなことは全く我侭なんかじゃないよ」
「そうよアイルちゃん。みんなも喜んでくれたんだから!」
「お嬢様。直接お祝いを申し上げることができるだけでなく、このようにお食事を共にする許可までいただけて、我々は非常に嬉しく思っております。我侭などとおっしゃらないでください」
両親と、執事長であるカインの言葉に、みんながうんうんと激しく頷き同意を示す。
最初は、主人一家と使用人が同じ席で食事をとることなどありえない!と渋っていたのが嘘のようだ。
でもみんな、私にとっては一緒に暮らす家族だ。
年に1度くらい、家族そろって一緒にお食事したい。
誕生日プレゼントなんていらないから。
お祝いに欲しいものを買ってあげよう、と言ったお父様にそう言ったときは、驚かれた。
でもすぐに、欲のない子だ、と困ったように笑いながら抱き上げられ、何とかしようと約束してくれた。
そして、お父様は約束を守ってくれた。
「それじゃあ、改めて乾杯しましょう!」
「皆様、お飲み物は行き渡っておりますか~?」
「こちらにグラスを2つ、お願いします」
「今夜は無礼講だ。片付けも全て明日でいい。飲める者はワインを飲むといいよ」
「お気遣いありがとうございます、旦那様」
「では私は遠慮なくワインをいただきますぞ」
わいわいと、楽しそうに飲み物を手に取る様子を見ていると、とても満たされた気分になる。
私が前世でほしかったのは、豪華な食事でもプレゼントでもない。
こうして私が産まれたことを喜んで、お祝いしてくれる誰かだった。
だから私にとっては、この温かい誕生日会が何よりのプレゼントなのだ。
「おかあしゃま、あいがと」
「アイルちゃん?」
「きょーはわたしがうまりぇたひだけど、おかあしゃまが、がんばってくりぇたひだから、あいがと」
「あ…アイルちゃーーーん!!!」
「なんていい子なんだアイルっ!!!やはり天使なのかっ!!私たちの娘に生まれてくれて本当にありがとうっ!!」
「ぐえっ」
「旦那様、奥様っ!!お気持ちは痛いほどわかりますが、お嬢様が!!」
「お嬢様ー!」
すぐにいつもより多くの手に助け出された私。
一瞬で髪も服もよれっとしてしまったけど、
ああ、幸せだなぁ。
ここにはいない天帝さん。
あなたにもらったプレゼントは、こんなに私を幸せにしてくれています。
会えたら、嬉しかったお話し、いっぱい聞いてね。
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