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結論が出ました。

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「……まさか娘をこんなに早く手元から離すことになるとは思っていませんでしたが……。わかりました。アイルを王宮に滞在させましょう。家族には私から説明させていただきます」
「! ありがとう、ウェヌス子爵」
「ただし、時々はアイルを我が家に連れて来ていただきたい」
「約束しよう」


 ディー様は真剣な顔で頷いた。きっと、先程口にした条件を必ず守ってくれる気なのだろう。
 でも私は、…おそらくお父様も、そのままの条件で呑む気はない。


「…ですが殿下。どうかその為にご無理はなさらないようお願い申し上げます。確かに私共は、毎日でもアイルの顔を見たい。ですが、こちらを優先するために他を後に回したり、無理に詰め込むようなことはしないでいただきたい。……アイルは殿下をとても慕っているようですから、アイルに心配をかけるようなことにならないように、御身も大事にして下さい」
「………ありがとう」
「アイル、殿下がご無理をなさるようなら、傍にいるアイルがお止めするんだよ」
「あい、おとうさま。わかりまちた」


 さすがお父様。そう言ってくれると思っていたよ。
 まぁ中身が天帝さんだと知らないお父様にとっては、ディー様は成長は早いものの、自分の娘と同じただの2歳の子供。その子供が睡眠や休息を削ってまでこちらの望みの為に無理をするのは、たとえ条件を守るためとはいえあり得ないということだろう。優しいお父様らしい考えだ。そんなところが、人として尊敬できる。

 少し戸惑ったようなディー様は、頬をほんのり赤くしてお父様にお礼を言う。
 もしかしたらディー様も、こんな風に純粋な愛情や心配をまっすぐ向けられることに慣れてないのかもしれない。照れるよね。2年もすれば慣れるよ。
 大丈夫ですよお父様。私たち家族のためにディー様が無理するようなことがあれば、私が力ずくで止めますとも。任せてください。私たちはディー様が無理してまで頻繁に会わなければ関係が切れてしまう程度の弱い繋がりではないと、お父様が今日私に教えてくれたので、時々会いに行くだけで十分ですよね。



「殿下、…私の可愛い娘を、よろしくお願い致します」
「うん。アイルは僕が幸せにするよ。約束するね」
「………………殿下っ!!そんな……そんな今すぐアイルが嫁に行くような言葉はっ!聞きたく!ありませんっ!!」


 お父様…。折角かっこよかったのに…。
 耳をふさいで泣きながら激しく首を振るお父様には、先程までの愛情深い父の雰囲気が微塵も感じられない。ただの駄々っ子だ。
 そして、嫁にくれとは一言も言われてない。


 困ったお父様に、今度は私が深い溜息を付いた。


 お父様を見て、溜息を付く私を見て。ディー様は心から楽しそうな顔で笑った。



 
 
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