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神様のお導き。
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「僕が言いたいのはね。無理に気持ちを押し殺して、我慢して、僕の望みを叶えようとしなくていいんだよってこと」
「え…」
だって、それは。
それなら、私がこの世界に転生した意味が…
「アイルは前世でもう十分頑張ってきたし、我慢してきた。だからこれからは、その分幸せになるべきだ。今の家族と過ごしてアイルは幸せだったんだよね?それと同じくらい、できればそれ以上に、僕と一緒に居て楽しいと思ってほしいし、幸せだと思ってほしい。君が僕のことを考えてくれるのはとっても嬉しいけど、それでアイルの気持ちを押し殺すようなことはしてほしくない。…僕が守ってあげるって言ったでしょう?僕はアイルの身体だけじゃなく、心も守りたいんだ」
私を抱きしめ、背中と頭を撫でながら、優しく言い聞かせるように耳元で囁かれる。
ディー様の腕の中はとても温かくて、安心する。
…そんなに甘やかさないでほしい。
じゃないと、ずっと見ないふりをしてきた辛さに、気付いてしまいそうになる。
「我儘を言ってもいいんだよ。アイルが僕の願いを叶えたいといってくれるのと同じで、僕もアイルのお願いなら何でも聞いてあげたいんだから。それで僕に頼ってほしいし、甘えてくれたら嬉しいな。僕はずっとアイルと一緒にいたいし離れる気はないから、僕といることでアイルが無理をして疲れてしまうのは悲しいし辛い。アイルの思いも悩みも嬉しいことも悲しいことも、何でも隠さず教えてほしい。もし僕の望みとアイルの望みが一緒に叶えられないものだったら、どうしたら二人とも我慢せずにすむのか一緒に考えよう。…僕は何でも願いを聞いてくれる付き人が欲しくてアイルに一緒に転生してもらったわけじゃないよ」
最後の部分は、少し怒ったように言われた。
私が我儘を言ったことじゃなく、相手は神様で王族だからと私が勝手に付き人だと線引きしたことに怒ったんだって。
優しいトーンで子供に言い聞かせるように諭され、堪えきれずに次々涙が零れる。声を漏らさないようにするので精一杯だ。
私が強く握った部分のディー様の服はシワになってしまうだろうけど、離されないよう必死にしがみつく。
今離されたら、きっと大声で泣きわめいてしまう。
「泣いてもいいんだよ。でもいっぱい泣いたら、その分笑ってほしい。アイルから家族を取り上げたりしないから安心して。…ずっとアイルの家で過ごさせてはあげられないけど、最後のお別れなんて言わなくていいよ。諦めて手を離したりしなくていいよ。僕が何とかしてあげるから」
「…ぅっ……ひぅ…っ…でぃ…しゃまぁぁ……っ」
私は自分の願いを優先しようとしたのに、ディー様はそれでいいと言う。諦めなくていいという。
私にとって家族との別れはつらいものだと、この世界の誰よりも知っているディー様は、自分が何とかするから大丈夫なんだと際限なく甘やかしてくる。
なんて優しい、素敵な神様なんだろう。
私の前世はあまり恵まれてなかったのかもしれないけど、最後の最後で、この神様に救い上げてもらえるという最大の幸運を掴み取ったんだ。
「っあぃ…あぃ、がちょっ……ごじゃ…っ…」
「世界中すべての迷える子羊を導くことはできないけど、目の前にいる大事な女の子を導くくらいのことはできるよ。なんといっても僕は天帝。神様の中で一番偉いんだからね!」
「…ふっ……っふふっ……っ」
ウィンクしながらおどけて見せるディー様は、とっても可愛いのに、とっても頼もしい。
止まらない涙でぐしゃぐしゃな顔で無理やり笑うと、ディー様も微笑んでくれる。
なんだか全て救われたような気持になってしまった私は、記憶にないくらい久々に大きな声で泣いた。
「え…」
だって、それは。
それなら、私がこの世界に転生した意味が…
「アイルは前世でもう十分頑張ってきたし、我慢してきた。だからこれからは、その分幸せになるべきだ。今の家族と過ごしてアイルは幸せだったんだよね?それと同じくらい、できればそれ以上に、僕と一緒に居て楽しいと思ってほしいし、幸せだと思ってほしい。君が僕のことを考えてくれるのはとっても嬉しいけど、それでアイルの気持ちを押し殺すようなことはしてほしくない。…僕が守ってあげるって言ったでしょう?僕はアイルの身体だけじゃなく、心も守りたいんだ」
私を抱きしめ、背中と頭を撫でながら、優しく言い聞かせるように耳元で囁かれる。
ディー様の腕の中はとても温かくて、安心する。
…そんなに甘やかさないでほしい。
じゃないと、ずっと見ないふりをしてきた辛さに、気付いてしまいそうになる。
「我儘を言ってもいいんだよ。アイルが僕の願いを叶えたいといってくれるのと同じで、僕もアイルのお願いなら何でも聞いてあげたいんだから。それで僕に頼ってほしいし、甘えてくれたら嬉しいな。僕はずっとアイルと一緒にいたいし離れる気はないから、僕といることでアイルが無理をして疲れてしまうのは悲しいし辛い。アイルの思いも悩みも嬉しいことも悲しいことも、何でも隠さず教えてほしい。もし僕の望みとアイルの望みが一緒に叶えられないものだったら、どうしたら二人とも我慢せずにすむのか一緒に考えよう。…僕は何でも願いを聞いてくれる付き人が欲しくてアイルに一緒に転生してもらったわけじゃないよ」
最後の部分は、少し怒ったように言われた。
私が我儘を言ったことじゃなく、相手は神様で王族だからと私が勝手に付き人だと線引きしたことに怒ったんだって。
優しいトーンで子供に言い聞かせるように諭され、堪えきれずに次々涙が零れる。声を漏らさないようにするので精一杯だ。
私が強く握った部分のディー様の服はシワになってしまうだろうけど、離されないよう必死にしがみつく。
今離されたら、きっと大声で泣きわめいてしまう。
「泣いてもいいんだよ。でもいっぱい泣いたら、その分笑ってほしい。アイルから家族を取り上げたりしないから安心して。…ずっとアイルの家で過ごさせてはあげられないけど、最後のお別れなんて言わなくていいよ。諦めて手を離したりしなくていいよ。僕が何とかしてあげるから」
「…ぅっ……ひぅ…っ…でぃ…しゃまぁぁ……っ」
私は自分の願いを優先しようとしたのに、ディー様はそれでいいと言う。諦めなくていいという。
私にとって家族との別れはつらいものだと、この世界の誰よりも知っているディー様は、自分が何とかするから大丈夫なんだと際限なく甘やかしてくる。
なんて優しい、素敵な神様なんだろう。
私の前世はあまり恵まれてなかったのかもしれないけど、最後の最後で、この神様に救い上げてもらえるという最大の幸運を掴み取ったんだ。
「っあぃ…あぃ、がちょっ……ごじゃ…っ…」
「世界中すべての迷える子羊を導くことはできないけど、目の前にいる大事な女の子を導くくらいのことはできるよ。なんといっても僕は天帝。神様の中で一番偉いんだからね!」
「…ふっ……っふふっ……っ」
ウィンクしながらおどけて見せるディー様は、とっても可愛いのに、とっても頼もしい。
止まらない涙でぐしゃぐしゃな顔で無理やり笑うと、ディー様も微笑んでくれる。
なんだか全て救われたような気持になってしまった私は、記憶にないくらい久々に大きな声で泣いた。
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