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閑話*陛下視点
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息子が産まれてから1ヵ月程が経ったある日、執務の合間に我が子の様子を見に行けば、ちらりとこちらに視線を向けた後、小さなため息…あれは間違いなくため息だった…をつき、視線を窓に向け、こちらには一切の興味を示さなかった。
…これは本当に、生後1ヶ月の赤子なのだろうか…と、困惑したのを覚えている。
生後三ヶ月。片言ではあるものの、会話ができるようになった。
さらに、昼寝をさせるためにあやそうとする者に対し、「そのようにあやしたりしなくてけっこうだ。いみがない」と言い放ったそうだ。
私も抱き上げようとしたときに、「そのようなちいさなあかごにたいするあつかいはやめていただけませんか」と拒否された。……生後三ヶ月は、小さな赤子ではないのか……と、あまりにも早すぎる独り立ちにちょっと凹んでしまった。
その後も我が子は順調に早すぎる成長を続け、5ヶ月にはもう歩き回ることができるようになり、9ヶ月の頃には魔法を使って空を飛んでいた。……赤子という生物は、空を飛ぶのか……と、ちょっと現実逃避をしてしまった。
そして息子が1歳を少し過ぎた頃。
非常に成長が早く、知能と身体能力が非常に高い。魔法に秀でており、合理的かつ効率的に物事を捉える。しかし何事にも興味を示さず、するべきこと以外は決して自発的に何かをしようという姿勢を見せなかったあの子が、先ぶれもなく一人で急に執務室にやって来た時は非常に驚いた。
その上、「大事な子を迎えに行ってきます」「そのまま暮らしてもらいます」などと言い出したのだ。あまりの驚きに、后共々、目を見開いて呆気に取られてもしょうがないであろう?
あの子は外に出たことがないし、王宮に来る者の中で、『大事な子』という程親しげにしていた者もいないはず。いったいどこの誰をいつの間に見初め、攫って来ようというのか。
問い詰める私にあの子が向けた虫けらを見るような視線の冷たさは、きっと一生忘れない…。
だが貴族の子女⁉平民でもアウトだが、貴族の子女の誘拐など、有り得ん!
幸いにも皇妃の機転で先延ばしにはできたが……あの全てに無関心だった息子が、あれ程の興味を示しているのだ。間違いなく諦めたりはせんだろうと頭を抱えた私を、后は頭を撫でて慰めてくれた。
竜には『番』という唯一が存在する。
あの子は誰よりも竜の血が濃く現れているから、必ず『番』を求めるだろうと予想はしていたが…。一体どこで出会ったのかは不明だが、もしかしたら、あの子はすでに見つけたのかもしれない。
ならばどれ程反対しようとも絶対に諦めることはないだろう。「どうしてもというなら儂の屍を超えて行けぇ!」と言おうものなら躊躇いなく屍にされ、念入りに踏まれる未来しか見えない。あの子は間違いなくやる。
その後もペットを捕獲しに行くと言って消えたかと思えば、伝説の魔獣・フェンリルの仔を連れてくるといった、規格外もここまでくると異常だという様々なことをやらかす。
フェンリルは室内飼いには向かないからと説得してもダメだった。
これまでの大人しさは何だったのだ。変わりすぎだろう息子よ。
1年も共に過ごせば、息子に感じていた恐怖…未知に対する恐れのようなものも薄れていた。
最近この子に対して時々感じるのは、『うちの子こんなアホの子だったっけ…?』という戸惑いだ。
そして時間稼ぎの口実を失い止めることが出来なくなってしまったため、誘拐よりは幾分マシか…と、相手自ら王宮に足を運んでもらうように場を整えた。
未だにオーディンが相手の名を明かさないため候補は絞れたが特定には至らず、ならば茶会でのオーディンの様子を見て判断し、相手とその家族に『王宮にご息女を滞在させていただきたい』と土下座でもするしかないか…と思っていた。
オーディンはアレでも可愛い息子なのだ。
唯一の望みを叶えるためであれば、土下座くらいしようではないか。
…できれば人にあまり見られない場所で。
…これは本当に、生後1ヶ月の赤子なのだろうか…と、困惑したのを覚えている。
生後三ヶ月。片言ではあるものの、会話ができるようになった。
さらに、昼寝をさせるためにあやそうとする者に対し、「そのようにあやしたりしなくてけっこうだ。いみがない」と言い放ったそうだ。
私も抱き上げようとしたときに、「そのようなちいさなあかごにたいするあつかいはやめていただけませんか」と拒否された。……生後三ヶ月は、小さな赤子ではないのか……と、あまりにも早すぎる独り立ちにちょっと凹んでしまった。
その後も我が子は順調に早すぎる成長を続け、5ヶ月にはもう歩き回ることができるようになり、9ヶ月の頃には魔法を使って空を飛んでいた。……赤子という生物は、空を飛ぶのか……と、ちょっと現実逃避をしてしまった。
そして息子が1歳を少し過ぎた頃。
非常に成長が早く、知能と身体能力が非常に高い。魔法に秀でており、合理的かつ効率的に物事を捉える。しかし何事にも興味を示さず、するべきこと以外は決して自発的に何かをしようという姿勢を見せなかったあの子が、先ぶれもなく一人で急に執務室にやって来た時は非常に驚いた。
その上、「大事な子を迎えに行ってきます」「そのまま暮らしてもらいます」などと言い出したのだ。あまりの驚きに、后共々、目を見開いて呆気に取られてもしょうがないであろう?
あの子は外に出たことがないし、王宮に来る者の中で、『大事な子』という程親しげにしていた者もいないはず。いったいどこの誰をいつの間に見初め、攫って来ようというのか。
問い詰める私にあの子が向けた虫けらを見るような視線の冷たさは、きっと一生忘れない…。
だが貴族の子女⁉平民でもアウトだが、貴族の子女の誘拐など、有り得ん!
幸いにも皇妃の機転で先延ばしにはできたが……あの全てに無関心だった息子が、あれ程の興味を示しているのだ。間違いなく諦めたりはせんだろうと頭を抱えた私を、后は頭を撫でて慰めてくれた。
竜には『番』という唯一が存在する。
あの子は誰よりも竜の血が濃く現れているから、必ず『番』を求めるだろうと予想はしていたが…。一体どこで出会ったのかは不明だが、もしかしたら、あの子はすでに見つけたのかもしれない。
ならばどれ程反対しようとも絶対に諦めることはないだろう。「どうしてもというなら儂の屍を超えて行けぇ!」と言おうものなら躊躇いなく屍にされ、念入りに踏まれる未来しか見えない。あの子は間違いなくやる。
その後もペットを捕獲しに行くと言って消えたかと思えば、伝説の魔獣・フェンリルの仔を連れてくるといった、規格外もここまでくると異常だという様々なことをやらかす。
フェンリルは室内飼いには向かないからと説得してもダメだった。
これまでの大人しさは何だったのだ。変わりすぎだろう息子よ。
1年も共に過ごせば、息子に感じていた恐怖…未知に対する恐れのようなものも薄れていた。
最近この子に対して時々感じるのは、『うちの子こんなアホの子だったっけ…?』という戸惑いだ。
そして時間稼ぎの口実を失い止めることが出来なくなってしまったため、誘拐よりは幾分マシか…と、相手自ら王宮に足を運んでもらうように場を整えた。
未だにオーディンが相手の名を明かさないため候補は絞れたが特定には至らず、ならば茶会でのオーディンの様子を見て判断し、相手とその家族に『王宮にご息女を滞在させていただきたい』と土下座でもするしかないか…と思っていた。
オーディンはアレでも可愛い息子なのだ。
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…できれば人にあまり見られない場所で。
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