神様の転生のお供に選ばれまして ~異世界転生したら溺愛されるなんて聞いてません~

ものぽりー

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閑話*陛下視点

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 茶会当日。
 私は執務をこなしながらもソワソワしていた。
 同じ執務室に控え同じく報告を待つ皇妃は、優雅に紅茶を楽しむ余裕がある。

「陛下。そんなにソワソワしても意味ありませんわ。どっしりと構えてお待ちなさいませ」
「しかしな…問答無用で会場から拉致して部屋に監禁などということになったら…」
「あの子の部屋には茶会の間、マーサが控えているよう指示してありますわ」
「用意周到だが、やはりセレンも拉致しかねんと思っておったのだな…」
「当前です」

 そんな会話をしていると、外から入室を求める声がした。

「陛下」
「ドラムか。茶会の様子はどうだ?あの子のいう『大事な子』は見当がついたか?」

 ドラムには初めて『迎えに行く』とオーディンが宣言してからすぐに説明をしていた。おそらくは『番』であろうということも。その後の奇行についても。
 さすがに皇帝である私や皇妃である妻が子供ばかりの茶会に顔を出すわけにもいかないため、ドラムに様子を見てきてもらうよう頼んであったのだ。その報告だろう。


「殿下は開始時間に会場に姿を見せた直後、踵を返して出ていかれました。後を追った護衛も撒かれました」
「………は?」


 『大事な子』は?


「その報告を受け兵達に城内の捜索を指示しておりましたら、少女の手を引いて歩く笑顔の殿下と遭遇いたしました」
「「…………は⁉」」

 笑顔⁉
 あの子が⁉
 あの子に表情筋が存在していたというのかっ⁉


「少女はアイル・ウェヌスと名乗りました。ウェヌス子爵家の長女です。2歳の少女らしい、こう言っては何ですが『普通』の少女でした」
「子爵家……なるほど、一応貴族、か。婚約者とするには確かに身分のつり合いが取れんな…」
「ですがそれを殿下に言った途端、言い切る前に物理的に首が飛びますよ。ぽーんと」
「………言い切る前に、ぽーん、なのか…?」
「下手をすれば、言おうとした瞬間にぽーんかもしれません」
「まだ口にしてないのにぽーんなのか⁉」

 宰相は無表情で淡々と報告しているが、そんなに軽々しく首をポンポン刎ねないでほしい。想像でも怖い。やりかねないからこわい!

「私がウェヌス子爵の元に連れて行こうと少し近づいただけで殺気が飛んできました。差し出した手はアイル嬢から1m弱の距離があったにもかかわらず切り落とされるところでしたよ」
「うちの子怖すぎんか⁉」
「アイル嬢は身繕いをする必要もあったので、そのまま殿下が私室へ連れて行きました」
「監禁かっ⁉」

 やはりなのか!!

「アイル嬢が殿下とともに会場に向かうことを約束してくれましたので大丈夫かと」
「そうか…」

 つい監禁疑惑で椅子から立ち上がってしまったが、安心で力が抜け、どさっと腰を下ろす。
 黙って聞いていた后も、少々ホッとした様子だ。

「しかし、既にそれほどの執着か…」
「間違いなく彼女が殿下の番でしょうな」
「わたくしは、あの子の笑顔など見たことがありません。あの子には全く人間味がありませんでした。感情が動くようになったのはいい傾向なのではないですか?少々…いえ多大な危険は伴いますが」
「うむ。その少女が傍若無人で国を傾けるような我侭や理不尽を言うような子ではなければ良いのだが…」
「そこは問題ないかと」
「ドラム様がそうおっしゃるのなら大丈夫でしょう。陛下、何としてでもそのアイル嬢を逃さないようにしなくては」
「そうだな。茶会が終わり次第、別室にウェヌス子爵とアイル嬢を招き、土下座で頼みこもう」
「うんと言われるまで頭は決して上げてはなりませんよ」
「もちろんだ。任せてくれ。絶対に頷かせて見せる!」
「その意気ですわ」


 方針が決まり決意とともにウェルス子爵がいる部屋まで出向いた私だったが、廊下で出くわしたオーディンに「必要ありません」と冷ややかに追い返されることになる。


 さらにいくらアイル嬢に会わせるように言っても「いやです」の一言で拒否され続け、2週間も姿を見ることすらできないとは思わなかった。






*陛下視点終わり。大人から見たオーディン様でした。ただの危険物。
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