神様の転生のお供に選ばれまして ~異世界転生したら溺愛されるなんて聞いてません~

ものぽりー

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私が忘れていたこと。

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 私が忘れていたことが何か、判明しました。

 それは、起床後に私の部屋を訪れたマーサさんの一言がきっかけです。


「アイル様。両陛下より、ぜひ一度、ご挨拶を兼ねて私的なお茶会にご参加いただきたいとご伝言をお預かりしておりますが、いかがいたしましょう」
「おぅふ」
「ちっ」


 滞在させてもらっているお家おうきゅうの主に、挨拶どころか顔見せすらしていないという大失態です。





「どうしましょうか…きっとわたしのぶさほうに、おいかりでしゅよね…」

 『アイルがわざわざ貴重な時間を割いて会う必要など皆無だよ』と真顔で言うディー様を一先ず部屋から追い出し、マーサさんに着替えを手伝ってもらいながら、鏡の中の顔を真っ青にさせた自分に問いかける。それとディー様よ、『貴重な時間を割いてお会いいただく』立場なのは私です。
 国の一番のお偉い様を蔑ろにするとか、その場で服毒を要求される案件なんじゃない?

 しかしマーサさんは、手早く髪を結い上げながらも私を安心させようと笑いかけてくれる。


「ご心配いりませんよ、アイル様」
「まーささま…」
「アイル様がお茶会で王宮を訪れた日から、両陛下はずっと殿下に『アイル嬢に会わせろ』と仰っていました。しかし殿下は冷やかな目で一瞥するだけで一切取り合わず、その上、アイル様が城内を移動される際も絶対に両陛下や宰相閣下含め必要最低限の者以外と遭遇することのない時間帯や廊下のみを選び抜き、目隠しの魔法まで使って徹底的にアイル様を隠していたのですよ」
「え」

 初耳なんですが。
 私そんな要人警護みたいなことされてたの?絶対警護対象間違ってるでしょ。私ごときに無駄に高いスキル使いすぎでしょ。
 

「このままでは一生アイル様を目にすることも叶わないと考えた両陛下が、殿下を通さず、分別のあるアイル様に直接お声がけすればご了承いただけるのではと一縷の望みを掛け、わたくしにご伝言を託されたのです」
「いちりゅというほど、のぞみなしだったんでしゅか?」
「目に見えない大きさの塵ほどもございませんでした」


 どんだけ。



「まだ、まなーがあやしいんでしゅが、だいじょーぶでしょうか…」
「アイル様はまだ2歳でいらっしゃいますし、マナーを習い始めたばかりであることは把握されておりますから。両陛下ともそこまで厳しいことを言う方々ではありませんので、安心していただいて大丈夫ですよ」
「へいかにえっけんできゆようなどれしゅ、もってないんでしゅけど…」
「心配いりませんわ。殿下が山ほど用意されています」
「でぃーさま…おちゃかいことわってたくしぇに、なぜやまほどよういしてるんでしゅか…」
「殿下の深すぎるお考えは、わたくしには思いもつきませんわ」

 一周巡ってただの考えなしだもんね、きっと。


「まーささま、ありがたくおうけいたしましゅと、おちゅたえくだしゃい」
「承知いたしました。陛下方も大変お喜びになりますわ」
「でぃーさまはふさんかで、」
「それは間違いなく不可能ですわね。きっと城を更地にしてでもお茶会会場を探し出しますでしょう」

 城跡地に、ティーセットがのったテーブルと、椅子に座る私達だけ残されるって?
 そんな終末の予定は勘弁だ。

 私は深い溜息をついて項垂れた。





*閑話ばっかり書き過ぎて、アイル視点に壮絶な違和感…
 
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