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証明とは、かくも難しいものであったか。

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「アイルは元々光属性が群を抜いて強いんだ。無意識に回復魔法だけ使えるようになったのは、痛みを何とかしてあげたいというアイルの優しさが影響してるのかもね」
「わたし、まりょくのちゅかいかた、まだよくわかってないでしゅ。しょれでもつかえるんでしゅか?」
「考えるな、感じろ、ってやつだね」


 本能でゴリ押ししてたんだ…。
 

「なんと、アイル嬢は光属性持ちだったのか…」
「意識せずにこれ程の回復魔法を使えるとなると、素晴らしい素質ですわね」
「これは神殿に連絡して光魔法についてしっかり学んでもらった方が良いの「アイルには僕が教えるので余計な口出しはしないで下さい」


 私の頬をツンツンすりすりしていて陛下たちの話は全く届いてない風だったのに、実は聞いてたらしい。
 直前までニコニコ笑顔だったのに、一瞬にして無になった。こわい。


「しかしな、光属性の指導をするには、やはり同じ光属性の使い手の方がいいだろう?」
「僕も光魔法が使えるので問題ないです」
「な、なん、だと……お、おまえ、が、光魔法……だと……っ⁉」


 本日一番のざわつきだった。


 ディー様が光魔法を使えるという事実に陛下は膝をついて愕然としているし、后妃様も目を見開いて手から扇子を落として驚愕の表情で固まっているし、使用人の誰かからは「まさか、殿下だぞ…?殿下が、光魔法……なにかの間違いでは……」という呟きが聞こえてきた。


 ディー様。あなた今までの2年間でどんな人生送ってきたら周囲全員が打ち合わせなくこんな反応になるのよ。



「お、オーディンよ……光魔法だぞ……?闇魔法ではないのだぞ……?」
「わかってますよ、父上」
「そんな……この子が、…人を回復……?そん、そんなことが……できる、の……?」
「何が言いたいんですか、母上」
「で、殿下、『指を怪我したなら腕ごと消せばいいじゃない』という対処法は、光魔法ではなく闇魔法の分野ですが…?」
「当たり前でしょ、魔法副師団長」



 何と魔法副師団長まで紛れ込んでた。
 そして今の質問から、ディー様がどう思われているのかが良く分かった。
 私はディー様が神様だって知ってるから使えない魔法があるって言われた方が驚くけど、他の人たちはその事実を知らないから、今まで自分が見てきたディー様の印象が全てだ。
 確かに闇魔法得意そうだし、清らかな光属性のイメージがあるかって聞かれると、首傾げちゃうかもね。
 それにしたってイメージが魔に傾きすぎな気もするけど。光の可能性ゼロか。

 
「でぃーさま。かいふくまほう、ちゅかってみたらどうでしゅか?それみたら、みんななっとくできるんじゃないでしゅかね?」
「アイルがそう言うなら。じゃあまずは怪我人を用意しないとだけど……そこの君、ちょっと腕を片方切り落としてみてくれるかな?」
「ひっ!き、切り落とすで、ありますか…⁉」
「小さい傷程度じゃ、全員に見えないだろう?大丈夫、ちゃんと生えるはずだし、ダメでももう1本残ってる」
「でぃーさま。やっぱりじちゅえんはやめときましょう」


 傷が治っても、トラウマが残るわ。


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