69 / 73
(他人の)家族紹介です。
しおりを挟む
かれこれ7年が経ちました。
相変わらず王宮に居候させてもらっています。アイル・ウェヌス9歳です。
急に飛び過ぎだって?いろいろあったけど、あり過ぎて細かく語るのは無理だったよ。
この7年の間にディー様に新しく2人の家族が加わったので、今日はそのお話をしたいと思います。
まず、ディー様の下に、弟と妹が産まれた。
ディー様が2歳の時に第2皇子殿下のエイデン様が、3歳の時に皇女殿下のシャーロット様が誕生し、ディー様は3兄弟の長男になった。
が、血の繋がった可愛い兄弟よりも何故か私にべったりなのは今も変わらず。それでもだいぶん別行動を許してもらえるようにはなった。頑張った。
エイデン様はディー様が苦手なようで、5歳頃まではディー様を見かけると人や柱の影にすぐに隠れていた。
原因はおそらく私。
あれはエイデン殿下が2歳半の頃。ディー様が両陛下と共に公務をしている間、私は庭園でモロと一緒にお気に入りの薔薇の花の手入れをしていたのだが、驚かせようとしたのか、後ろからやってきた殿下が私のことを勢いよくホールドしたのだ。
その時の私は少し高いところの花に手が届くように台に乗っていて、身長差と台の高さの分、殿下が抱き着いたのは私の膝あたりだった。後ろから急に両膝をホールドされた私はそのまま顔から突っ込むように薔薇に向かって倒れこみ、大怪我はしなかったものの、薔薇の棘で顔や手などに多数の擦り傷や切り傷を負った。モロが風魔法で勢いを減らしてくれた上に、落下地点でクッションになってくれたから軽傷だったんだと思う。もふっとしていて、まるで雲に飛び乗ったような幸せな瞬間だった。
だけど同時に、私が落ちた瞬間のエイデン殿下の護衛の方々の声なき悲鳴は見なくてもビリビリと伝わってきた。私は護衛対象じゃないのでそんなに気にしなくても…と思ったけど、そういえば私、一応王宮で預かってもらってる貴族令嬢だったわ。傷モノにしたら大変だったね。
エイデン殿下は予想外の出来事にひどく驚いていたので、絶対に態とではなかった。
が、私を害されたと判断したモロが断食後のグリズリーみたいな凶暴な顔で殿下を威嚇。その迫力に怯えた殿下が尻もちをついて後退りするのを追撃しようとするので必死に宥めていると、呼んでいないのに私の前に急にディー様が現れた。
ディー様は珍しく真顔・無言で私の傷を上から下までざっと眺めて確認し、すぐに回復魔法で治してくれた。(ちなみに7年も経つとさすがにディー様も力加減というものを覚えてくれ、目潰しによる被害は基本なくなった)
私としてはそれで充分だったのだ。小さな子供のやったことだし、傷も治ったんだし。薔薇はぐちゃぐちゃなので、あとでエイデン殿下と一緒に庭師さんに謝りにいかないとなー、程度だった。
が、何故かディー様はガチ切れ。あんなに怒ったディー様を見たのは初めてだった。瞳孔開ききってた。しばらく夢に見たよ。モロも尻尾を巻き込んで私にくっつき震えてたくらいの大迫力。R-18G指定どころか、R-100G指定レベル。顔整いすぎてるから余計に怒った顔怖いんだよね。
そんなディー様に正面から詰め寄られ、胸倉掴まれて視線が合う高さまで持ち上げられ、真顔で静かに「………死ぬ?」と囁かれたエイデン殿下は、あまりの恐怖に失禁し気を失った。その後ろでディー様の顔を見てしまった護衛達も気を失った。あなた達は己の職務を全うしてー⁉
私がすぐにディー様からエイデン殿下を奪い取り『めっ!』と叱ると、ディー様はすごく不服そうだったが兄弟を手にかけるのだけは思いとどまってくれた。ただ、それからしばらくの間は、エイデン殿下を見かけると瞳孔が開き、問いかける様に声無く首をゆったり傾げるので、エイデン殿下は完全にディー様がトラウマになってしまった。あと、モロもエイデン殿下を見かけるたびに歯を剝き出しにして唸るようになってしまったので、動物も苦手になってしまったようだった。
私が薔薇に突っ込んだりしなければ……ごめんね殿下……。
あの後も私に対しては時々遊んでほしそうにじっとこちらを窺がっていた。
でも最近は目が合うとすぐにプイっと顔を背けて走って行ってしまうので、嫌われたんだろうなぁ。それを見てディー様は非常に満足そうにしてるけど。鬼か。
7歳になった現在は、トラウマの居ないところではちょっと自尊心高めな生意気盛り我儘放題で手を焼いているという話は聞いているが、ディー様が視界に入ると途端に挙動不審になり目が合うと硬直してしまう。私はこの反応のエイデン殿下しか見かけないので、強く生きろ…と密かにエールを送り続けている。エールがエイデン殿下に届いたことは一度もないけど、なぜか必ずディー様に届いて拗ねられる。なんでだ。
相変わらず王宮に居候させてもらっています。アイル・ウェヌス9歳です。
急に飛び過ぎだって?いろいろあったけど、あり過ぎて細かく語るのは無理だったよ。
この7年の間にディー様に新しく2人の家族が加わったので、今日はそのお話をしたいと思います。
まず、ディー様の下に、弟と妹が産まれた。
ディー様が2歳の時に第2皇子殿下のエイデン様が、3歳の時に皇女殿下のシャーロット様が誕生し、ディー様は3兄弟の長男になった。
が、血の繋がった可愛い兄弟よりも何故か私にべったりなのは今も変わらず。それでもだいぶん別行動を許してもらえるようにはなった。頑張った。
エイデン様はディー様が苦手なようで、5歳頃まではディー様を見かけると人や柱の影にすぐに隠れていた。
原因はおそらく私。
あれはエイデン殿下が2歳半の頃。ディー様が両陛下と共に公務をしている間、私は庭園でモロと一緒にお気に入りの薔薇の花の手入れをしていたのだが、驚かせようとしたのか、後ろからやってきた殿下が私のことを勢いよくホールドしたのだ。
その時の私は少し高いところの花に手が届くように台に乗っていて、身長差と台の高さの分、殿下が抱き着いたのは私の膝あたりだった。後ろから急に両膝をホールドされた私はそのまま顔から突っ込むように薔薇に向かって倒れこみ、大怪我はしなかったものの、薔薇の棘で顔や手などに多数の擦り傷や切り傷を負った。モロが風魔法で勢いを減らしてくれた上に、落下地点でクッションになってくれたから軽傷だったんだと思う。もふっとしていて、まるで雲に飛び乗ったような幸せな瞬間だった。
だけど同時に、私が落ちた瞬間のエイデン殿下の護衛の方々の声なき悲鳴は見なくてもビリビリと伝わってきた。私は護衛対象じゃないのでそんなに気にしなくても…と思ったけど、そういえば私、一応王宮で預かってもらってる貴族令嬢だったわ。傷モノにしたら大変だったね。
エイデン殿下は予想外の出来事にひどく驚いていたので、絶対に態とではなかった。
が、私を害されたと判断したモロが断食後のグリズリーみたいな凶暴な顔で殿下を威嚇。その迫力に怯えた殿下が尻もちをついて後退りするのを追撃しようとするので必死に宥めていると、呼んでいないのに私の前に急にディー様が現れた。
ディー様は珍しく真顔・無言で私の傷を上から下までざっと眺めて確認し、すぐに回復魔法で治してくれた。(ちなみに7年も経つとさすがにディー様も力加減というものを覚えてくれ、目潰しによる被害は基本なくなった)
私としてはそれで充分だったのだ。小さな子供のやったことだし、傷も治ったんだし。薔薇はぐちゃぐちゃなので、あとでエイデン殿下と一緒に庭師さんに謝りにいかないとなー、程度だった。
が、何故かディー様はガチ切れ。あんなに怒ったディー様を見たのは初めてだった。瞳孔開ききってた。しばらく夢に見たよ。モロも尻尾を巻き込んで私にくっつき震えてたくらいの大迫力。R-18G指定どころか、R-100G指定レベル。顔整いすぎてるから余計に怒った顔怖いんだよね。
そんなディー様に正面から詰め寄られ、胸倉掴まれて視線が合う高さまで持ち上げられ、真顔で静かに「………死ぬ?」と囁かれたエイデン殿下は、あまりの恐怖に失禁し気を失った。その後ろでディー様の顔を見てしまった護衛達も気を失った。あなた達は己の職務を全うしてー⁉
私がすぐにディー様からエイデン殿下を奪い取り『めっ!』と叱ると、ディー様はすごく不服そうだったが兄弟を手にかけるのだけは思いとどまってくれた。ただ、それからしばらくの間は、エイデン殿下を見かけると瞳孔が開き、問いかける様に声無く首をゆったり傾げるので、エイデン殿下は完全にディー様がトラウマになってしまった。あと、モロもエイデン殿下を見かけるたびに歯を剝き出しにして唸るようになってしまったので、動物も苦手になってしまったようだった。
私が薔薇に突っ込んだりしなければ……ごめんね殿下……。
あの後も私に対しては時々遊んでほしそうにじっとこちらを窺がっていた。
でも最近は目が合うとすぐにプイっと顔を背けて走って行ってしまうので、嫌われたんだろうなぁ。それを見てディー様は非常に満足そうにしてるけど。鬼か。
7歳になった現在は、トラウマの居ないところではちょっと自尊心高めな生意気盛り我儘放題で手を焼いているという話は聞いているが、ディー様が視界に入ると途端に挙動不審になり目が合うと硬直してしまう。私はこの反応のエイデン殿下しか見かけないので、強く生きろ…と密かにエールを送り続けている。エールがエイデン殿下に届いたことは一度もないけど、なぜか必ずディー様に届いて拗ねられる。なんでだ。
1
あなたにおすすめの小説
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる