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47話 絶対に紅くなんてなってないんだけどなぁ!!
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ルアさんからアドバイスを頂いたころには、空が暗がりに近づいていき、じきに真っ暗になりそうな頃合いでした。
ルアさんと公園の入り口まで移動すると、ルアさんが大きな声で「エレナ、もう帰るわ!」と言いますと、近くからぞろぞろ現れたメイドを筆頭にした複数名の男性。
おそらくこちらの方々は、ルアさんの護衛で間違いないのでしょう。
メイドの一人がベルを鳴らすと、少し遠いところから馬の足音が聞こえます。
ルアさんの目の前に一台の豪華な馬車がやってきます。ルアさんは私の方に向き直りました。
「マリーちゃん、頑張りなさいな」
そう言ったルアさんは、お呼びしたメイドや護衛たちと一緒に、馬車に乗り込みました。数名の護衛は馬に跨り、馬車を囲みます。
厳重すぎるのか。あれでも手薄なのか。ルアさんは次元が違いすぎて、田舎出身伯爵令嬢の私にはもうわかりません。
しかし、あの護衛の方々は、ずっとルアさんの後ろにいらしたのでしょう。
それはつまり、私とギルをつけていたリアとルアさんの更にその後ろにこの仰々しい行列ができていて…………考えるのはやめましょう。
本日のデートを護衛の方々にまで見られていたとか考えたくありません。
「話は終わったのか?」
不意に聞こえた声で振り返ると、そこにはギルがいて、私は驚いて一歩後ろに下がってしまいました。
また、いつものようにギルが私の身体に手をまわし、そっと身体を引き寄せる。
「お前が慣れるまでやってもいいんだぞ?」
「そ、そういうのは事前に教えてくださった方が……嬉しいです。…………やっぱり言わなくても良いです」
「どっちだ」
私とギルのやり取りを見ていたルアさんが、軽く手を振り始めたところで私達は頭を下げてお見送りしました。
馬車の音が聞こえなくなったところで、頭をあげると、何故かお互い最初に相手の方に顔を向けてしまい、そこで私は、笑みがこぼれてしまいました。
「嬉しそうだな」
「ええ、それはもう」
気がつけば空のオレンジは消えてゆき、黒い世界が広がります。ただ、その黒はただ黒いのではなく、一面を星々が支配してしまいました。
公園にまともな照明がなく、月明かりだけが頼りとなりましたが、今日は雲もなく、近くであれば十分視界を確保できました。
それでも数歩先は闇と言っても過言ではないくらいには真っ暗です。だから、今ならルアさんのアドバイスを実践できる気がします。
「暗くなってきたな。帰ろうか」
まだ駄目。
「待ってください! まだギルにプレゼントを!」
「いや、十分だ。次、またデートしてくれるだろうか?」
それはします。けどそれをプレゼントにしたくない。
「します。けれど、今日もプレゼントがあります。私、怖がりで恥ずかしがり屋で行動に移すのが遅くてダメダメだから、こういう暗がりに頼ってしまいますけど…………」
そう言って私は、薄暗い世界で、彼の肩に手をまわし、私にできる力いっぱいで引っ張って、ギルの視界を完全に独占する距離まで近づいて、それから…………もう考えることができません。どうしてくれるというのでしょうか。
暗闇は怖い。けれど、それ以上に、他の誰かの視線を感じないこんな世界が、私の背中を押してくれた。
私の視界にギル以外が映るようになってから、ギルの顔をよく見ると、まだ驚いているままのようです。
「プッ、プップレ! プレジェントでう!」
「いっ……言えてないぞ?」
初めて彼が言いよどむ。それは、彼が照れた証拠だと確信し、私の体温は余計に上昇し始めました。
お互い真っ暗で、よく見えていない。そういうことにしておきましょう。私の顔もきっと、ギルと同じくらい紅いはず。
ルアさんと公園の入り口まで移動すると、ルアさんが大きな声で「エレナ、もう帰るわ!」と言いますと、近くからぞろぞろ現れたメイドを筆頭にした複数名の男性。
おそらくこちらの方々は、ルアさんの護衛で間違いないのでしょう。
メイドの一人がベルを鳴らすと、少し遠いところから馬の足音が聞こえます。
ルアさんの目の前に一台の豪華な馬車がやってきます。ルアさんは私の方に向き直りました。
「マリーちゃん、頑張りなさいな」
そう言ったルアさんは、お呼びしたメイドや護衛たちと一緒に、馬車に乗り込みました。数名の護衛は馬に跨り、馬車を囲みます。
厳重すぎるのか。あれでも手薄なのか。ルアさんは次元が違いすぎて、田舎出身伯爵令嬢の私にはもうわかりません。
しかし、あの護衛の方々は、ずっとルアさんの後ろにいらしたのでしょう。
それはつまり、私とギルをつけていたリアとルアさんの更にその後ろにこの仰々しい行列ができていて…………考えるのはやめましょう。
本日のデートを護衛の方々にまで見られていたとか考えたくありません。
「話は終わったのか?」
不意に聞こえた声で振り返ると、そこにはギルがいて、私は驚いて一歩後ろに下がってしまいました。
また、いつものようにギルが私の身体に手をまわし、そっと身体を引き寄せる。
「お前が慣れるまでやってもいいんだぞ?」
「そ、そういうのは事前に教えてくださった方が……嬉しいです。…………やっぱり言わなくても良いです」
「どっちだ」
私とギルのやり取りを見ていたルアさんが、軽く手を振り始めたところで私達は頭を下げてお見送りしました。
馬車の音が聞こえなくなったところで、頭をあげると、何故かお互い最初に相手の方に顔を向けてしまい、そこで私は、笑みがこぼれてしまいました。
「嬉しそうだな」
「ええ、それはもう」
気がつけば空のオレンジは消えてゆき、黒い世界が広がります。ただ、その黒はただ黒いのではなく、一面を星々が支配してしまいました。
公園にまともな照明がなく、月明かりだけが頼りとなりましたが、今日は雲もなく、近くであれば十分視界を確保できました。
それでも数歩先は闇と言っても過言ではないくらいには真っ暗です。だから、今ならルアさんのアドバイスを実践できる気がします。
「暗くなってきたな。帰ろうか」
まだ駄目。
「待ってください! まだギルにプレゼントを!」
「いや、十分だ。次、またデートしてくれるだろうか?」
それはします。けどそれをプレゼントにしたくない。
「します。けれど、今日もプレゼントがあります。私、怖がりで恥ずかしがり屋で行動に移すのが遅くてダメダメだから、こういう暗がりに頼ってしまいますけど…………」
そう言って私は、薄暗い世界で、彼の肩に手をまわし、私にできる力いっぱいで引っ張って、ギルの視界を完全に独占する距離まで近づいて、それから…………もう考えることができません。どうしてくれるというのでしょうか。
暗闇は怖い。けれど、それ以上に、他の誰かの視線を感じないこんな世界が、私の背中を押してくれた。
私の視界にギル以外が映るようになってから、ギルの顔をよく見ると、まだ驚いているままのようです。
「プッ、プップレ! プレジェントでう!」
「いっ……言えてないぞ?」
初めて彼が言いよどむ。それは、彼が照れた証拠だと確信し、私の体温は余計に上昇し始めました。
お互い真っ暗で、よく見えていない。そういうことにしておきましょう。私の顔もきっと、ギルと同じくらい紅いはず。
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