怖がり伯爵令嬢は逃げも隠れもしますので構わないでください!

大鳳葵生

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66話 罰を受けるなら優しいものがいいんだけどなぁ

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 コースフェルト領ハルシフィア村。私達は今、その村の広場にいます。今朝起きてから黙って私の傍から離れないギル。なんだかとっても怒っているように感じます。

 数名の騎士が三名の男たちを取り囲んでいます。ルアさんやエミリア様までいらっしゃいます。

 確か私達を捕まえた人たちは五人組。まだ捕まってない人がいますね。私は近くにいたルアさんにそのことを伝えようとします。

「実は森にはまだ二人ほど残っていまして」

「知っているわ。馬車に残っていた二人でしょ? その二人から貴方たちが森に逃げ出した話を聞いたのだもの」

 つまり、その二人を捕らえ、更に私達に追いついたということなんですね。

「その二人にはアジトを案内してもらっているの。ここはいませんが、数名の方々が乗り込んで行ったわ」

 こうして捕らえられた三人を連れて王都まで戻ることになりました。私はギルと二人で馬車に乗せて貰っています。本当はリアも一緒だったのですが、怪我をしていて護る対象が多いと邪魔になるわとルアさんに言われ、別の馬車に乗っています。

「マリー」

「なっなんでしょうか?」

 今朝から黙っていたギルが最初に声を出したのは私の名前。しかし、何やら怒気を感じ、私は背筋が伸びました。

「どうして俺が怒っているかわかるな?」

「はい」

「わかっていないな?」

 そんなことはありません。逆の立場でしたら私も怒っています。ですが、もし逆の立場でしたらギルだって自分の身の安全を軽視した行動を取ると思うんです。

 だから私たちはきっとこれからも、お互いを案じるから、怒って怒られるんだと思います。

「もういいじゃないですか。どんなに注意されても、私はきっとまた同じことをします。なのでギルからの罰も受けます。それで許してください」

 今後、きっと私たちは似たようなことで言い合いになります。だって私、自分より他人を優先してしまうんですから。なのでその度にギルから罰を受ける。

 優しいギルからの罰なら耐えられます。多分。もちろん、反省もちゃんとしますよ?

「…………そうだな、罰は決めたが後で話そう。お前の親御さんにも納得してもらう必要がある」

「は、はあ? わかりました?」

 私への罰にお父さんとお母さんの納得は必要というのは、どういうことなのでしょうか。いまいちよくわかりませんが、ギルがそういういうのなら必要なのでしょう。

 一度馬車が停まり、昼食の為、野営料理が始まります。ルアさんは座って待っていますが、それ以外の方々がせっせと準備を始めました。

 リアも手伝いたそうでしたが、ルアさんが退屈だから話し相手になりなさいと言われ、連れていかれます。

 足の怪我もありますので、ゆっくり休んでくださいねリア。

 もちろん私も手伝いますが、料理なんてほとんど未経験。見よう見まねでなんとかついていっています。

 ギルはてきぱきとやっていてちょっとびっくりしました。どうやら学校で野営料理などの講習を受けたことがあるそうです。

 男性の場合は、騎士になる方々もいらっしゃいますので、割と多くの方々が受けているとお聞きします。

 それよりもエミリア様も料理できるのですね。公爵夫人って野営料理できないとダメなのでしょうか。

「マリー、刃物を扱っている時によそ見をするな」

「ひえごめんなさい」

「危なっかしい奴だな。お前も疲れているんだし休んでいていいんだぞ?」

 優しい。確かに私とリアは夜の森を隠れながら逃げ回っていました。当然、その疲れも癒えていません。ですが、私達を追ってきたギルたちも疲れているはずです。

「ギルが私に少しでも休んで欲しいと思っているのかもしれませんが、私はギルたちに感謝しています。なのでこれくらい手伝わせてください」

「わかった。怪我したら罰を追加するからな?」

 怪我したら罰を追加。…………どんな罰なんでしょうか。ちょっと気になります。でも、罰せられるより、その時間の分甘えたいので怪我しないようにしましょう。

 最終的に出来上がった野営料理は、とにかく味が薄くおなかに詰めることだけが目的のご飯でした。

 これを公妃様に出せと?

 何故かその大役に私が任命され、私はそのぶつ切りの肉と野菜のスープにほんの少しの塩をまぶした野営料理をルアさんにお出ししました。

 しかし、ルアさんはそれを何一つ文句言わずに口にしています。

「何よ?」

「お味は問題なかったのでしょうか?」

「私、こういう料理は慣れているのよ」

 そんな、私ですら食べたことないような味の薄さでしたのに慣れている?
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