78 / 80
68話 そして私が受ける罰
しおりを挟む
今、私とギルはなぜかコースフェルト家のお屋敷に到着しました。
「あの? あの?」
「お前が罰してくださいって言ったのだろう? そのために必要な準備だ」
何の準備が必要で我が家に来たというのでしょうか。いえ、全く想像つきません。
ギルと並んで私の部屋まで向かいます。サロンや応接室でも良かったのですが、ギルが私の部屋が良いと言ってききませんでしたのでこちらにしました。
「見て面白いものなんてありませんよ?」
「構わないさ。見ていて飽きない奴ならもう隣にいるからな」
私は思いっきりギルのことをポカポカ叩きますが、ギルはそんな私を見て頭を撫でてきました。
撫でておけば私の機嫌が直ると思っていますね。気に入りませんのでもう少し撫でさせて腕が疲れてしまえばいい。
「それで罰の件だが、君の両親に納得してもらおう必要があるんだ」
「私に何をさせる気ですか?」
両親の納得が必要って意味がわかりません。皆目見当もつきません。
しばらくして両親が帰ってきたことを使用人の一人からお聞きしました。
ギルが立ち上がり、私もついていきます。エントランスに向かい両親に挨拶をしてギルが二人に話がありますと声をかけると、四人で応接室に向かうことになりました。
父母が並び、その向かいにギルと私が座ります。
「それでギルベルト君、私達に話があるということはマリーに関する話かね?」
「はい、コースフェルト伯爵。実は今回の件で自分を犠牲にしてまで使用人を優先する行為に対し、人として立派であると同時に、使用人の役割を無視した行いについて。彼女は叱られたところで次も同じことをする自信
がありますので罰してください。と申し付けられました」
「ほう。……ほう?」
「あ、お父さん。本当のことです」
はじめは納得した父も、え? 本当に? と言いたそうにこちらに視線を向けましたので私が返事をします。
「まあ、その話が本当なことは分かった。それで罰の件で私達に話があるということはどういうことかな?」
やっと本題。私も罰の内容がわからないので今からドキドキしています。両親に話す必要があることというのが未だにピンときませんが、きっと必要な事なのでしょう。
「お嬢さんには学園を退学して貰います」
「何?」「え?」「あらあら?」
「それはどういうことだいギルベルト君」
温厚な父が少しだけ怒っているような、そんな感じ。私とギルが高等部で定期的にお会いしていることは両親も存じています。
退学と言うことは、もう逢わないという意味なのでしょうか。
「すみません。誤解の生む表現でした。正確には、私の卒業と同時に、彼女には退学して貰いたい」
「えええええ!?」
「…………認めよう」
「ええええええええええええええ!!!」
「マリーちゃんはしたないわよ」
「ごめんなさい」
待って待って待ってください。退学? 私が退学。それもギルの卒業と同時に退学ってどういうことですか。意味がわかりません。意味が…………
そうか、ギルが卒業してしまったら、私たちはもう毎日会えなくなるんだ。ギルがバルツァー領に戻ってしまったら、しばらく会えないんだ。
つまり、この罰はギルが卒業したら、私を連れていくという意味なのでしょうか。
私がギルの服を掴み、彼の顔をまじまじと見つめる。私の視線と彼の視線がぶつかると、顔が熱くなる。
「気付いたか? そうだ、マリー。俺に付いて来てくれ」
「…………罰? 笑わせないでください。ご褒美っていうんですよ」
私が彼に飛びつくと、彼が私を抱きしめる。しばらくそうしていたのか、いつの間にか両親の姿はありませんでした。
「あの? あの?」
「お前が罰してくださいって言ったのだろう? そのために必要な準備だ」
何の準備が必要で我が家に来たというのでしょうか。いえ、全く想像つきません。
ギルと並んで私の部屋まで向かいます。サロンや応接室でも良かったのですが、ギルが私の部屋が良いと言ってききませんでしたのでこちらにしました。
「見て面白いものなんてありませんよ?」
「構わないさ。見ていて飽きない奴ならもう隣にいるからな」
私は思いっきりギルのことをポカポカ叩きますが、ギルはそんな私を見て頭を撫でてきました。
撫でておけば私の機嫌が直ると思っていますね。気に入りませんのでもう少し撫でさせて腕が疲れてしまえばいい。
「それで罰の件だが、君の両親に納得してもらおう必要があるんだ」
「私に何をさせる気ですか?」
両親の納得が必要って意味がわかりません。皆目見当もつきません。
しばらくして両親が帰ってきたことを使用人の一人からお聞きしました。
ギルが立ち上がり、私もついていきます。エントランスに向かい両親に挨拶をしてギルが二人に話がありますと声をかけると、四人で応接室に向かうことになりました。
父母が並び、その向かいにギルと私が座ります。
「それでギルベルト君、私達に話があるということはマリーに関する話かね?」
「はい、コースフェルト伯爵。実は今回の件で自分を犠牲にしてまで使用人を優先する行為に対し、人として立派であると同時に、使用人の役割を無視した行いについて。彼女は叱られたところで次も同じことをする自信
がありますので罰してください。と申し付けられました」
「ほう。……ほう?」
「あ、お父さん。本当のことです」
はじめは納得した父も、え? 本当に? と言いたそうにこちらに視線を向けましたので私が返事をします。
「まあ、その話が本当なことは分かった。それで罰の件で私達に話があるということはどういうことかな?」
やっと本題。私も罰の内容がわからないので今からドキドキしています。両親に話す必要があることというのが未だにピンときませんが、きっと必要な事なのでしょう。
「お嬢さんには学園を退学して貰います」
「何?」「え?」「あらあら?」
「それはどういうことだいギルベルト君」
温厚な父が少しだけ怒っているような、そんな感じ。私とギルが高等部で定期的にお会いしていることは両親も存じています。
退学と言うことは、もう逢わないという意味なのでしょうか。
「すみません。誤解の生む表現でした。正確には、私の卒業と同時に、彼女には退学して貰いたい」
「えええええ!?」
「…………認めよう」
「ええええええええええええええ!!!」
「マリーちゃんはしたないわよ」
「ごめんなさい」
待って待って待ってください。退学? 私が退学。それもギルの卒業と同時に退学ってどういうことですか。意味がわかりません。意味が…………
そうか、ギルが卒業してしまったら、私たちはもう毎日会えなくなるんだ。ギルがバルツァー領に戻ってしまったら、しばらく会えないんだ。
つまり、この罰はギルが卒業したら、私を連れていくという意味なのでしょうか。
私がギルの服を掴み、彼の顔をまじまじと見つめる。私の視線と彼の視線がぶつかると、顔が熱くなる。
「気付いたか? そうだ、マリー。俺に付いて来てくれ」
「…………罰? 笑わせないでください。ご褒美っていうんですよ」
私が彼に飛びつくと、彼が私を抱きしめる。しばらくそうしていたのか、いつの間にか両親の姿はありませんでした。
0
あなたにおすすめの小説
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる