ポンコツ公爵令嬢は変人たちから愛されている

大鳳葵生

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第3章 ポンコツしかできないこと

14話 マゾヒストが仲間になりたそうにこちらに服従の姿勢をしています

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 メルヒオール様と一緒に屋敷に戻り、すぐにエレナのもとに訪れましたわ。ルイーセ様とヨハンネスもいらっしゃる様子。
  
 おいていかれたことを気にされているのかしら? そわそわしちゃって。

 マルッティとジェスカはまだ寝ていらっしゃるの?

 そしてエレナにある方宛の手紙を用意して貰い、王都宛の連絡をしに行く騎士様についでにお届けしてもらうことにしましたわ。

「それにしてもエレナのお兄様は一向に口を割らないわね。何か弱点はないのかしら?」

 戦場の場所の情報がナダル領ということまではわかっているのですが、ナダル領は王領並みに広いのですよね。
  
 人口はその……人が住める場所が少ないのでそういうわけではないのですが。仮にも辺境伯領ということですね。

「兄の弱点ですか? 馬?」

 それは好きな物でしょう。馬を人質? 馬質になんてしたらそれこそ怒りを買いそうじゃないですか。
  
 それに私馬には依然助けられたことがありまして? ありまして? 何でしょうか? ありましたっけ?

「馬好きなこと以外は何も……」

「馬好きなこと以外は何もって……エレナのお兄様なのですよね? ご兄妹なのに知らなすぎではないですか?」

「でしたらお嬢様はエリオット様のことをどこまでご存じなのですか?」

 お兄様のこと? 愛煙家? 吸わせなければ大丈夫ですよね?
  
 でも別に私の目の前で吸っているところをお見かけしませんし実は吸わなくても平気とか?
  
 あら? あらら? うーむ、お義姉様のことが好きとか?

「ウチのお兄様に弱点などございません。そうだわ! ペッテル様に婚約者などは? その人を人質に」

「兄に婚約者はいませんし、妻もいません。それと人質はちょっと」

「未婚!?」

「マリアァッ!!!」

 妖怪・婚活女め…………ちょっと前の焦った私か! エレナのお兄様もフリーでしたのね。何故婚活中に気付かなかったのかしら?
  
 いえ、もう! もう結構です! これ以上選択肢が増えると迷って迷って迷った挙句、グレイ様の生誕祭を向かえそうですわ。

 それに私も無用に殿方を周りに侍らすことがしたい訳じゃないの!
  
 領地に帰った時にゆっくり考えてたらお三方に対して誠実に向き合おう! そう思うようになったからであって!
  
 その……いきなり誰でも良いってスタンスをやめてしまいましたら既に三人もいらっしゃってその、私の馬鹿!

「……マリア、節度は大事よ? ね?」

 いい加減彼女の恋も報われますように願いましょうか。
  
 なんだかんだ言って彼女の腕の傷は私を護るためにつけてしまった傷なのです。
  
 後、色々な方に気を持たせると私のようになります。

「え? 何故かお嬢様から余裕の波長が…………え?」

「まあ実際、私の場合は婚期が遅れることはありませんので。強制婚姻もありますので」

 ごめんなさいマリア。でもマリアだっていつか結婚できると思いますの。普通に美人なのですしね。後エレナもね。
  
 ルイーセ様は既に婚約者の決まっている裏切り者ですので知りません!

 そういえばルイーセ様ってどなたのところに嫁ぐのかしら?

 しばらくしてヨハンネスとメルヒオール様が言い争っています。
  
 ああ、ヨハンネスったら私がメルヒオール様と二人きりだったのが羨ましかったのかしら? わかってる? ご自分で私に紹介した相手なのよ。

 ヨハンネスは自分の気持ちをはっきりさせ、更には爵位まで頂き、やっと正直な気持ちで動いてしまうのですね。
  
 少々可愛らしいじゃない。

 まあ、今は誰かと考える前段階。ユリエ様の暴走を止めないとですので、私自身の恋愛が全くできないのですよね。
  
 え? 思いっきり男と二人きりになってたでしょ? 何よ誰よ私の中で私がツッコんで来たわ。

「おーい。姫さんいるか?」

「ジェスカ。どうかしました?」

 ジェスカがこちらに向かってやってきましたわ。何かしら? いつ起きたの? あら?
  
 そういえば私メルヒオール様としばらくご一緒でしたからかなり時間過ぎたのよね。

「戦場の場所なんだが、とある人が情報をくれるが代わりに姫さんと二人きりで会いたいそうだ」

「とある人って…………グレイ様? それとも別の変態?」

「おいおい姫さん。前提条件が変態確定なあたりおかしいんじゃねーか」

 いえ、変態確定でしょ? だって貴方今否定しなかったもの。問題は知っている変態か安全な変態かよ。
  
 安全な変態? ヨハンネスは女装癖の安全な変態よね。他に安全な変態っていたかしら?

「まあ、いいわ。あってあげる。もし何かひどいめにあったらジェスカ? あなた責任取りなさいよ」

 仮にも護衛のジェスカが連れてきた方ですし、信じましょうか。
  
 いえ、過去の事例から考えますと私ってそう易々と他人を信じちゃダメな気がするのですが……ま、いいわ! どんと来なさい!

「おー怖っ。わかったよ。ついてきな」

 そしてジェスカに連れていかれてとある馬車の中に入りますと、赤い髪の女性が座られていましたわ。
  
 あーはいはい。お久しぶりです変態さん。

「私ですお姉様!」

「エミリアさんでしたか。どうしてナダル領に?」

 いえ、彼女が来たということは、おそらく戦場に武器や防具を運んできたのでしょうね。
  
 さらに私がいると聞いて彼女自ら運んできたのでしょう。

 ディートリヒ領は、鍛冶職人の町が多く、アルデマグラ公国の兵士たちが扱っている武器のほぼすべてがディートリヒ領産ですものね。こないだ勉強したばかりですもの!

「なるほど、ディートリヒ家なら武器を運ぶ都合で主戦場付近の駐屯所まで行く。ということですねエミリアさん」

「はい。その通りですわお姉様。ただし条件として一つだけ宜しいでしょうか?」

「何よ?」

 エミリアさんの顔を踏めばいいの? それとも毎日ベッドで抱きしめてあげるとか? いえ、彼女の場合枕にした方が喜ぶわね。
  
 段々習性を把握できるようになってきましたわ。悲しい。

「お姉様がご結婚なさるまで、私もお姉様とご一緒させてください。さすがに結婚の邪魔まで無粋なことは……? 無粋ですかね?」

 無粋に決まってるでしょ。

「そんなの交換条件にならないわ。もっと軽い条件になさい! そんな長時間あなたがいたら邪魔すぎるのよ!」

「でしたら、この戦争が終わるまでご一緒させてください。まあ、私は戦えませんけどね」

 戦争が終わるまでですか。まあ、良いでしょう。
  
 彼女のバックには鍛冶職人たちもいらっしゃいますし、こちらの装備を整えることも可能。
  
 さらに彼女自身もベッケンシュタイン家の屋敷に忍び込める程度には能力がありますわ。偵察役が手に入ったのは大きいですわ。

「良いでしょう。あなたも私を護りたい。そういうことですね」

「お姉様に踏まれたい! いえ、はい。お姉様をお守りさせてください! お姉様の盾! エミリア・ディートリヒ! エミリア・ディートリヒをよろしくお願い致します!」

 あーら。やっぱり置いていこうかしら。戦場はもう少しジェスカやメルヒオール様などに走り回って探して貰おうかしら。
  
 と言っている場合じゃないのですよね。すぐに止めたいと願ってナダル領まできたのよ。

「いいわ! 馬車馬のごとく働かせてあげる!」

「何ですそれ! 気持ちよさそうです! 早く跨ってください!」

「いえ、馬車馬は手綱よ?」

 彼女なら引っ張りそうなヴィジョンだけは見えるのですよね。さすがに無理でしょうけど。

「何故直接お触れになる方向性じゃないのですか! ですが手綱も良いです!! それでもかまいません虐げてください!」

 彼女には馬車に乗せながら、甘やかされることの喜びを教えて差し上げましょう。
  
 まずは膝の上にエミリアさんの頭をのせてゆっくり頭を撫でて差し上げてそれから……私は何を?
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