ポンコツ公爵令嬢は変人たちから愛されている

大鳳葵生

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第3章 ポンコツしかできないこと

15話 僭越ながらポンコツの作戦を施行致します

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 斥候を手に入れた私たちは、とある方の協力を得るために待機状態は続くものの、男性陣の皆様とエミリアさんに主戦場まで偵察に行ってきてもらうことにしましたわ。
  
  ですが、一応護衛がマリアだけという訳には行きませんので、私の指名でジェスカには残って頂きましたわ。
  
「しかし、なんで俺が残ることになったんだ姫さん」

「マルッティ以外には特に人選に理由はないわ。マルッティが偵察に参加している理由は御者なんだから道を把握している方が良いでしょう? 後は適当よ」

「ま、深く考えてない訳ね」

 ジェスカはその回答を聞き、姫さんらしいやと言って近場で待機。
  
 本当のことを言いますと、ジェスカが一番気配察知能力に長けているから護衛として残しただけなのですけどね。

「さてと、ルイーセ様にお願いがあるのですが宜しいでしょうか?」

「え? 私ですか?」 

 自分に声をかけられると思っていなかったのでしょう。私の隣りで紅茶を口に運ぶルイーセ様。

「はい。ルイーセ様にとってはとっても簡単なお仕事ですわ!」

「ルクレシア様が仰るのでしたら、やらせて頂きます」

 ルイーセ様は私のお願いに、特に確認することなく二つ返事で引き受けてくださりましたわ。

  ヤダ、そんなに私のために働きたいのかしら? もうルイーセ様と結婚しましょうか。

「エレナ? ルイーセ様にお願いをするにあたって用意して欲しいものがあるのだけど頼めるかしら?」

「勿論ですお嬢様」

 さてと…………マリアとジェスカは引き続きここにいて貰うとして…………何をしましょうか。
  
  充分ゆっくりしてしまったのですよね。戦場調査についていくにしても馬車の中では結局暇を持て余すだけですしね。
  
「何もすることがありませんわ」

「姫さんじゃしょうがねーな」

「ちょっとどういう意味よジェスカ! そういえばうやむやになっていましたが、貴方とヨハンネスの仲違いはいつ終わりますの?」

 いつまでたっても仲の悪いお二人。ヨハンネスがジェスカのことを許せないのは仕方ありませんが、それでも限度があります。
  
「うお!? いやいや姫さんだってわかってるだろ? 突っかかってきてるのは護衛隊長の方であってな。俺はむしろ自己防衛! 自己防衛だ!」

「……まあそうよね。あなたが我慢するだけでは意味ないですよね」

 ヨハンネスとジェスカの仲をどうにかしようと考えていますと、準備が終わったエレナが戻られましたわ。
  
「お嬢様用意できました」

「あら? ではルイーセ様こちらに」

「これは……白い布?」

 エレナに用意して貰ったのは大きめの白い布。それから画材ですわ。

「これはつまり絵を描いてほしいってことですか?」

「そうよ! どうしても必要なの。お願いするわ」

「はい! 誠心誠意務めさせて頂きます!」

 さてと、偵察に出かけたメンツが戻られるのはまだまだ先よね。
  
 ルイーセ様にはご依頼の作業が発生してしまいましたから今フリーのメンツはエレナにマリアにジェスカ。
  
 仕方ありません。偵察組の帰りを待ちましょう。あまりにもできることがなさすぎますわ。

  暫くして戻ってきた偵察組の皆様。昼食の用意ができていらしたようなので皆で食卓を囲みましたわ。
  
「さてと、私の椅子にならなくていいのですよ」

 おーよしよし。私はエミリアさん首根っこをワシワシ撫でてあげますと、エミリアさんは気持ちよさそうな声を出しながら目を細め頬をこすりつけてきます。
  
  ……私も私ですが、何をやっているのでしょうか。

 私の席から一番遠い席を指さしてハウスと声をかけやっと移動してくださりましたわ。
  
「嬢ちゃん。一応あっちの赤髪の嬢ちゃんも伯爵家の令嬢なんだろ? なんつーか、若い衆の考えることはわからないな」

 マルッティ、それ私も若い衆に含まれていますからね?
  
  ちなみに席順となりますと、ここはエレナの家ですので当然エレナを基準に私がその右隣に座り、その隣にルイーセ様が座っています。
  
  後は皆様お好きなように座っていますわ。
  
「それで? 戦場の件の報告は、どなたが報告してくださるのかしら? ヨハンネス? それともエミリアさん?」

「では私から」

「お願い」

 私が戦場の報告の件をどなたから報告されるのか聞いてみますと、ヨハンネスがいの一番に返事をしましたわ。
  
「主戦場はナダル最南端の街ルバスラーク。住民のほとんどは避難済みですが、中には生まれ育った街から離れないと抵抗するものもおり、完全に避難は完了していない状況になっています」

 避難未完了。これは悪い報告ね。一刻も早く主戦場を移すべきね。我が国の騎士団は何をやっているのでしょうか?
  
  おそらく敵はルバスラークを拠点にしているのでしょう。
  
「拠点取り目的となりますと主戦場を移すのは難しいのではないでしょうか?」

「そうね、私が囮になるにしても敵兵皆がこちらについてくるとは限りませんわ」

 どちらにせよ敵に拠点は必要になります。ですが住民がいらっしゃるのでしたらそう易々と明け渡せませんね。
  
 デークルーガ帝国にも拠点が必要。その一つとして最も近い大きな街としてターゲットにされたルバスラーク。
  
「やっぱりちゃんとした参謀が欲しいところなのよね。でも、ないものねだりは出来ないわね」

 となるとやはり考えていた作戦で誘導して大幅に敵を減らすしかありませんね。
  
  私は自分の考えを皆様にお話すると、皆それで納得してくださりましたわ。
  
「ルクレシア様もかなり危険だけど、配役はどうするのかな? できれば俺はルクレシア様の護衛担当が良いんだけど?」

「メルヒオール! それはやはり護衛隊長の私が!」

「いや護衛隊長様はもっと別の役目があるっしょ? ま、姫さんは俺が護衛してやるよ」

「私はどこでも構いませんよ。独身男性との絡みが少なそうですので。むしろデークルーガ兵から漁った方が……」

「儂も誰を護ることになろうと構わん」

「私はお姉様の馬」

「……くじにしましょう。争いが醜すぎますので。後、くじの結果に私の馬は御座いませんので予めご了承ください」

 本当に馬車馬になる馬鹿がいらっしゃいますか! いえ、本当になりたいのでしょうね。一ミリも動かなそうですけど。
  
  エレナにくじを用意して頂き、各々が自分の役職を確認しています。
  
 さすがにくじの結果に文句を言うものはいませんでしたが、そもそもくじを引く権利がなかったヨハンネスが微妙な表情をしています。
  
「あなたはいつも私を護っているでしょ?」

「いえ、まあそうなのですけど。今回は役職が役職ですので」

「良いじゃない?」

 不満に思うだなんておこがましいですわ。だってあれはあなたの趣味なのでしょう?
  
「今更だけどこの変わった嬢ちゃんは護衛としてくじを引いていたのは誰も突っ込まないんだな」

 ジェスカ、それは言ってはいけないお約束ですよ。それに一人でも多くの戦闘員……エミリアさんいつから戦闘員カウントしていたのでしょうか。
  
  まあ、いいわ。本人が喜んでくじを引いたのですし。
  
「とにかく食事を済ませましょう。役職も決まりましたしあとは王都からあの方が来てくださるかどうかですわ」

 でも信じてますよ。だってあなたは私が居場所を教えれば。私がナダルにいると教えればきっと駆けつけてきますわ。
  
  今回の作戦に必要なのは、度胸のある金髪の女性ですわ。
  
  ですので必ず来てくださいね。お義姉様。
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