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終章 有史以前から人々が紡いできたこと
8話 聖騎士ルクレシア
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周りの動くものが、それぞれ私に何かをし、何かを与え何かがなんとなく空の色が変わる日常。
赤い何かが思いっきり抱きしめて来たり、青い何かが何かを口に突っ込んで来たり、何度も大きな声をかけて揺さぶってくる何かもありましたっが、そちらは最近は亡くなりました。
気がつけば肌寒く感じるようになり、私は近くにあったそれに抱き着きました。
温かい。
それはモノなのに、私を強く抱きしめ返しました。私より強い力のあるそれは、ずっと昔から感じていた匂いがし、とても落ち着くような気がしました。
私はその温かいそれに一日中すがっていたと思います。
これ好き。
もう何もいらないから、ずっとこうしていたい。離したくない。失いたくない。
そう強く感じた時、今までの記憶がフラッシュバックしました。
お父様の死。当時は父と知らずに、気高い騎士と認知しておりました。
ルーツィアの悪事の露呈。親友であった方でしたが、それでも彼女ももう友としてご一緒できない。
マルッティも私の為に命を懸けてくださりました。
これ以上失いたくないという強い思いで、アンジェリカとの闘いで勇気を出して前に立ち、自らの恥を晒してでも勝利を勝ち取りました。
そしてジバジデオ王国で知った真実。父と思っていた人は、私の実母の命を奪った悪党でした。
お父様は、ヘロニモ・フォン・ベッケンシュタインに歯向かうよりも、私の無事を選んでベッケンシュタイン家に仕える道を選んだそうでした。
ヘロニモに対する信頼まで失った今。今度は大親友だと思っていたレティシア様のことでショックを受け、更に目の前で転がったユリエの生首。
これ以上何も考えることはできなくなったのでしょう。
私は、いつの間にか今の私になっていました。
私をずっと抱きしめてくださった方は、私をもう一度強く抱きしめ、私はその胸を借り、更に泣き出してしまいました。
翌朝。私の頭は完全にクリアになっていました。今までゆがんで見えていた窓枠は、すっきりとした長方形の形をしています。
ベッドの上に寝転がっていた感覚も、ごつごつやがさがさなどもない。
毎朝食事を用意してくださっていた青い何かが今はマリアだとわかる。
マリアはまだ私がいつもと違うと思っていたのでしょう。
入室した瞬間に私が目を合わせますと、何かを察したマリアは食事を投げ捨てどこかに走っていきました。
ちょっとそれ私の朝食。
マリアに呼ばれて集まった方々がとても懐かしく感じます。
最初に突進してきたのはエミリアさんとお義姉様でした。さすが。
そのすぐ後ろにお兄様を含む男性陣。エディータは扉のすぐ横の壁にもたれかかっています。
「ちょっとまだ私第一声すら声に出してませんよ?」
「ルー。君はこれから先の道のりで更に辛い思いをすることになる。それでも、真実を突き止めようと思うのかい?」
グレイ様が私に声をかけますと、お義姉様たちはゆっくり私から離れて、他の方々も後ろに下がります。
「私はきっと今以上に心を痛めることになるかもしれません。その時は、ここにいるみんなが支えてくださるのでしょう? 私、ワガママだから。むしろそれでも付いて来てくださりますか?」
私のお言葉を聞いた皆様は、なぜか顔を見合わせてから一列に並び始めました。なんでよ。
先頭からエディータ、メルヒオール様、オルガお義姉様、マリア、ヨハンネス、エミリアさん、グレイ様、そしてエリオットお兄様の順です。
あ、これ私が知り合った順番に後ろにいらっしゃいます。
「私はあなたの支えになるつもりはないですけど、いいですか! 私はあなたと一緒にいて強くなるって決めたから、あなたが前に出るならそれより前に出てやります」
そう言ったエディータはすぐに部屋の片隅まで行き先頭がメルヒオール様に代わります。
「最初は叔父の護った女性と存じていました。また、ヨランデさんのことは実はちょっとだけ知っています。幼い頃の話ですけどね。まさかあの人が叔母で、君が従妹だっただなんて思いもしなかったけどね。大好きな叔父さんの大切な娘さんだ。ワガママだって可愛いものです」
そしてメルヒオール様も端に移動。もしかして皆様、私が目覚めたらこれをやるつもりでした?
「僕はね。君がエリオットの本当の妹じゃなかったことに少しばかり残念だなって思っているよ。だって君もエリオットと結婚できるだろう?」
私はお義姉様の爆弾発言に盛大に噴出しそうになりましたが、それでもお義姉様は話を続けます。
「だが問題ない。僕達以上にエリオットの愛を受けるものは金輪際現れやしないさ」
「僕達?」
そういったお義姉様はゆっくりとおなかを撫で始めました。あらー。
「と、いう訳でしばらく君の力にはなれないが、いつでも頼ってくれ。お義姉ちゃんだぞ」
そういったお義姉様はぎゅっと私をだきしめてくださりました。そして他の方々同様端に移動します。
「お嬢様、私はマリア。アハティサーリ騎士伯の一人娘です。騎士伯家は父の代で終了し、私はどこかに嫁ぐだけの人生。ある目的で騎士になりましたが、目的を達成したのは自分ではありませんでした。今、私の生きがいは、馬鹿みたいに前に突っ走り、ワガママと称して誰でも救おうとする素直になれない方を支えることです。あなたのワガママはみんなのワガママです。ついていきますお嬢様」
毎日私に食事を運んでくださった彼女。エレナの代わりにはなれないながらも、それでも尽力してくださった彼女がいてくれて良かったと思いました。
そしてマリアも端に移動。ヨハンネスが前に出てきました。
「お嬢様との最初の出会いは王城でしたね。最初は興味本位で志願しました。師匠が最後まで守った女性。まさか娘さんだったなんて。でも、あなたのそのワガママはきっと師匠のワガママもお持ちだったと思います。誰かを護りたいというワガママがなきゃ、あんな死に方しません。護り通して見せます」
そしてヨハンネスも後ろに下がります。この感動的な一ページに割り込んでくるエミリアさん。覚悟はしてます。さあ、来なさい。
「私、お姉様のこと大好きです。世界中探したってお姉様の変わりはいません。ですが、お姉様の運命の人は私じゃない。好きと伝えても希望の答えは返ってきません。ですが、それも気持ちい。あ、違う。ですが、それでもかまいません。だってお姉様は、本性を晒した私を拒まずに接してくださりましたから!」
「拒んでますが?」
「お姉様が本当に拒もうと思えば、私如き何とでもできましたよね。我が家は伯爵家。あなたは公爵家。本気を出さなかった時点であなたは私を拒んでいません。それが痛みの気持ちよさよりも嬉しかった。きっとあなたは望みませんし、泣いてくださりますが、私はあなたの為にできないことはありません」
少々、変態だなと思いつつも、彼女から真面目なお言葉を聞けたことは私も嬉しかったです。
そしてエミリアさんも部屋の端。端よね? 無理に個性出さなくていいですからね?
そして残るはグレイ様とお兄様。先に来るのは出会った順番と逆順ですので当然グレイ様でした。
「この際だからはっきり言わせてもらおう。君が誰の娘でも、僕にとって一番大事な人に変わりない。平民? 関係ないね。君に流れる気高い血は、ヤーコフとヨランデのものだ。もしそうでなくても、僕は君を娶る為に法を変える。君がワガママ? 馬鹿な話だ。僕を超えてみろ」
「あら? ジバジデオもデークルーガも私が屈服させましたが? 超えました」
「君を手に入れる。それが僕のワガママだ」
「私は私の好きなように生きます。それが私のワガママです」
「いいね。その強がる表情を塗り替えて見せる」
「私の顔です。どれも最高なんだからわざわざへんなことしないでください」
私がそういうと、グレイ様は私の頬をつついてから横に移動し、お兄様が前に出てきました。
「ルクレシア。早馬に頼んである物をここに持ってきた貰った。受け取って欲しい」
一本の剣。渡されているようですので、当然持ち上げようとしましたが、軽すぎる。私でも自由に持てる。振れるかはあとで試しましょう。
「これは?」
「騎士ヤーコフは、あまり重い剣を好まなかった。それは君の本当の父親の剣だ」
「こんな軽い物で戦えるのですか? それもすごく細いですし」
刺突が限度ですよね。
「そのミセリコルデは、ヤーコフが携帯していた遺品だ。ルクレシア、君が受け継ぐと良い。護身用と、君が決意したなら、君が使うべき武器だ」
お兄様から受け取った剣。この剣にはもう誰も苦しまないために使いましょう。
お父様、レティシア様。私はもうただの公爵令嬢ではございません。
それからクラヴィウス伯爵閣下にベルトラーゾ侯爵閣下。貴方たち含めてすべてを終わらせます。
それから数日間ベッドにいた私のリハビリと、ミセリコルデを扱う訓練が三日程度ですが行われました。
「マリア? ちょっとこれ動きにくい」
「我慢してください」
マリアの鎧と違い、鎖帷子を服の内側に仕込みます。一応鉄製のプレートで胴体を護ろうとしましたが、私のサイズの用意はなく断念。それ以前に鎖帷子だけで動けないくらい重いのでかなり軽量化しました。
動きやすい服に着替え、騎士として戦える
準備をしました。手甲などはさすがにはめています。
私とマリアは皆様の待っている広い部屋に移動しました。
たくさんの方々が並ぶ中、中央にはグレイ様とお兄様。
私はお二人の前まで歩き、頭を下げます。
「汝、ルクレシア・ボレアリス・ベッケンシュタインに第一騎士団副団長の職務を命ずる」
「謹んで、拝命いたします」
父から受け継いだミセリコルデ一本。実力だけでしたら騎士どころから一般市民を含めても最弱クラス。
第一騎士団副団長。マルッティが元々任命されていた職務でしたね。私が引き継ぎます。
そんな私は今、騎士になりました。お父様、驚かれますよね。
ここにいる皆様も、ここにいない皆様も、私の運命は私自身の力で歩ませて頂きます。
もう何もできない侯爵令嬢なんて言わせない。
これからは公爵令嬢だからこそできること以外も手を伸ばしたい。
ポンコツであろうがなかろうが、私は私ができることすべてを操って見せる。そこに恥はない。私自身の歴史に恥なんてあるものか。
私は騎士だ。それも邪に対してのみ剣を振るう聖騎士ルクレシア。もうこれ以上諸悪に苦しむ人を産ませない。
赤い何かが思いっきり抱きしめて来たり、青い何かが何かを口に突っ込んで来たり、何度も大きな声をかけて揺さぶってくる何かもありましたっが、そちらは最近は亡くなりました。
気がつけば肌寒く感じるようになり、私は近くにあったそれに抱き着きました。
温かい。
それはモノなのに、私を強く抱きしめ返しました。私より強い力のあるそれは、ずっと昔から感じていた匂いがし、とても落ち着くような気がしました。
私はその温かいそれに一日中すがっていたと思います。
これ好き。
もう何もいらないから、ずっとこうしていたい。離したくない。失いたくない。
そう強く感じた時、今までの記憶がフラッシュバックしました。
お父様の死。当時は父と知らずに、気高い騎士と認知しておりました。
ルーツィアの悪事の露呈。親友であった方でしたが、それでも彼女ももう友としてご一緒できない。
マルッティも私の為に命を懸けてくださりました。
これ以上失いたくないという強い思いで、アンジェリカとの闘いで勇気を出して前に立ち、自らの恥を晒してでも勝利を勝ち取りました。
そしてジバジデオ王国で知った真実。父と思っていた人は、私の実母の命を奪った悪党でした。
お父様は、ヘロニモ・フォン・ベッケンシュタインに歯向かうよりも、私の無事を選んでベッケンシュタイン家に仕える道を選んだそうでした。
ヘロニモに対する信頼まで失った今。今度は大親友だと思っていたレティシア様のことでショックを受け、更に目の前で転がったユリエの生首。
これ以上何も考えることはできなくなったのでしょう。
私は、いつの間にか今の私になっていました。
私をずっと抱きしめてくださった方は、私をもう一度強く抱きしめ、私はその胸を借り、更に泣き出してしまいました。
翌朝。私の頭は完全にクリアになっていました。今までゆがんで見えていた窓枠は、すっきりとした長方形の形をしています。
ベッドの上に寝転がっていた感覚も、ごつごつやがさがさなどもない。
毎朝食事を用意してくださっていた青い何かが今はマリアだとわかる。
マリアはまだ私がいつもと違うと思っていたのでしょう。
入室した瞬間に私が目を合わせますと、何かを察したマリアは食事を投げ捨てどこかに走っていきました。
ちょっとそれ私の朝食。
マリアに呼ばれて集まった方々がとても懐かしく感じます。
最初に突進してきたのはエミリアさんとお義姉様でした。さすが。
そのすぐ後ろにお兄様を含む男性陣。エディータは扉のすぐ横の壁にもたれかかっています。
「ちょっとまだ私第一声すら声に出してませんよ?」
「ルー。君はこれから先の道のりで更に辛い思いをすることになる。それでも、真実を突き止めようと思うのかい?」
グレイ様が私に声をかけますと、お義姉様たちはゆっくり私から離れて、他の方々も後ろに下がります。
「私はきっと今以上に心を痛めることになるかもしれません。その時は、ここにいるみんなが支えてくださるのでしょう? 私、ワガママだから。むしろそれでも付いて来てくださりますか?」
私のお言葉を聞いた皆様は、なぜか顔を見合わせてから一列に並び始めました。なんでよ。
先頭からエディータ、メルヒオール様、オルガお義姉様、マリア、ヨハンネス、エミリアさん、グレイ様、そしてエリオットお兄様の順です。
あ、これ私が知り合った順番に後ろにいらっしゃいます。
「私はあなたの支えになるつもりはないですけど、いいですか! 私はあなたと一緒にいて強くなるって決めたから、あなたが前に出るならそれより前に出てやります」
そう言ったエディータはすぐに部屋の片隅まで行き先頭がメルヒオール様に代わります。
「最初は叔父の護った女性と存じていました。また、ヨランデさんのことは実はちょっとだけ知っています。幼い頃の話ですけどね。まさかあの人が叔母で、君が従妹だっただなんて思いもしなかったけどね。大好きな叔父さんの大切な娘さんだ。ワガママだって可愛いものです」
そしてメルヒオール様も端に移動。もしかして皆様、私が目覚めたらこれをやるつもりでした?
「僕はね。君がエリオットの本当の妹じゃなかったことに少しばかり残念だなって思っているよ。だって君もエリオットと結婚できるだろう?」
私はお義姉様の爆弾発言に盛大に噴出しそうになりましたが、それでもお義姉様は話を続けます。
「だが問題ない。僕達以上にエリオットの愛を受けるものは金輪際現れやしないさ」
「僕達?」
そういったお義姉様はゆっくりとおなかを撫で始めました。あらー。
「と、いう訳でしばらく君の力にはなれないが、いつでも頼ってくれ。お義姉ちゃんだぞ」
そういったお義姉様はぎゅっと私をだきしめてくださりました。そして他の方々同様端に移動します。
「お嬢様、私はマリア。アハティサーリ騎士伯の一人娘です。騎士伯家は父の代で終了し、私はどこかに嫁ぐだけの人生。ある目的で騎士になりましたが、目的を達成したのは自分ではありませんでした。今、私の生きがいは、馬鹿みたいに前に突っ走り、ワガママと称して誰でも救おうとする素直になれない方を支えることです。あなたのワガママはみんなのワガママです。ついていきますお嬢様」
毎日私に食事を運んでくださった彼女。エレナの代わりにはなれないながらも、それでも尽力してくださった彼女がいてくれて良かったと思いました。
そしてマリアも端に移動。ヨハンネスが前に出てきました。
「お嬢様との最初の出会いは王城でしたね。最初は興味本位で志願しました。師匠が最後まで守った女性。まさか娘さんだったなんて。でも、あなたのそのワガママはきっと師匠のワガママもお持ちだったと思います。誰かを護りたいというワガママがなきゃ、あんな死に方しません。護り通して見せます」
そしてヨハンネスも後ろに下がります。この感動的な一ページに割り込んでくるエミリアさん。覚悟はしてます。さあ、来なさい。
「私、お姉様のこと大好きです。世界中探したってお姉様の変わりはいません。ですが、お姉様の運命の人は私じゃない。好きと伝えても希望の答えは返ってきません。ですが、それも気持ちい。あ、違う。ですが、それでもかまいません。だってお姉様は、本性を晒した私を拒まずに接してくださりましたから!」
「拒んでますが?」
「お姉様が本当に拒もうと思えば、私如き何とでもできましたよね。我が家は伯爵家。あなたは公爵家。本気を出さなかった時点であなたは私を拒んでいません。それが痛みの気持ちよさよりも嬉しかった。きっとあなたは望みませんし、泣いてくださりますが、私はあなたの為にできないことはありません」
少々、変態だなと思いつつも、彼女から真面目なお言葉を聞けたことは私も嬉しかったです。
そしてエミリアさんも部屋の端。端よね? 無理に個性出さなくていいですからね?
そして残るはグレイ様とお兄様。先に来るのは出会った順番と逆順ですので当然グレイ様でした。
「この際だからはっきり言わせてもらおう。君が誰の娘でも、僕にとって一番大事な人に変わりない。平民? 関係ないね。君に流れる気高い血は、ヤーコフとヨランデのものだ。もしそうでなくても、僕は君を娶る為に法を変える。君がワガママ? 馬鹿な話だ。僕を超えてみろ」
「あら? ジバジデオもデークルーガも私が屈服させましたが? 超えました」
「君を手に入れる。それが僕のワガママだ」
「私は私の好きなように生きます。それが私のワガママです」
「いいね。その強がる表情を塗り替えて見せる」
「私の顔です。どれも最高なんだからわざわざへんなことしないでください」
私がそういうと、グレイ様は私の頬をつついてから横に移動し、お兄様が前に出てきました。
「ルクレシア。早馬に頼んである物をここに持ってきた貰った。受け取って欲しい」
一本の剣。渡されているようですので、当然持ち上げようとしましたが、軽すぎる。私でも自由に持てる。振れるかはあとで試しましょう。
「これは?」
「騎士ヤーコフは、あまり重い剣を好まなかった。それは君の本当の父親の剣だ」
「こんな軽い物で戦えるのですか? それもすごく細いですし」
刺突が限度ですよね。
「そのミセリコルデは、ヤーコフが携帯していた遺品だ。ルクレシア、君が受け継ぐと良い。護身用と、君が決意したなら、君が使うべき武器だ」
お兄様から受け取った剣。この剣にはもう誰も苦しまないために使いましょう。
お父様、レティシア様。私はもうただの公爵令嬢ではございません。
それからクラヴィウス伯爵閣下にベルトラーゾ侯爵閣下。貴方たち含めてすべてを終わらせます。
それから数日間ベッドにいた私のリハビリと、ミセリコルデを扱う訓練が三日程度ですが行われました。
「マリア? ちょっとこれ動きにくい」
「我慢してください」
マリアの鎧と違い、鎖帷子を服の内側に仕込みます。一応鉄製のプレートで胴体を護ろうとしましたが、私のサイズの用意はなく断念。それ以前に鎖帷子だけで動けないくらい重いのでかなり軽量化しました。
動きやすい服に着替え、騎士として戦える
準備をしました。手甲などはさすがにはめています。
私とマリアは皆様の待っている広い部屋に移動しました。
たくさんの方々が並ぶ中、中央にはグレイ様とお兄様。
私はお二人の前まで歩き、頭を下げます。
「汝、ルクレシア・ボレアリス・ベッケンシュタインに第一騎士団副団長の職務を命ずる」
「謹んで、拝命いたします」
父から受け継いだミセリコルデ一本。実力だけでしたら騎士どころから一般市民を含めても最弱クラス。
第一騎士団副団長。マルッティが元々任命されていた職務でしたね。私が引き継ぎます。
そんな私は今、騎士になりました。お父様、驚かれますよね。
ここにいる皆様も、ここにいない皆様も、私の運命は私自身の力で歩ませて頂きます。
もう何もできない侯爵令嬢なんて言わせない。
これからは公爵令嬢だからこそできること以外も手を伸ばしたい。
ポンコツであろうがなかろうが、私は私ができることすべてを操って見せる。そこに恥はない。私自身の歴史に恥なんてあるものか。
私は騎士だ。それも邪に対してのみ剣を振るう聖騎士ルクレシア。もうこれ以上諸悪に苦しむ人を産ませない。
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