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33話 顔にはでないけれど
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目が覚めると、既にいなくなっているジェラール。しかし、未だに私の体を拘束する腕。エリザベートの腕である。
顔を見ると彼女はまだ眠っていた。
どうしよう。まだ動かない方が良いのかな。動けない。てゆうか寝る前は離れていませんでしたか?
しばらくして部屋にジェラールが入ってきました。ベッドにいる私達をみて、彼は表情を崩すことなく優しい声でこちらに声をかけました。
「おはようクリスティーン」
「おはようございますお父様」
「エリザベートはもうしばらくすると起きるだろう。その前に抜け出すなら勝手に抜け出すと良い。そいつは隣で眠るとすぐに抱きしめてくるぞ」
ここにきて好きだったゲームの悪役令嬢のチャームポイント紹介されてしまった。いえ、今は大好きな母の可愛いところですね。
そんなことを知っていると言うことは、この夫婦こんなに冷え切っているのに寝室とベッドは一緒なんですね。
そしてエリザベートは隣で眠っているジェラールについ抱き着くんですね。
…………個人的にはジェラールが眠くなると甘えん坊さんだ! の方が捗るんですけどね!!
まあ、乙女ゲームで設定されていない部分にケチをつけてもしかたないですよね。それにここは私にとっての現実なんですし。
「クリスティーン。偶然なことに今日は俺もエリザベートもお前も予定がない」
「…………意図的ですよね?」
「偶然だ」
私が休みなことは昨夜ベッドでお聞きしましたし、エリザベートも時間を作るとかそういってました。
もしやジェラールは今朝すぐに寝室から出ていったのは、自分とエリザベートの時間を調整していたというのですか?
「それで抜け出さないのか?」
「私が抱きしめられていたことを私にバレていると知られたら、お母様が照れてしまいますのでもう少し寝たふりをさせていただきます」
「そうか」
そしてそのまま大人しくしていると、私を抱きしめていた手が一度だけしっかり私を抱きしめてからスルリと抜け出した。
「おはようございますジェラール」
「おはようエリザベート。昨日は相手ができなくてすまなかったな」
ちょジェラールさん!? なんて話をしているんですか。貴方は私が起きていることを知っていますよね? 想像以上にラブラブじゃない!! 詳しく!!!
私がそう思っていると、パチン! と気持ちのいい音が部屋に響いた。エリザベートがジェラールにビンタをしたのである。薄目で二人の様子を伺うと、ジェラールは真顔のままぶたれた頬をさすり、エリザベートもきつい表情でジェラールを睨む。
「眠っているとはいえ、クリスティーンに聞かせる会話ではないわ」
「すまない。どうせわからないと思ってね。早く着替えてくると良い」
「そうさせて頂きます」
いえ、アラサーわかります。すごくわかります。でもそうよね。五歳児に聞かせる会話でないと同時に五歳児じゃ理解できませんものね。
そしてエリザベートはネグリジェのまますぐそばにある扉に入っていく。そこで数人のメイドが現れ衣装選びを始めていた。
あそこは何でしょうか。衣裳部屋?
「起きたらどうだクリスティーン」
「……はい」
「時間を少しずらしてあの部屋に向かうと良い」
「わかりました」
そしてジェラールが私の背中を押したタイミングで衣裳部屋に向かい、エリザベートと目を合わせました。
「おはようございますお母様」
「ええ、おはようクリスティーン。よく眠れたかしら」
「はい! とても幸せな気分でした!」
「…………そ、そう! …………貴女さえよければたまにくらいなら! ……………………いえ、なんでもありません」
エリザベートがもう少しでデレそうなところで照れてしまい、その先の言葉を聞けませんでした。
この人はこの人なりに娘を大事に思っている。それが分かっただけでも私は幸せでした。
顔を見ると彼女はまだ眠っていた。
どうしよう。まだ動かない方が良いのかな。動けない。てゆうか寝る前は離れていませんでしたか?
しばらくして部屋にジェラールが入ってきました。ベッドにいる私達をみて、彼は表情を崩すことなく優しい声でこちらに声をかけました。
「おはようクリスティーン」
「おはようございますお父様」
「エリザベートはもうしばらくすると起きるだろう。その前に抜け出すなら勝手に抜け出すと良い。そいつは隣で眠るとすぐに抱きしめてくるぞ」
ここにきて好きだったゲームの悪役令嬢のチャームポイント紹介されてしまった。いえ、今は大好きな母の可愛いところですね。
そんなことを知っていると言うことは、この夫婦こんなに冷え切っているのに寝室とベッドは一緒なんですね。
そしてエリザベートは隣で眠っているジェラールについ抱き着くんですね。
…………個人的にはジェラールが眠くなると甘えん坊さんだ! の方が捗るんですけどね!!
まあ、乙女ゲームで設定されていない部分にケチをつけてもしかたないですよね。それにここは私にとっての現実なんですし。
「クリスティーン。偶然なことに今日は俺もエリザベートもお前も予定がない」
「…………意図的ですよね?」
「偶然だ」
私が休みなことは昨夜ベッドでお聞きしましたし、エリザベートも時間を作るとかそういってました。
もしやジェラールは今朝すぐに寝室から出ていったのは、自分とエリザベートの時間を調整していたというのですか?
「それで抜け出さないのか?」
「私が抱きしめられていたことを私にバレていると知られたら、お母様が照れてしまいますのでもう少し寝たふりをさせていただきます」
「そうか」
そしてそのまま大人しくしていると、私を抱きしめていた手が一度だけしっかり私を抱きしめてからスルリと抜け出した。
「おはようございますジェラール」
「おはようエリザベート。昨日は相手ができなくてすまなかったな」
ちょジェラールさん!? なんて話をしているんですか。貴方は私が起きていることを知っていますよね? 想像以上にラブラブじゃない!! 詳しく!!!
私がそう思っていると、パチン! と気持ちのいい音が部屋に響いた。エリザベートがジェラールにビンタをしたのである。薄目で二人の様子を伺うと、ジェラールは真顔のままぶたれた頬をさすり、エリザベートもきつい表情でジェラールを睨む。
「眠っているとはいえ、クリスティーンに聞かせる会話ではないわ」
「すまない。どうせわからないと思ってね。早く着替えてくると良い」
「そうさせて頂きます」
いえ、アラサーわかります。すごくわかります。でもそうよね。五歳児に聞かせる会話でないと同時に五歳児じゃ理解できませんものね。
そしてエリザベートはネグリジェのまますぐそばにある扉に入っていく。そこで数人のメイドが現れ衣装選びを始めていた。
あそこは何でしょうか。衣裳部屋?
「起きたらどうだクリスティーン」
「……はい」
「時間を少しずらしてあの部屋に向かうと良い」
「わかりました」
そしてジェラールが私の背中を押したタイミングで衣裳部屋に向かい、エリザベートと目を合わせました。
「おはようございますお母様」
「ええ、おはようクリスティーン。よく眠れたかしら」
「はい! とても幸せな気分でした!」
「…………そ、そう! …………貴女さえよければたまにくらいなら! ……………………いえ、なんでもありません」
エリザベートがもう少しでデレそうなところで照れてしまい、その先の言葉を聞けませんでした。
この人はこの人なりに娘を大事に思っている。それが分かっただけでも私は幸せでした。
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