39 / 228
39話 私にわからない違い
しおりを挟む
次の聖歌隊の練習の日。ミカエルが全員を連れてくるときに、私を見て一瞬目を見開いた。一瞬でしたので瞳の色まではちゃんと確認することはできませんでした。
「姫様?」
「な、なんでしょうか?」
「…………いえ、気にしないでください」
ミカエルは何かに気付くも、それを私に話そうとはしませんでした。
私はジョアサンの方に視線を向けると、彼はぼーっと私を見つめたまま。
こないだは私のことにはすぐ気付いた割には、近くにいる間はどこか目を逸らしていたというのに、どういうことなのでしょうか。
ジョアサンと親交を深めるのは、最悪長期戦も覚悟していましたが、出会って二度目でこうもリアクションが変わってしまうと、どうすべきか迷いますね。これは良い方向に進んでいるのでしょうか。
前回とは違い、歌詞を覚えてきた私は今日はみんなと一緒に並んで練習を始めます。
私の周囲には貴族の子供たちが一斉に集まり、平民の子供たちは端の方に集まっていました。この格差、さっさと取り払えないかしら。
聖歌隊と言っても子供。前回の練習の時に思いましたが、ところどころ音が外れていますし、声量もまちまち。
これはおそらく歌うことに重点を置いているのでしょうね。
しかし、だからと言って私も妥協する気はない。どうせなら上手に歌ってジェラールとエリザベートに褒めて貰いたいのですから!
まあ、あの二人が親バカのように褒めてくれる姿は想像できませんけど。
二三回唄ったところで休憩時間。私は今日もジョアサンも混じっている平民たちの集団の方に向かおうとすると、一人の男の子に止められてしまいました。
「姫様!」
「何かしら?」
「あまりそちらの子供たちと仲良くするのは、よくないと私の父が」
「変わった姫でごめんなさい。私は、彼らとも仲良くしたいのです。ですが、ありがとうございます。私を心配してくれて声をかけてくださったのですよね?」
私はそれだけ言ってジョアサンたちの元に向かいました。
一部の貴族の子女たちはそんな私を見てどうするべきかこちら来るか、私をこちらに引き戻すか話し合っています。
大方、前回の私の行動をご両親に話して姫様を平民に近づけるのではないと言われた子供もいるのでしょう。
貴族社会、きっとこの国でなんの知識もなく育てられたのなら、私もこうなっていたのでしょう。
だから彼らも、彼らのご両親も悪くない。それが常識だと育てられてきたのですから。
私だって日本で生まれて、日本で育って、日本に住む上の常識は備わっている。それが違う時代の日本であれば非常識な行動である。
それが違う国であれば非常識な行動である。でもそんな常識をあの時間のあの日本で過ごしていた私にはわからない。
それが悪いことと言えないように、彼らの行いを悪いことと言えない。
分別しなければ、ここは異世界。だから私の行動は異端。異端とわかって行動してる。だから、上から目線で相手を説教してはいけない。
「皆様、お疲れ様です」
私が声をかけたタイミングで、ジョアサンと周囲の平民の子供たちが私に気付きます。
型のはまった挨拶をし終えたところで、私はジョアサンに声をかけました。
「こないだは私が来たとたんに、急に喋らなくなりましたよね? 私、嫌われているのかと思いました」
「いえ、そんなこと!」
私がそういうと、ジョアサンは勢いよく首をよこに振りながら否定します。
「では何故?」
「…………今日の姫様からは、嫌な靄のようなものを感じませんので」
嫌な靄? それはなんのことかしら。臭っていたとか? え? 本当に? 臭かった? 湯浴みはメイド達に手伝ってもらっていますけど、今度からもう少し念入りにお願いしましょう。
その後は臭っていたかどうかが一日中気になり、気が付けばもう寝る時間になっていました。
「姫様?」
「な、なんでしょうか?」
「…………いえ、気にしないでください」
ミカエルは何かに気付くも、それを私に話そうとはしませんでした。
私はジョアサンの方に視線を向けると、彼はぼーっと私を見つめたまま。
こないだは私のことにはすぐ気付いた割には、近くにいる間はどこか目を逸らしていたというのに、どういうことなのでしょうか。
ジョアサンと親交を深めるのは、最悪長期戦も覚悟していましたが、出会って二度目でこうもリアクションが変わってしまうと、どうすべきか迷いますね。これは良い方向に進んでいるのでしょうか。
前回とは違い、歌詞を覚えてきた私は今日はみんなと一緒に並んで練習を始めます。
私の周囲には貴族の子供たちが一斉に集まり、平民の子供たちは端の方に集まっていました。この格差、さっさと取り払えないかしら。
聖歌隊と言っても子供。前回の練習の時に思いましたが、ところどころ音が外れていますし、声量もまちまち。
これはおそらく歌うことに重点を置いているのでしょうね。
しかし、だからと言って私も妥協する気はない。どうせなら上手に歌ってジェラールとエリザベートに褒めて貰いたいのですから!
まあ、あの二人が親バカのように褒めてくれる姿は想像できませんけど。
二三回唄ったところで休憩時間。私は今日もジョアサンも混じっている平民たちの集団の方に向かおうとすると、一人の男の子に止められてしまいました。
「姫様!」
「何かしら?」
「あまりそちらの子供たちと仲良くするのは、よくないと私の父が」
「変わった姫でごめんなさい。私は、彼らとも仲良くしたいのです。ですが、ありがとうございます。私を心配してくれて声をかけてくださったのですよね?」
私はそれだけ言ってジョアサンたちの元に向かいました。
一部の貴族の子女たちはそんな私を見てどうするべきかこちら来るか、私をこちらに引き戻すか話し合っています。
大方、前回の私の行動をご両親に話して姫様を平民に近づけるのではないと言われた子供もいるのでしょう。
貴族社会、きっとこの国でなんの知識もなく育てられたのなら、私もこうなっていたのでしょう。
だから彼らも、彼らのご両親も悪くない。それが常識だと育てられてきたのですから。
私だって日本で生まれて、日本で育って、日本に住む上の常識は備わっている。それが違う時代の日本であれば非常識な行動である。
それが違う国であれば非常識な行動である。でもそんな常識をあの時間のあの日本で過ごしていた私にはわからない。
それが悪いことと言えないように、彼らの行いを悪いことと言えない。
分別しなければ、ここは異世界。だから私の行動は異端。異端とわかって行動してる。だから、上から目線で相手を説教してはいけない。
「皆様、お疲れ様です」
私が声をかけたタイミングで、ジョアサンと周囲の平民の子供たちが私に気付きます。
型のはまった挨拶をし終えたところで、私はジョアサンに声をかけました。
「こないだは私が来たとたんに、急に喋らなくなりましたよね? 私、嫌われているのかと思いました」
「いえ、そんなこと!」
私がそういうと、ジョアサンは勢いよく首をよこに振りながら否定します。
「では何故?」
「…………今日の姫様からは、嫌な靄のようなものを感じませんので」
嫌な靄? それはなんのことかしら。臭っていたとか? え? 本当に? 臭かった? 湯浴みはメイド達に手伝ってもらっていますけど、今度からもう少し念入りにお願いしましょう。
その後は臭っていたかどうかが一日中気になり、気が付けばもう寝る時間になっていました。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが
水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。
王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。
数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。
記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。
リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが……
◆表紙はGirly Drop様からお借りしました
◇小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる