BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

文字の大きさ
48 / 228

48話 五歳児であるということの自覚の足りなさ

しおりを挟む
 今、私とアレクシスは街中で二人。右も左もわからない状態になっています。

 顔を青ざめながらオロオロするアレクシスと、周囲の人間で誰に声をかけようかと迷う私。

 なぜなら、周囲の人達からは多少なりとも悪意や下心を感じたからだ。顔を動かしながら眼を合わせる前に視界から外す。

 周囲の人々は私達二人を見ていた。

 これは貴族の子供だと言うことはバレていますね。あとはお礼が欲しくて助けようとしてくる人なのか。別の目的なのか。

 事の発端はこの日のお昼過ぎにさかのぼります。



 公爵家で昼食を頂いた私達は、公爵直々の案内で街に出ることになりました。何か所か回って今度はまた大きな建物。資料館か何かでしょうか。

「こちらが我が領地最大の~」

 正直、最初こそ珍しいものだらけの視察も、途中からは飽きてしまい、周囲をきょろきょろ見る露骨に暇そうな子供になってしまいました。そんな中、私同様暇そうにしている子供、従兄のアレクシスと目があいます。

 この瞬間、自分の理性が五歳児レベルまで下がっていることを忘れていました。

 赤子の頃、大人のままでしたら泣かなくていい場面で、ワンワン泣いていたことのように、五歳児に成長したからといっても、私の理性は五歳児のレベルにとどまっていた。

 そう、厄介なことに私は二十五年と五年の経験で得た知識を持った五歳児程度の理性の持主だった。

 私はすぐに周囲の大人たちの視線を確認すると、アレクシスの近くまで忍び寄りました。

 建物に入ってすぐに私達二人は子供の身長より高い机の下に潜り込みました。

 周囲の大人たちもこれまで大人しかった私達を注意深く見ている物はいない。が、セシルだけは周囲をきょろきょろと確認し始めました。

 これは常に見られていたパターンですね。

 運よく建物の内部に入るタイミングで視界から消えた隙をつけたみたいです。

 セシルも誰かの人影に私達がいると思ったのか奥の方まで私達を探しに行きました。

 その隙に私とアレクシスは子供だけで街に飛び出します。

 この時は自分の内面は大人だから、何かあったら自分がアレクシスを護ればいいと考えていました。

 そもそも、こんな行動をした時点で、自分を子供だと再認識すべきだったのです。

 初めて歩くクレメンティエフ領の街は、イメージしていた中世より綺麗なところ。

 さすがはゲームの世界なだけあって、ある程度制作者の理想が反映されているのでしょう。

 建国祭の日も街を歩きましたが、あの日は夜であったことと、お祭りの最中だった為、街を歩いたという感覚にはなれなかったんですよね。

 そして二人で走り回ります。知らない建物、知らない道。よくわからないオブジェに綺麗な花。そして、冒頭に至る。

「迷いましたわ」

「えと? えと、僕がなんとかするよ姫様!!」

「ちょっと!!」

 私の発言に対し、大きな声で返事をしてしまうアレクシス。なんとかするだなんてまるで困っていることが露呈してしまうような言葉。

 私はあわててアレクシスの口を両手で塞ぐ。まずいかな。周囲の人に聞かれたかな。私はアレクシスに耳打ちします。

「ここでは姫様と呼ばないでください。誰がきいているかわかりません」

 アレクシスはコクコクと頷いた。この行動だけでも怪しいですが、これ以上街中で姫様と呼ばれるよりはマシでしょう。

 最も、姫様と呼ばれなくても、こんな格好では貴族の娘だとバレバレ。周囲の人の服装は白い服ばかり。

 脱走してからかなり時間がたちましたし、今頃私達の大捜索も行われているでしょう。つまり、人通りの多い場所にいれば安全。大丈夫。

 問題ない。

 私はアレクシスの手を握って、大通りのあると思われる方向に歩みを進めました。

 しかし、私達の向かう先を塞ぐように数人の男たちが、立ちはばかります。

「お坊ちゃんお嬢ちゃんたち、どうしたの? 迷子かな?」

 周囲の人たち同様に白い服を着たお兄さんたち。しかし、彼らはわざわざ私達を取り囲むように、逃げられない様に囲んだ。

 あ、これマズイパターンかも。

 私は魔法を使おうと考えましたが、手先が震えます。土壇場で使えないなんて護身用で習った意味がないじゃない。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

処理中です...