65 / 228
64話 悪魔祓い
しおりを挟む
セシルと二人で馬車に乗り込む。なんだか久しぶりに感じますね。セシルもニコニコしながら私を見つめています。そんなに嬉しいのでしょうか。まあ、確かに私も赤ちゃんの頃から面倒を見ていた弟と一緒におでかけだなんて言われたら嬉しくてあんな感じになりそうですけど。
大聖堂までは王宮から馬車で数十分ほど。あっという間に目的地にたどり着き、私達は早速大聖堂の中に向かっていきます。
教会の入り口まで行くと、大司教ミカエルとその息子であり、私を呼びつけたジョアサンがそこに待っていました。
「おやおや姫様お待ちしていたよ。お昼は何が食べたいかな? 僕が作っておこう。何、君のリクエストにこたえるつもりは微塵もないから、あらゆる珍味を申し付けると良い」
ミカエル。攻略キャラ時代以上にぶん殴りたくなる冗談ね。そんなミカエルも慣れたジョアサンは無表情のまま私を見つめます。しかし、それはいつもの警戒した表情などでなく、もっとこう、意外そうと言いますか、どちらかと言えば奇妙なものを見ている。そういう印象でした。
「何かしら?」
「い、いえ? …………なんでも」
歯切れが悪いわね。ミカエルはすぐにエプロンをつけてどこかに行ってしまいました。司祭服のままエプロンつけるのね。
「セシルは待機していて頂戴。私とジョアサン。二人で話がしたいの」
「畏まりました。でしたら私は教会内で待機しておりますので、御用が終わり次第お声がけください」
ニコニコ顔のセシルが一瞬ですんとした表情になり、業務的に喋り始めます。ごめんなさいね。姫である私に悪魔が憑いているだなんて、冗談だったとしても、見当違いだったとしてもどちらにしても不敬。つまり、人に聞かせるつもりはない。
私とジョアサンは個室に移動し、向かい合う様に椅子に座る。
「それでどうやって悪魔祓いをするっていうのかしら?」
「そのことなんだけど…………君は憑き物を自由に他所に追いやれるのか?」
「は?」
彼が何を言っているか、私には見当もつきません。憑き物を自由に追い出せるわけないでしょう? そんなことができましたら、貴方ともっと早く仲良くなれているじゃない。
個室で数秒間見つめ合う私達。ジョアサンも何がなんだかわからないという様子。それは私のセリフです。九年間ずっと人に黒い靄のようなものがついていると指摘しておきながら、いざ払って貰いに来てみれば、自由に追い出せますか? ふざけるんじゃないわよ!!
「ちょっと待って? 今はどう見えて普段はどう見えているか絵に描いて見せてくれる?」
「絵に描けばいいのか?」
そう言ったジョアサンは白い紙にさらさらっと人型っぽものを書き始めます。なんかクッキーで人作るみたいなデザインね。これが私か。…………痩せよう。
「まずこれが今の姫様」
「……柔らかそうね」
「……え!? あ、いや…………そりゅあ、姫様は柔らかいと思いますよ」
クリスティーンは決意した。絶対に痩せよう!
そしてジョアサンはもう一つ、またまた丸いシルエットの人型を書き始めます。その周囲に黒い何かが漂う様に書き記し始めました。何よこれ。確かに黒い何かが漂っているみたい。それが気体のように見えたから靄と表現したのね。
「それで今日は見えないのね」
「心当たりはないのかい?」
「ある訳ないでしょ?」
でももう見えないってことは、今後は安心して仲良くできるって事なのかしら。それならそれで好都合な気もしますし、ポジティブに捉えましょうか。
その日は、ミカエル大司教が作ったお昼ご飯を頂いてから王宮に戻りました。
しかし、週明けの登校日。ジョアサンに挨拶をしたところ、彼はやっぱり私を避けてどこかに行ってしまいました。あれ?
大聖堂までは王宮から馬車で数十分ほど。あっという間に目的地にたどり着き、私達は早速大聖堂の中に向かっていきます。
教会の入り口まで行くと、大司教ミカエルとその息子であり、私を呼びつけたジョアサンがそこに待っていました。
「おやおや姫様お待ちしていたよ。お昼は何が食べたいかな? 僕が作っておこう。何、君のリクエストにこたえるつもりは微塵もないから、あらゆる珍味を申し付けると良い」
ミカエル。攻略キャラ時代以上にぶん殴りたくなる冗談ね。そんなミカエルも慣れたジョアサンは無表情のまま私を見つめます。しかし、それはいつもの警戒した表情などでなく、もっとこう、意外そうと言いますか、どちらかと言えば奇妙なものを見ている。そういう印象でした。
「何かしら?」
「い、いえ? …………なんでも」
歯切れが悪いわね。ミカエルはすぐにエプロンをつけてどこかに行ってしまいました。司祭服のままエプロンつけるのね。
「セシルは待機していて頂戴。私とジョアサン。二人で話がしたいの」
「畏まりました。でしたら私は教会内で待機しておりますので、御用が終わり次第お声がけください」
ニコニコ顔のセシルが一瞬ですんとした表情になり、業務的に喋り始めます。ごめんなさいね。姫である私に悪魔が憑いているだなんて、冗談だったとしても、見当違いだったとしてもどちらにしても不敬。つまり、人に聞かせるつもりはない。
私とジョアサンは個室に移動し、向かい合う様に椅子に座る。
「それでどうやって悪魔祓いをするっていうのかしら?」
「そのことなんだけど…………君は憑き物を自由に他所に追いやれるのか?」
「は?」
彼が何を言っているか、私には見当もつきません。憑き物を自由に追い出せるわけないでしょう? そんなことができましたら、貴方ともっと早く仲良くなれているじゃない。
個室で数秒間見つめ合う私達。ジョアサンも何がなんだかわからないという様子。それは私のセリフです。九年間ずっと人に黒い靄のようなものがついていると指摘しておきながら、いざ払って貰いに来てみれば、自由に追い出せますか? ふざけるんじゃないわよ!!
「ちょっと待って? 今はどう見えて普段はどう見えているか絵に描いて見せてくれる?」
「絵に描けばいいのか?」
そう言ったジョアサンは白い紙にさらさらっと人型っぽものを書き始めます。なんかクッキーで人作るみたいなデザインね。これが私か。…………痩せよう。
「まずこれが今の姫様」
「……柔らかそうね」
「……え!? あ、いや…………そりゅあ、姫様は柔らかいと思いますよ」
クリスティーンは決意した。絶対に痩せよう!
そしてジョアサンはもう一つ、またまた丸いシルエットの人型を書き始めます。その周囲に黒い何かが漂う様に書き記し始めました。何よこれ。確かに黒い何かが漂っているみたい。それが気体のように見えたから靄と表現したのね。
「それで今日は見えないのね」
「心当たりはないのかい?」
「ある訳ないでしょ?」
でももう見えないってことは、今後は安心して仲良くできるって事なのかしら。それならそれで好都合な気もしますし、ポジティブに捉えましょうか。
その日は、ミカエル大司教が作ったお昼ご飯を頂いてから王宮に戻りました。
しかし、週明けの登校日。ジョアサンに挨拶をしたところ、彼はやっぱり私を避けてどこかに行ってしまいました。あれ?
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが
水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。
王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。
数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。
記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。
リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが……
◆表紙はGirly Drop様からお借りしました
◇小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる